令和6年度附議案

平成18年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨


 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。

 今議会に提案いたしました議案は、 予算関係34件、条例関係42件、その他の案件13 件の合計89件 であります。

 最初に、議案第1号 平成18年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 まず、政府が進めてきた一連の「三位一体改革」は、本来、地方の自主性を高め、国と地方を通ずる行政のスリム化に資するはずでありましたが、今日までの状況を見ると、理想からはおよそ程遠い内容となり、結果として本県財政に大きな負の影響を与えるに至っております。
 私は就任以来、厳しさを増していく財政見通しを踏まえ、徹底した歳出の効率化に努めてきたところであり、その結果、平成17年度から公債費が減少に転じるなど一定の効果が現れはじめてまいりました。しかしながら、この三位一体改革の中で行われた3年間にわたる地方交付税の削減は、予想をはるかに上回るものとなり、本県財政は依然として多額の基金の取り崩しを余儀なくされるなど、これまでにない厳しい事態に直面しております。 
 このような非常事態ともいえる厳しい財政状況を踏まえ、今回の予算編成におきましては、プライマリーバランスに留意しながら県債の発行を可能な限り抑制していくことなどにより「持続可能な財政構造」へ転換していくことを急務と位置づけ、歳入の確保に全力を尽くすとともに、人件費を含めた総事業費を明示するトータルコスト予算分析を試行的に導入し、従来にも増して徹底した歳出の見直しに取り組んだところであります。
 その結果、予算総額は、3,744億9千5百万円と、前年度の当初予算額と比較し、5.5%減の規模となったものであります。

 さて、財政状況誠に厳しい中ではありますが、この度の予算では、事業の効果を最大限に発揮させるよう、各主体の自主性に基づく事業展開を促すための補助制度の見直しを行うほか、地域産業の活性化につながる「知の地域づくり」に関する施策、「地域を支え家族を大切に」するための施策など、地域の自立と再生に向けた取組みについては、これを積極的に進めることとしております。

 最初に、「自立型社会への転換に向けて」についてであります。
 それぞれの主体が自ら考えて自ら行動することこそ自立型社会の原点であるとの考え方に立ちながら、市町村、各種団体等の自主性を活かした効果的、効率的な取組みを促進するため、事業選択も含めて自由度を高めた交付金制度を創設することとしております。具体的には、市町村に対する補助金のうち、奨励的な補助金を一括して市町村交付金とするほか、商工会や農協等に対する補助金の一部につきましても可能な限り使途の制限を緩やかにした交付金とすることとしております。
また、地方自治の理念に基づく住民の活動を支援するため、住民が行使できる権利やその手続きについて情報提供する仕組みを構築するほか、意欲と能力のある企業に対する無担保・無保証の融資制度を創設するなど、自立を目指す地域住民や事業者等の取組みに対し積極的に支援していくこととしております。

 次に、「知の地域づくり」についてであります。
 本県の持てる力を存分に発揮した地域づくりを進めるため、国内外に誇れる知の財産を発掘、顕彰するとともに、産学官が連携した研究開発や高等教育機関の調査研究を支援するほか、先端産業に従事する技術者や技能職種における後継者づくりなど人材の育成に力を入れることとしております。
 また、教育関係の審議会を整理・統合し、鳥取県の教育について包括的に審議する鳥取県教育審議会を設置するほか、県立高校全校への司書配置や司書教諭の研修会の実施、スクールカウンセラーの充実に加え、厳しい財政状況の中、少人数学級を継続実施するなど、教育環境の充実に取り組むこととしております。

 次に、「産業振興と雇用対策」についてであります。
 地域で育まれた人材や産業技術を活用し、高付加価値を実現できる産業構造への転換を図るため、産業界を担う人材の育成や意欲のある企業等に対する支援、製造業のデザイン力向上などに取り組むこととしております。
併せて、誘致対象企業の調査や企業訪問を専門に行う職員を配置することなどにより企業誘致を強力に進めるほか、新たな産業分野への参入支援を積極的に行うこととしております。
 また、依然として厳しい状況にある雇用問題を解決するため、若年者就業支援員を増員するとともに、中高年や建設業離職者を対象とした職場体験講習を実施するほか、障害者等に対するきめ細かな就業支援を行うことなどにより、雇用機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。

