1 事業の目的
酸性雨は、土壌や湖沼の酸性化を引き起こし、森林の衰退や水生生物の死滅等を引き起こすなど地球的規模で問題となっているため、県内の酸性雨の実態を把握し、被害の未然防止に資する。
2 背景、現状、及び課題
(1)東アジア地域の経済発展に伴い、広域的な酸性雨の被害が懸念されている。
(2)県内でも降雨の酸性化が見られるが、明確な被害は確認されていない。
3 事業の内容
(1)酸性雨モニタリング
県内の酸性雨の実態を把握するため、湿性沈着、乾性沈着について調査を実施
○ 調査地点:鳥取保健所(鳥取市)、氷ノ山(若桜町)、衛生環境研究所(湯梨浜町)
(2)酸性雨長期モニタリング(土壌・植生)調査
長期的な観点から、酸性雨沈着が土壌・植生へ与える影響を把握するためのモニタリング調査を実施(環境省委託事業)
○ 調査地点:大山地内
○ 平成19年度調査内容:樹木衰退度調査
過去の実績
- 平成18年度実績
県内の酸性雨の実態を把握するため、3地点において調査を実施した。その結果、降水の酸性度(pH)の年平均値は4.59~4.74であり、全国並みのpH値であった。
【調査地点】鳥取保健所(鳥取市)、氷ノ山(若桜町)、衛生環境研究所(湯梨浜町)
- 平成19年度実績
県内の酸性雨の実態を把握するため、3地点において調査を実施した。その結果、降水の酸性度(pH)の年平均値は4.52~4.67であり、全国並みの値であった。
【調査地点】鳥取保健所(鳥取市)、氷ノ山(若桜町)、衛生環境研究所(湯梨浜町)
●担当: 生活環境部 水・大気環境課 大気担当 電話0857-26-7206
1 背景、必要性
韓国では黄砂警報を発令するなど黄砂による住民被害が深刻であり、飛来回数が近年増加傾向にある。鳥取県でも同様の被害が起こる可能性があり、防止対策につながる研究に取り組む必要がある。また、平成18年春季の大規模黄砂の来襲で、県民の関心も高まっていることから継続実施していく必要がある。
2 事業の内容
(1)鳥取県に飛来する黄砂の発生源を推定
(2)鳥取県に飛来する黄砂の組成・微量成分を調べ、汚染物質の飛来実態を把握
(3)黄砂による小動物への生体影響を調査し、また人への健康影響について把握
3 事業の効果
(1)黄砂による県民の健康や環境への影響防止に繋げる。
過去の実績
- 平成18年度実績
・鳥取県に飛来した黄砂観測日の流跡線(通過してきた経路)を解析したところ、中国大陸内部から飛来してくる経路が多く見られた。
・全量分析の結果、これまで同様、黄砂観測日は総粉じん量、各成分濃度とも高濃度になる事例が多く見られた。
さらに成分間の相関を調べた結果、黄砂観測日にカルシウムイオンと硝酸イオンの間に高い相関が見られた。
- 平成19年度実績
・2005-2007年まで黄砂観測日に実施した粉じんの調査分析結果から以下のことが明らかになった。
・黄砂観測日の粉じん濃度は34~576μg/m3(平均:147μg/m3)であった。この値は非黄砂観測日のおよそ5倍であった。
・黄砂観測日の金属類について測定したところ、測定した全ての元素で非黄砂観測日と比較して数倍以上の濃度であった。特にAl,Fe,Caといった土壌元素に由来すると考えられる元素はその濃度が特に高く、粉じんとの間に高い関係性があった。また、有害大気重金属類(Mn,Ni,Cr,As)も黄砂観測日に高濃度になる。
・黄砂観測日のイオン類の特徴として、土壌起源と考えられるCa2+が高濃度で存在し、F-の存在から大陸からの移流が示唆された。
黄砂観測日には、総粉じん量の増加に伴い、物質によってはかなりの濃度上昇がみられ、健康への影響を疑う県民も見受けられる。
●担当:鳥取県衛生環境研究所 大気・地球環境室 電話0858-35-5414
参考URL
鳥取県衛生環境研究所のwebサイトより
「地球温暖化や酸性雨など地球環境問題への対応」
https://www.pref.tottori.lg.jp/eiken/