教育委員リレーコラム

  

大学進学率について

          鳥取県教育委員 若原道昭      

 前回コラムでも述べましたが、いま日本社会全体に、将来に対する不透明感や閉塞感、停滞感が広がっています。そして次代を切り拓く人間の育成や学術研究の進展への期待が高まっています。これは正に教育への期待です。教育は社会を変革する力をもった人間を育てることによって社会を変革することができます。そのような観点から、この一年の間にも日本の教育改革について次々と中央教育審議会等の答申や報告・提言が出されてきました。

 中教審の答申では、日本の現在の大学・短大進学率(平成24年度で56.2%)等が過剰であるという立場はとられていません。むしろこの10年間を見れば大学・短大数やその入学定員数は減少しつづけており、進学率も相変わらずOECD加盟国の平均を下回っていて伸び悩んでいます。70%を超える韓国の進学率とは随分開きがあります。
ただ、先進国の中でもドイツやスイスの大学進学率が日本よりも低いのは意外な気もします。

 この辺りに、今後の日本の教育を考えていく上で何かヒントになりそうなものがあるかも知れません。

 さらにもう少し身近なところで私が気になるのは、都道府県別の高校新卒者の進学率を見たときに、鳥取県のそれが全国平均と比べて相当低いことです。四年制大学への進学率では、鹿児島県の31%に次いで鳥取県と沖縄県の33%が二番目の低さです。
 これに短大と専門学校への進学率を合計した数字になると少し鳥取県の順位は上がりますが、それでも相対的には低いと言わざるをえません。その背景には様々な要因が考えられるにしても、子どもたちの進学意欲を高め、さらにその先に自分の能力を発揮し貢献できるより広い世界が開かれているという夢や希望を思い描けるようにしていくことが、もしかしたら子どもたちの学力向上にも好影響を与えるのではないかなと思います。
 

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