環境教育の打ち合わせの帰り道、日野町でみつけました。この季節、甘い香りを
させているのはクズの花です。お菓子に使用されているグレープの香料のような
香りが特徴的です。花もブドウの実を逆さにしたような形をしています。
クズと日本人の関わりは深く、とても重宝された植物でした。ツルは縛るために
使用したり、かごを編んだり、繊維からは布を作ることもできます。葉っぱは家畜
の大好物で、根っこからとれる良質なデンプンは食用や薬に用いられてきました。
近年では繁殖力の強さから、工事後などの緑化に使用されています。
私達にとってよい面ばかりのようなクズですが、時代と場所が変わればその扱い
は変わってきます。
緑化目的でアメリカに導入させれたクズは、日本よりも繁殖に適した環境であっ
たためスクスクと繁殖を拡大。現在では生態系や人間活動への影響を及ぼす植
物として、有害植物及び侵略的外来種とされています。アメリカでは、「日本の悪
魔」なんて呼ばれたりしているようです。駆除するのが困難なクズは、日本でも生
活様式の変化から、定期的に採取されることはなくなり繁殖を拡大させています。
クズはただ一生懸命生きているだけなのでしょうが、人の都合で重宝されたり厄
介者にされたり…。大変です。
クズ【マメ科クズ属】
大型のつる状草本。多年生。北海道、本州、四国、九州に分布。花期は7~9月。
種は枝豆の形に似ており、根は地中深くに伸び長芋状に太っていく。
日野振興センター 2010/08/11