平成20年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
○日時 平成21年8月26日(水)13時30分~15時50分
○場所 第29会議室(第2庁舎4階)
○出席者 県:行財政改革局給与室 松田室長、金澤筆頭主幹、前田副主幹
岡本副主幹、山田主事
県職労:片山執行委員長、山中書記長、谷田書記次長 他2名
現企労:青木執行委員長代行 他7名
<概要>
県:平成20年度確定交渉の残りの対応が遅くなり申しわけない。
組合:なぜこのようなことになったのか、具体的に聞きたい。
県:交渉に先だって県と組合が行う事前折衝について、内容やスケジュールが曖昧な形で進んでいたことが原因と考えている。県としても、今後十分注意していきたいと考えている。
組合:2月議会の特殊勤務手当条例の改正は、内容的には良い方向への変更ではあったが、事前に組合に協議がなかったということがあった。
労働条件の変更については、良い方向、悪い方向とも、労使間で確認の上で変更するのがルールという認識に変わりはないか。
県:ルールの認識に変わりはない。今後そのようなことは無いようにしたい。
組合:事前折衝で連絡、調整、確認が遅れたから半年もかかるということはないはず。
事前折衝が曖昧な形で進んでいたからではなく、その原因は何かということである。
組合としては、給与室の過去から継承させるべき情報が少ないことが原因ではないかと考えている。そのため事前の折衝が進まなかったのではないか。この点はどのように改善されるのか。
県:組織として蓄積された情報を共有、継承しなくてはいけないと考えている。
組合:それは県の組織であれば当然の話である。
例えば、要求している項目のうち人事評価制度の単純化について、3月に人事・評価室と協議したにも関わらず、給与室からは4月にまた同じ件について話があったが、情報は共有されているのか。
県:ご指摘の件は、3月の協議については聞いていたが、その後間が空いたので全ての要求項目について再度確認しておいたほうが良いということで話をさせていただいたものである。
組合:交渉の内容はホームページで公開することとされている。この話についても記載していただくよう要望する。
【時間外勤務縮減について】
県:時間外勤務は、平成20年4月から6月は増加傾向にあり、所属からのヒアリング、個別指導を行い、年度半ばには一時減ったが、後半になってまた増えている状況である。
申請理由、ヒアリングを踏まえると、緊急経済・雇用対策、新型インフルエンザ対応が主な原因となっている。
しかし、だからといって時間外勤務が増えてもよいということではない。
これまでも目標を設定して、個別指導やデータも踏まえ様々な取組も行ってきた。
今年度は、若手職員によるワーキング・グループやモデル所属の設定などの取組も行っている。
ただ、それで十分と認識しているわけではない。時間外勤務の縮減については、今後他の対策も検討し、重要課題として取り組んでいきたい。
組合:時間外勤務が増加している原因は、緊急経済・雇用対策、新型インフルエンザ対応などというより、知事が変わるなど仕事のやり方が変わったからではないか。
時間外勤務が増えているのは事実であり、これまでも縮減に取り組んでいるが減っていない。
突発的なことは必ずあるのであるから、その前提で考えなくては、時間外勤務は減らない。
組合:ワーキング・グループでは現在どのような議論がなされているか。
県:まだ具体的な議論の段階ではないが、時間外勤務の要因やそれを減らす手法、帰りやすい雰囲気作りや業務の進め方の無駄の検証などについて議論している。
組合:人事異動が多いと時間外勤務が増えるのではないか。
組合:以前、業務改善のワーキング・グループで、資料を作成するのに上司の指示が曖昧でわかりにくいという意見があったようだが、このような意見に対してどのように対応したのか。
せっかくの具体的な指摘が活かされないようなことがないよう有効活用を求める。出てきた意見をどう捉え、実施に移すか。広い対象で意見を言ってくれる人を求めるという姿勢で臨んでほしい。そうでなくては、意見も出ず、改善もされない。
県:県も意見を聞いてやっていきたいので、組合からでもそれ以外からでもお聞きする。
組合:組合は意見は言っていく。また、現場の意見が出やすいよう、県から働きかけてもらいたい。
組合:県として時間外勤務は、労働基準法に規定されている年間360時間を上限目標とするとの認識でよいか。
県:基本的にはよい。その旨は、年度当初に各所属が年間の時間外勤務の目標を設定する際にも通知したところである。
組合:組織改編で課の半分以上が異動したり、係の全員が異動したりして、時間外勤務が増えている事例もある。
県:それぞれに事情はあるので一律にはいえないが、ご意見は担当所属に伝える。