 次に、「地域を支え家族を大切に」についてであります。
県民の皆さんの生活や活動の基盤である地域をみんなで支える取組みを進めるため、市町村や地域住民、NPO等が行う地域活動に対して支援するとともに、地域住民が主体となって行う川づくりや地域で行う農業用水の保全活動等を進めることとしております。
 また、障害者、高齢者、児童、DV被害者等を取り巻くさまざまな課題を克服するため、各福祉保健局に関係機関とのネットワークづくりを担当する職員を配置するなど相談支援体制の充実に取り組むほか、賃貸住宅のバリアフリー化に対する支援などにより地域と家族を支える取組みを進めてまいりたいと考えております。
 さらに、鳥取大学医学部附属病院が行う総合周産期母子医療センターの設置に対して支援するとともに、地域医療を担う医師を確保するための仕組みづくりなど医療体制の整備にも力を入れていくこととしております。

 次に「安全・安心な地域づくり」についてであります。
 防災対策に関する研修会の開催や自主防災活動への支援などを通じて住民や地域が自ら災害に備えるという意識を醸成していくとともに、震災に備えるため住宅・建築物の耐震改修に対する支援を行うほか、県立学校の耐震診断を計画を前倒しして実施することとしております。
 併せて、犯罪や病気、事故などの発生を防ぎ、安心して暮らせる地域づくりを進めるため、地域による防犯活動への支援や抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の備蓄等を行うとともに、交通安全対策や食と住まいの安全対策などに取り組むこととしております。

 次に、「歴史・文化に親しむ地域づくり」についてであります。
 地域の歴史と伝統を大切にし、これらをこれからの地域づくりに活かすため、新鳥取県史の編さんに着手するとともに「とっとりの女性史」の刊行などにより本県の歴史について県民に知っていただく機会を提供することとしております。また、三徳山が開山1300年祭を迎えることを契機として、その魅力や価値を県内外に広く情報発信していきたいと考えております。併せて、「弓浜がすり伝承館」を人材育成と情報発信の機能を兼ね備えた施設として改修することなどにより、伝統技術の継承にも努めてまいることとしております。
 文化芸術につきましては、県民自らの手による「鳥取県総合芸術文化祭」の開催や日本演出家協会による「演劇大学」の開催などを通じまして、文化芸術にふれる機会づくりや郷土の芸術家の育成に取り組んでいくほか、本県出身の作家「尾崎翠」の小説を基にした映画の制作を支援することとしております。

 次に、「多様な交流の推進と観光の振興」についてであります。
 本年で友好提携20周年を迎える中国河北省から友好訪問団を受け入れるなど、環日本海諸国との多面的な交流を着実に進めていくとともに、本県にゆかりのある都市や地域など国内他地域との交流を進めていくこととしております。また、本年10月に開催されます第19回全国スポーツ・レクリエーション祭におきましても、今後の多様な交流のきっかけづくりとなるよう、市町村や県民のみなさまと協力しながら心温まる運営に努めてまいりたいと考えております。
 観光の振興につきましては、本県各地に残る優れた景観や風情、さらには本県出身の作家による「まんが」など、魅力ある地域資源を最大限に活用することとし、県民や地域による観光メニューの造成を支援するほか、中国5県やJR西日本とも連携しながら広域的な観光振興に力を注いでまいりたいと考えております。
 このほか、米子-ソウル国際定期便に対する支援を継続することとし、これを活用した外国人観光客の誘致を島根県とも協力しながら進めていくこととしております。

