平成21年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
○日時 平成21年11月9日(月)14時~15時
○場所 第34会議室(第二庁舎4階)
○出席者 県:行財政改革局給与室 松田室長、金澤筆頭主幹、前田副主幹
教育委員会教育総務課 田中課長、吉野主幹、小椋副主幹
企業局経営企画課 山本課長、山添課長補佐
病院局総務課 嶋田病院局長兼総務課長、細川課長補佐
県職労:片山執行委員長、山中書記長、谷田書記次長 他
現企労:青木執行委員長代行 他
非常勤組合:黒田執行委員長 他
(県教組、高教組との合同交渉)
<概要>
【給料の改定について】
県職労:折衝で当局から再提案をいただいているが、内容が不十分と考えている。
一律△0.8%引下げの勧告に対して、民間よりも月例給が低い行政職4、5級相当を据え置き、さらに、管理職の引下率を拡大し、行政職1~3級相当の引下率を圧縮したいとの再提案は、当局がこの度の根本問題をようやく理解されたということで評価はさせていただきたい。
しかし、不十分というのが組合の立場である。
勧告に先立つ人事委員会との意見交換の場でも主張したことであるが、組合では公民比較の方法に問題があり、それによって大きな公民較差が生じていると分析している。
本年の公民較差の数値に基づくならば、本来、較差分は管理職が直ちにすべて負担すべきということも考えられるし、組合員について、自宅に係る住居手当の廃止分を含めて1.45%の賃上げを求めるという組合の当初要求のとおりであれば、逆に管理職は△8%の公民較差を解消しなくてはならないということにもなる。
しかし、管理職も含め、人事委員会勧告に問題点があって較差が生じているという理解の下、今年限りという条件で、また、労使で今後の給与制度のあり方の検討を行うという2年前の確認について誠実に取り組むということを前提に、組合員の給料は引き下げないという条件であれば合意の準備があると提案したい。
県:県としても、勧告尊重の姿勢については変わりはないが、組合とも交渉、折衝を重ね、その主張を受けて内部でも検討してきた。そして、公民較差の状況も考慮し、行政職1~5級相当の職員の給料については、組合側からも提案があったが、据置きとして受け入れることとし、それをもって合意としたいと判断したところである。
今いわれたとおり、勧告における公民比較の方法については、検討は必要と考えている。
また、管理職の毎月の給与については、本年の公民比較の結果、県内民間に比べて高いという状況も含めて、さらに踏み込んだ引下げも考えており、今後も県内民間との較差の状況を踏まえて考えて行かなくてはならないと考えている。
人事委員会に対しても、公民比較の方法を含め、今後話をしていきたいと考えているが、本年度については、行政職1~5級相当の職員の給料を据え置き、組合側の提案を受け入れて合意することとしたい。
県職労:組合の譲歩案をのんでいただけるということで安堵している。
今後は、もう少ししっかり協議をして、最終場面で一発勝負というようなことにならないようにしていただきたい。
当局の再々提案であるが、勧告以上の引き下げとなる管理職の具体的な範囲についてはどう考えているか。
県:その点は、折衝でも話があったところであるが、管理職手当の支給状況等も踏まえ、実態に応じて設定したいと考えている。
県職労:管理職手当が支給されている者、と思ってもいいか。
県:基本はそうである。職務の級によって管理職手当が支給されている者と支給されていない者が混在するところもあるが、実態を踏まえ検討したい。管理職手当の支給を基本にと考えている。
県職労:勧告については、今年も出されてしまった。組合はおかしいと言えても、法制度上、知事は法秩序が混乱するのでそうは言えないということは理解する。
人事委員会がとっている民間給与実態調査や公民比較の手法が、全国一律、同一の手法であることも事実だろうと思う。
しかし、本県では、全国に先駆けて独自に給与制度の見直しを進めた結果、その手法と整合がとれないということが出てくるのではないかと考えている。
人事委員会は事務的すぎないか、という話である。当局側も、勧告に至ってしまえば手出しはできないので、勧告までに労使、人事委員会の3者でしっかり今後の給与制度のあり方について議論を行うというのが2年前の理解だったと思う。
その後、昨年、今年とたち、今年は行政職1~5級相当の職員の給料を据え置くということであるが、来年もまた同じ話なら、管理職に較差を全部負担してくれ、という話になる。