【ワーク・ライフ・バランスについて】
県:短時間勤務制度の拡充による障害者雇用については、短時間勤務制度は法律上の枠組であり、以前に国に要望も行っている。近々、法が改正される状況にもないと認識しているが、引き続き検討はしていきたいと考えている。
勤務地の配慮については、具体的な制度化は難しいが、職員の事情もできるだけ考慮するよう努めている。
身上報告書、自己申告書、人事配置等意向申出書に事情を書いていただければ、可能な限り考慮したい。
組合:勤務地の配慮について、組合員には事情が考慮されることをどのように周知しているか。
県:それぞれの入力時期に周知している。
組合:三つもあるとわかりにくいが、三つのうちいずれかに記載すればよいのか。
県:いずれかに記載してあればよいが、直接的には人事配置等意向申出書となる。
組合:障害者雇用制度については、法律的に無理という回答であれば仕方がない。
しかし、県として、障害者の雇用対策を含めて考えてほしいということである。
法律の改正は国に要望するしかないが、政策的な話であれば知事会で共通認識を持ってもらうことなどもできるのではないか。
以前国に対して要望したということは、県としてもそのような制度は必要という姿勢ということで確認する。
組合:勤務地の配慮については、できるだけ配慮するという人事の姿勢は認識しているが、家庭の事情等はどの時点で変わるかわからない。定時の入力時期以外に事情に変更が生じた場合に、随時申し出ることができるシステムがほしい。
職員が、事情があるから勤務に制限してほしいことがあるという場合は、申し出てほしいということ、定時のタイミングと、その間の期間は、随時身上報告書で、所属長を通じてでも申し出が可能ということで確認したい。
県:了解した。定時のタイミングの間の申出方法については、担当所属にも話をする。
【メンタルヘルス診断について】
県:現行のストレス度チェックは、そもそも職員個人の自己チェックが一番の目的であるが、福利厚生室も内容を確認して、状況確認や健康相談に活用している。
その他の具体的な活用方法についても引き続き検討していきたい。
組合:引き続き努力してほしいが、検討すると言っても検討するものがないのではないか。
県庁内のストレス度の推移を定点観測して公表するだけでも、認識を持つことでいわば免疫力を高めることができるのではないか。
組合:メンタルを予防するという観点でメンタルヘルス診断が活用されていないのではないか。
職場やグループ単位で把握し、異常値が生じたときに手を打とうとする姿勢が必要である。原因を予想できなければ予防できない。
県:指摘を踏まえ、担当所属ともよく話してみたい。
【人事評価制度の単純化について】
県:人事評価制度について、より簡素でわかりやすいものとするという視点も含め、今年度一部見直しを行った。
今後も、より簡素でわかりやすいものとするという観点を踏まえながら見直しは行っていきたい。
【資格、免許職での人材確保のための処遇改善について】
県:現時点で見直すことは考えていない。国や他県の状況を見ながら引き続き検討していきたい。
具体的に要求のあった獣医師については、人材確保が困難な職であることは認識しており、そのため初任給調整手当についても、全国でも設けている県が十数県の中、レベル的にも高い額の制度を設けている。直ちに手当を見直すことは考えていない。
人材確保の困難は認識しており、今後も、国や他県の状況も見ながら検討はしていきたい。
組合:本県の獣医師の初任給調整手当が全国でもいいことはわかっている。
しかし、獣医学科の学生達が鳥取県に来てくれない実態がある。
獣医師になろうという学生が少数であり、鳥取県では、主任・主査制度(わたり制度)の廃止で給料が上がらないということが伝わっている。
それに対応して、獣医師が要るという観点から配慮を求める。
県:獣医師の人材確保が困難であることは現在でも認識しており、だからこそ初任給調整手当も設けている。また、今後も状況は把握し、検討していきたい。しかし、獣医師の初任給調整手当について、直ちに見直す考えはない。
組合:獣医師の初任給調整手当については、現時点では十分だという認識にあるということか。
県:現時点では、見直す段階にないという認識である。
組合:給与が原因で、獣医師の募集・採用ができない状況になったら責任をとってもらいたい。
【特殊勤務手当について】
県:特殊勤務手当については、全面的な見直し(平成18年4月1日)から3年であるが、何年経ったから見直しを行うということではなく、問題があるものは、随時見直しを行ってきたところである。
組合から要求を受けているものについても現在検討を行っている。また、今後も必要な見直しは行っていきたい。