 最後に、「環境立県」についてであります。
 環境問題の解決には、個人や地域の主体的取組みが不可欠であることから、環境教育の充実に努めるとともに、地域住民による自主的な環境活動への支援や鳥取県版環境管理システムの家庭、地域への普及などを通して、自ら行動する機運を醸成していくこととしております。
 また、中海のラムサール条約湿地への登録を契機として、本県の恵まれた自然環境の保全と賢明な利用に向けての取組みを促進するとともに、地球温暖化防止の一環として、環境意識の高い企業に森林保全活動を行っていただくための仕組みを構じるほか、県有施設に率先して木質燃料のボイラーを設置するなど環境にやさしい自然エネルギーの導入を進めることとしております。

 以上、平成18年度鳥取県一般会計予算の内容を御説明いたしました。


 続きまして、議案第20号 平成17年度一般会計補正予算について御説明いたします。
 この度の補正予算では、先の豪雪により被害を受けたビニールハウスの復旧や智頭町市瀬及び大呂地区の山頂部の排土に要する経費、山陰自動車道整備をはじめとする国直轄事業に係る県負担金などを計上する一方、現時点で確定できる不用額を精査することにより、111億6千万円余を減額することとし、補正後の予算総額は、3,843億7千万円余となるものであります。

 次に、予算以外の諸議案のうち、その主なものにつきまして御説明いたします。

 議案第37号 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例の設定につきましては、現行条例の施行に当たって、人権侵害の定義が曖昧であるなどの不安が指摘されていること、また、制度を運用するために欠かすことのできない県内弁護士の協力が得られる見通しが立っていないことなどから、現行条例をこのまま運用することは極めて困難な状況にあります。
 こうした事情を踏まえ、あらためて地域立法の基本理念に立ち、我が県の実情に即した制度・内容とすべく、この際現行条例を抜本的に見直すこととし、このため、当面6月1日に設定されている当該条例及び関係条例の施行を、別に条例で定める日までの間、停止しようとするものであります。

 議案第40号 鳥取県知的財産の創造等に関する基本条例の設定につきましては、「知の地域づくり」の一翼を担う知的財産の創造、保護及び活用に関する政策の目標等を明らかにするとともに、県職員が行った職務発明等に関し必要な事項を定めようとするものであります。

 議案第49号 鳥取県総合事務所設置条例の一部改正につきましては、東部総合事務所及び八頭総合事務所の設置に伴い、所要の改正を行おうとするものであります。

 議案第57号 鳥取県動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正につきましては、動物の愛護及び管理に関する法律の一部が改正され、動物取扱業の登録制度等が法律に規定されたことから、法律と重複する条例の規定を整理するとともに、併せて鳥取県手数料徴収条例の一部を改正し、動物取扱責任者研修等に係る手数料の規定の整理等を行おうとするものであります。

 議案第71号 鳥取県港湾管理条例の一部を改正する条例の廃止につきましては、鳥取港ボートパークの管理を指定管理者に委ねることとし、候補者を公募していたところ、候補者への応募がなかったため、あらためて県が直営で管理することとしようとするものであります。

 議案第77号 ベリーズ船籍貨物船重油流出事故災害の補償の和解につきましては、平成14年3月31日に発生したベリーズ船籍の貨物船アイガー号からの重油流出事故による流出油の除去等に要した経費の補償について、船舶所有者及び保険会社と和解しようとするものであります。

 議案第85号 職員の給与に関する条例等の一部改正につきましては、人事委員会勧告を踏まえ、職員組合との交渉も経て、給与水準の引下げなどの給与構造改革を実施するとともに、産業教育手当及び農林漁業改良普及手当の廃止など社会経済情勢の変化に対応した諸手当等の見直しを行おうとするものであります。

 議案第88号 鳥取県知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部改正につきましては、平成17年度から特例措置として実施しております職員の給与の減額につきまして、今般の給与構造改革及び本県独自の給与制度見直しなどを踏まえ、知事等を除く職員のカット率をそれぞれ1%引き下げようとするものであります。

 以上、今回提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  

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