大きな地震で生じる、周期(揺れが1往復するのにかかる時間)が長いゆっくりとした大きな揺れのことを「長周期地震動」といいます。
長周期地震動は巨大な建造物(石油タンクなど)や高いビルほど大きく揺れる特徴があり、室内の家具や什器などの転倒・移動、エレベーターの故障などの被害が生じることがあります。
また、遠くまで伝わりやすい性質があり、地震が発生した場所から数百km離れたところでも大きく揺れることがあります。震源地が比較的近い場合は長周期地震動と地上の揺れがセットで起きることが多いですが、震源地が遠い地震の場合は、地上はほとんど揺れていないにも関わらず高層ビル等は揺れているということがあります。
<短い周期の地震動と長周期地震動による揺れの違い> 気象庁HPより
高層ビルは、短い周期の揺れは「柳に風」のように揺れを逃がすよう柔らかくできていますが、長い周期の揺れがあると共振してしまい、大きく・長く揺れることがあります。
<長周期地震動階級> 気象庁HPより
※階級3以上が予想された場合に緊急地震速報が発表されます
※参考(平成23年東日本大震災)
平成23年に発生した東日本大震災の場合、震源から遠く離れた大阪市でも、高層ビルのエレベーターの停止による閉じ込め事故や、内装材や防火扉が破損するなど、長周期地震動による被害が発生しています。
また、気象庁のシミュレーションによると、この場合、大阪府南部では震度の警報基準には達しませんが、長周期地震動階級では警報基準に達し、新たな警報基準では大阪府南部にも緊急地震速報が発表されることになります。
鳥取県内には高層ビルはありませんが、長大な橋梁等は影響を受ける可能性があり、江島大橋や境水道大橋は大きく揺れる可能性があります。
他にも揺れの増幅しやすい地盤(砂地など)や建物の構造などによって影響の受けやすさは変わりますが、これらに該当しない地域や建物でも揺れる可能性がありますので、注意が必要です。
なお、鳥取県では、平成28年に発生した鳥取県中部地震の際に、西部地域に「長周期地震動階級3以上」が発生しています。
長周期地震動の場合、家具の転倒が想定され、キャスター付きで滑りやすい場合には建物の揺れの変化量と同程度もしくはそれ以上に移動する可能性があり、極めて危険です。家具の転倒や移動、落下の防止対策を行いましょう。
また、揺れが大きい場合には家具等を十分に固定できず、転倒によって扉がふさがれたり窓ガラスに衝突して地上に落下したりする可能性もありますので、このような事態を予め予想して家具等を設置する場所に配慮することも重要です。
また、緊急地震速報などの大きな地震の発生を知らせる情報を見聞きした場合や揺れを感じた場合には、頭部を保護し、揺れに飛ばされないよう姿勢を低くして身の安全を確保しましょう。
気象庁 https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/choshuki/index.html
地震本部 https://www.jishin.go.jp/resource/column/kikan12_kikan12/
内閣府 特集1 長周期地震動への備え~南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動の影響とは?
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h27/82/special_01.html