組合:組合から要求している特殊勤務手当の見直しは対応せず、それ以外の特殊勤務手当について、しかも組合に事前の協議も無く、条例を改正している。
組合から要求したものに対する回答はいつになるか。
県:以前いただいている要求については現在検討中であり、9月中には回答させていただきたい。
組合:特殊勤務手当制度については、3年前にこの度の見直しで終わりということではなく、随時見直しをするという回答だったが、その後どのような見直しをしたのか。
県:言われるように3年前にこれで見直しは終わりということではないということで合意している。
その後3年間で、適宜所属からの要望を受け、例えばヘリコプター搭乗業務の単価を見直したり、新型インフルエンザへの対応で条例改正を行ったり、随時見直しをさせていただいた。
組合:それは「制度」の見直しではない。特殊勤務手当支給の判断基準など、システム自体見直しが必要との認識だったはずであるが、今の説明で、システムの見直しはしていないということはわかった。
組合:組合の要求について回答が遅れているのはなぜか。
県:検討が遅れていることについては申しわけない。至急整理して、9月のうちにお返ししたい。
組合:県の内部だけで整理するのではなく、折衝という機会もあるのだから、整理する前に組合に協議してもらいたい。
【前歴換算方法について】
県:初任給決定の際の前歴換算の方法については、国、他県の状況を考慮しながら検討していきたい。
国と扱いが違うものについては、人事委員会とも協議し、必要なものは改正したい。
組合:准看護師として民間勤務した後、看護師の資格を取得して県に採用された職員が100人くらいあるが、この場合、准看護師としての勤務期間は国と異なり、本県では前歴として換算されない。他県の状況なども確認して、早急に対応していただきたい。
県:国と違う扱いとなっている理由も含め、今のままでいいか確認したい。
組合:不条理なものは変えないといけない。国どおりだから、ではなく、看護師の採用時、同じ仕事をしている准看護師の期間を前歴として扱うのは当たり前だからである。
国の制度に矛盾が多すぎる。医療職給料表(2)の職は、行政職給料表の職に比べ経歴換算が低すぎる。
県:医療職給料表(2)の資格職は、資格を前提に前歴を換算しているものであり、直ちに見直すことは考えていない。
組合:准看護師については、見直しの意図もあるのか。
県:初任給決定については人事委員会規則で定められているところであり、人事委員会と協議したい。
組合:看護師を採用する場合、その人の准看護師として勤務した期間を県はどう評価するのか。
県:准看護師と看護師では資格の違いがあるが、近い業務をしてきているのは間違いない。
組合:県は人事委員会に対してどういう姿勢で協議するのか。
准看護師としての期間について、看護師の前歴としてみるべきであるという課題意識を持って協議しているということでよいか。
県:見直しできないかという観点で協議しているということでよい。
組合:薬剤師について、資格を取った後に他の業務、例えば製薬会社で営業として5年間働いた人が県に薬剤師として採用されれば、民間経験の5年間は0%で前歴換算され、初任給基準と同じ級号給になる。
これに対し、同じ経歴の者が行政職で採用された場合は、民間経験の5年間は、前歴として8割換算され、初任給基準に16号給が加算される。
この結果、例えば病院等勤務の薬剤師(医療職給料表(2))が本庁に勤務(行政職給料表)することとなった場合、配属先が変わることで16号給も差が出る。これに対しては、どう考えるか。
県:それぞれの職に応じて給料表があり、適用する給料表を異にする異動の際、その給料表に応じた初任給の計算の仕方となることはおかしくはない。
組合員:自分がその立場になったとしたらどう思うか。家族へどう説明するのか。
組合:転勤するたびになぜ給料が3万円も違うのか、常識的に考えてどうかということを聞いている。
県:程度はさておき、職が変われば給与が変わることはあり得ると思う。
組合:給料が20万円程度の若手職員が、異動のたびに3万円も給料が上下することをどう考えるのか。常識的に考えてもらいたい。
組合:総合事務所の福祉保健局や生活環境局には薬剤師の必置基準はなく、それらに勤務する薬剤師等は、事務職と同じ仕事を、事務職も配属され得る仕事をしているにもかかわらず、前歴の扱いが異なるのはおかしくはないのか。
仕事が同じか、同じでないかの基準はパート法くらいしかない。その基準によれば総合事務所の福祉保健局等に勤務する薬剤師等の仕事は殆ど行政事務である。
仕事が同じであるにもかかわらず、前歴換算が異なるのはおかしいという方向で今後検討されるということでいいか。
県:仕事が同じならば、ということであればそうだと思う。准看護師のことも含め、個別具体の案件については、引き続き協議させていただきたい。