「ふるさとキャリア教育」を基軸とした人材育成への思い
鳥取県教育委員会教育長 足羽英樹 令和4年4月
県庁付近の桜も満開となり、新型コロナウイルスの感染継続により閉塞感が漂う中にあっても、どこかに心が和む雰囲気が感じられます。新年度を迎え、多くの人との新たな出会いが待っているこの季節、県内のすべての子どもたちが新型コロナに負けず、周囲の人との出会いや関係を大切にしながら、それぞれの夢や目標の実現に向かって、前を向いて自分らしい歩みを刻んでくれることを心から願っています。
さて、私自身にとりましても教育長就任1年目であった昨年度も、新型コロナウイルス感染防止への対応に追われた一年でした。市町村教育委員会と連携を図りながら、児童生徒、そして教職員の命と健康を守るとともに、子どもたちの「学びや活動を止めない」ために、学校現場に様々なお願いをしてきました。日常の基本的な感染防止対策の徹底をはじめ、度重なる学校単位での臨時休業や分散登校、さらには部活動大会の延期など、一昨年以上に児童生徒の皆さんにとっては、我慢の生活を余儀なくされたことと思います。しかし、児童生徒の皆さんは、コロナによる非日常を日常に変えるべく、創意工夫しながら授業に、学校行事や部活動に取り組んでいただきました。まさに、今求められている「解のない問い」に対して、自ら思考し、判断して「解」を導き、そして行動していく力を見事に体現してくれたように思い、大変頼もしく感じているところです。新年度もまだコロナ対応は継続しますが、児童生徒の皆さんには困難に負けない強い「思い」を持って充実した学校生活を過ごされることを心から願っています。県教育委員会としましても、皆さんの命と心を守るため、これまで以上の感染防止対策の徹底を図りながら、各学校の学びや教育活動を支援していきたいと考えています。
今年度から高等学校で新学習指導要領が年次進行で実施となるとともに、成人年齢が18歳へと引き下げられました。変化が激しく、予測困難な時代にあって、一人一人が社会の構成員の一員であるという、自身の「社会的責任」を自覚するとともに、よりよい社会づくりに貢献できる力、すなわち「生きる力」の育成が益々重要となってきます。また、昨年度からスタートしたGIGAスクール構想が高等学校にも及び、生涯を通じたICT活用、すなわち情報活用能力の向上が求められています。県教育委員会としても、「鳥取県教育振興基本計画」の基本理念の下、時代や社会の変化に柔軟に対応しながら、すべての子どもたちの健やかな学びの創造に向けた教育施策の一層の充実を図ってまいりたいと考えています。
さらに、昨年度から「ふるさとキャリア教育」の視点をすべての施策の基軸とし、以下のような目指す人材育成像を明確にした取組を進めています。
・ふるさと鳥取に根差してグローバルな視点で考え、行動することができる人材
・鳥取県に誇りと愛着を持ち、ふるさと鳥取をさらに継承・発展させようとする意欲や態度を身につけた人材
・社会の変化に対応しながら新たな価値を創造することができる人材
・自立し、自分らしい生き方を実現するとともに、将来にわたりふるさと鳥取を思い、様々な場面でふるさと鳥取を支えていくことができる人材
無限の可能性を秘めたふるさと鳥取で生まれ育った子どもたちが、ふるさと鳥取に誇りと愛着を持ち、どこでどのような生き方をしても、心の中に大切なふるさとがある。そんな子どもたちの育成に向けて、県教育委員会として誠実に取り組んでまいりたいと考えています。今年度も皆様のご理解とご協力をよろしくお願います。