組合は、公民比較の役職対応関係が揃えば、管理職にもそう大きな公民較差はないと理解している。決して、今のように制度的な問題をはらんだまま、組合員の給料は上げ、管理職の給料を下げることを望んでいるのではない。
本気になって制度を変えていかないと来年、管理職はとんでもない目に遭う。公務員は、民間とは少し違う労使関係にあると考えており、そこに分断を持ち込みたいわけでもない。
勧告に至る以前に、担当レベルではなく、使用者として知事も理解し、勧告制度の検討が必要という理解にたつのか。
県:公民比較の数字として、管理職の給料が民間より高いというのは事実である。それを踏まえて、行政職1~5級相当の職員の給料を据え置くことを判断した。
公民比較の方法を含めた今後の給与制度のあり方については、昨年度も人事委員会へ検討を申し入れ、協議も行ったが、実態としては確かにあまり進まなかった。
しかし、それではいけないので、県からも人事委員会に再度検討を求めるとともに、組合を含めて話をしていきたいと考えている。
県職労:これまでは、労使と人事委員会の3者による会議も勧告前に2回開かれたが、担当レベルで曖昧な認識だった。組合からは、認識も薄すぎ意味がない、やめてしまえという話だった。担当レベルの理解で、そもそも問題点の共通認識にも至っていなかった。
今聞いているのは、当局として、問題はどこにあり、何をしなくてはならないのかということについて、知事も、いわば腹決めができているのかということである。
県:県としてやっていくという判断である。
県職労:どこまで譲れるか、誠実に協議して到達するのが交渉だと理解している。月例給については、合意したい。
【給与の改定時期について】
県職労:改定日についてはこれまで、不利益不遡及ということで、労使で一定のルールをつくってきたと、組合としては認識している。
それを人事委員会は、何かよくわからないが、月例給は1月1日から、特別給は12月1日からの改定とし、その結果、12月には、改定前の給料月額に改定後の支給割合を乗じた一時金を支給するという勧告をしてきた。
今までどおり、増額改定、減額改定とも1月1日から改定すべきというのが組合の主張であるが、この点について当局からは何か提案はあるか。
県:確かに月例給と特別給の改定日が違うということはあるが、人事委員会もそれを承知の上で判断、勧告を行っておられるものであり、勧告どおり実施したい。
他県等の状況からしても、月例給と特別給で改定日が違うというのは、いわば異例であり、今後も今のままでいいのか人事委員会とも話はしたいが、今回勧告の改定日は変えられない。
勧告を受け入れた上で、今後については他県の状況も含め、人事委員会とも話はしていきたいと考えている。
県職労:これまで労使で、不利益遡及を回避する、独自のルールを決めてきた。それを人事委員会が、特異なダブルスタンダードの改定日で変えてきた。それに対して違和感等は感じないか。
県:これまでの勧告は、改定日は実質的に県に委ねるというものであり、それに対し労使で話をしてやってきた。
しかしこの度、人事委員会がそれではいけないと判断して勧告してきたものであり、労使合意だから関係ないとはいえない。
県職労:勧告に従わざるを得ないという立場は理解する。
人事委員会勧告制度は、本来は、4月分の給与を調査、比較し、それに基づいて年度賃金を調整する制度であるということは認識しているか。
県:認識している。
基本はいわれるとおりであるが、この度はそれらの点も考慮して勧告されてきたと認識している。
県職労:一旦中断して、協議することとしたい。
(中断)
県職労:勧告どおりの改定日で、今年に限り、了解することとしたい。
月例給の比較についても話したが、賃金も上下する時代に入り、人事委員会もそれに応じた配慮が必要になってきたのではないかと考えている。来年度、総合的な話で新たなルールを誠実に協議するということであれば、月例給は1月1日から、特別給は12月1日からということで受け入れることとしたいが、どうか。
県:人事委員会とは、給与制度のあり方の中で、改定日も含めて一緒に議論をしていきたいと考えている。
【その他の課題について】
県職労:条例改正に係る部分はここまでであるが、確定交渉は労使の一大行事であり、今は給与改定で精一杯と思うので、協議できていない課題については継続協議としたい。
県:給与改定以外の部分については引き続き協議していきたい。
県職労:課題事項の中身の注意点について話をしておきたい。
給与の比較にも影響する内容であるが、4級係長に関連して、時期はわからないが、道州制も視野に入るようになってきている。そのとき、本県職員が不利益にならないような視点も持ってほしい。
県職労:非常勤職員については、組合を結成し、賃金の問題を解決しようとしている。本当に大変な思いをしており、同じ県職員として同等に扱ってもらいたい。
県:非常勤職員組合とも十分協議をさせていただきたい。
非常勤組合:非常勤職員は社会問題となっている。改正パートタイム労働法は、基本は民間の法律であるが、厚生労働大臣は国会で全労働者にあてはめるのが基本と答弁している。
同じ労働者であり、法の趣旨は公務員を除くということではない。
県:パートタイム労働法自体は、公務員には適用しないとされている。
非常勤組合:公務員は除くということではない、ということが国会答弁である。
また、宙に浮いているのが育児休業。公務員の非常勤職員だけ育児休業がない。
地方公務員育児休業法には、非常勤職員には育児休業制度を作ってはいけないとは書いてない。非常勤職員には適用しないというだけである。
県が独自で対応する条例の準備を検討するようなことはあるのか。早急に対応してほしい。県費の負担も生じない。すぐにでもできるはずである。他の自治体でもやっている所もある。
県:育児休業の問題は、先ほどのパートタイム労働法とは別の話である。地方公務員育児休業法で非常勤職員は育児休業の対象から除外されている。
非常勤組合:他の自治体で独自に制度を設けているところもある。自治体で考えが違うのか。
おかしいものはおかしい。労働者の中で、地方公務員の非常勤職員だけ育児休業がない。
法律ではない。解釈の問題である。
趣旨は労働者の権利ということである。厚生労働大臣も言っている。
県は民間を指導する立場である。県が独自で非常勤職員に育児休業制度を設けても問題はない。他の自治体の例もある。県ができないというのは逃げである。
県:地方公務員育児休業法の趣旨については、総務省にも確認した。
非常勤組合:もう一度総務省に確認してもらいたい。せっかく組合を結成し、この交渉にも参加している。他の自治体でやっているところはインターネットでわかる。回答期限の日にちを区切ってもらいたい。
県:調べた上で回答している。
非常勤組合:改正パートタイム労働法は、同一労働同一賃金ということ。公務員は対象外ではあるが、適用できる所とできない所を検討してもらいたい。
要は、昔と今で非常勤職員の概念が違っている、この点を認識してもらいたい。
県職労:非常勤組合は、連合の労働弁護団の支援を受けており、当局が不誠実なら言ってくれと言われている。
きちんと調べて、理屈が通って、ダメならばダメ、いいならいいをはっきりさせてほしい。
県の職員と同等にちゃんと取り扱ってほしいということである。
県:誠実に協議、対応したいと考えている。
県職労:時間外勤務の縮減は、賃金以上に大きな話である。
職員の5%削減は知事の公約である。組合も、最初に知事と意見交換をしたときは、仕事を減らして人を減らすのであれば、財政も考えればある程度理解はできると言った。
しかし、仕事は減っていない。人員は知事の権限で減らす。連動して仕事を減らすのも自分の裁量であるのに、そちらは減らない。
一方を減らし、一方が減らないのでは整合性がなく、組合員はたまったものではない。
管理運営事項を交渉する気はないが、時間外は減っていない、減らそうという本気が感じられない。
時間外勤務が減らせないなら、職員も減らせないというくらいの覚悟を決めるよう知事にも伝えてほしい。時間外勤務の縮減については継続協議とするので、当局も覚悟してもらいたい。
県職労:子の看護休暇の拡充については、国の運用方針も出て、やっと具体の協議に入れるが、来年4月から実施ということでよろしくお願いしたい。
最後に、昨年も賃金がやっと合意して議会で条例改正をしたが、賃金以外の残りの交渉の整理がつかず、年度を超え、幹部が謝罪する事態となった。
2年目は、これはない。腹を据えて、後半の課題対応をお願いしたい。
県:昨年のようなことがないよう、誠実、迅速に対応したいと考えている。こちらからもよろしくお願いしたい。
県職労:条例に関わる合意ができ安堵しているというのが正直なところである。
残りの課題については、できるだけ早期に、よろしくお願いしたい。
とにかく安堵したということ、以上である。
県:最初、互いの主張に隔たりがあり、交渉、2回の折衝を行ったが意見が合わず、合意できるかどうか、困難もあった。
その中で、県としても、これまでの労使関係を踏まえ、組合側の主張も考慮して判断した。
今後も、協議していく課題は数多くあり、立場は違うが、よろしくお願いしたい。