平成18年度現業組合労働協約締結交渉の概要
○日時 平成18年3月28日(火)14:05~15:30
○場所 第12会議室(議会3階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、
萬井副主幹
現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他7名
【職長の設置等について】
組合:給与制度が大きく変わっていく中で、機会が平等に与えられ、それに対する適正な評価に基づき処遇されることにより、組合員の納得が得られると考えており、ますます評価制度が重要な要素となってくることは現業職、非現業職とも同じことである。
組合としても、主任、主査等の見直しなど職務に応じた給与制度への改革を受け入れたが、現業職の場合、異動がほとんどなく同一職場で永年勤務する者がいたり、少人数職場も多いなど特有の環境が存在しており、評価制度を構築する上で、このような環境の改善、従来の職種変更の考え方を変えることなども含め、課題の整理が必要だと考えている。これに対し、県はどう考えているのか。
県:現業職の異動については、確かにこれまでは硬直的な面があったと感じている。従来のように職種転換や異動にあたって硬直的なままであれば、今後は結果的に機会の不平等につながる恐れが出てくるのではないかと思う。
現業業務もゼロにする訳ではないが縮小傾向に向かう中で、職員課としても非現業職への転向も含め、様々な職種変更などの流動化のあり方を示す必要はあるが、組合員自身ももっと柔軟な発想に慣れていただく必要があると思う。
組合:組合としても組合員に対して、意識改革の必要性は伝えている。今回、転職試験を受けた者のように、現業職の中にも行政事務に関わりたいと希望している者がいることも事実である。行政事務は現業職の業務ではないことは理解しているが、このたびの現業主事の廃止の提案をみる限り、現業職は全く行政事務を行ってはならないといったように受け止めらる。行政事務の中でも一定の水準の業務は、現業職のひとつの選択肢として考えることはできないのか。
県:行政事務に従事する職員は、当該業務だけではなく、他のどの職場においても職務をこなせることが前提となる。本来、行政職と現業職の中間的なジャンルの職というのはおかしい。今回、転任試験合格者以外で5名の方を現業主事のまま残したが、これは緊急避難的な措置として講じたものであり、将来的にこのような措置を講じていくものでないということは申し上げておく。
組合:本来の職務と責任に応じた業務を行うことを基本として整理した上で、主事級の業務の中の一部について現業職として携ることができるものがあるのではないのか。
県:ひとつの切り口ではあり、ゼロベースから議論していくことは構わないが、平成18年度は、現業職として欠員が出ている状態の中で、5名の者を現業主事として残している。このような状態は異例なことであり、今後は現業職全体の整理の問題の中で考えていく必要がある。
組合:職長については、処遇だけでポストを設定することは考えていない。組合としても職長に対する具体案を示していきたいので、現在行っている業務について、職務と責任に応じた給与となるよう労使で引き続きよく議論していきたい。
県:時期的に年度末でなかなか検討を進めることができなかったが、18年度に入って早々にも具体的な整理を進めて案をお示しするので、組合との議論を再開し、協議を精力的に進めていきたい。
組合:現在は、評価者が現場の職員の職務の実態を十分に知らないで勤務評定を行っているところがあり、これが最大の問題である。評価制度の必要性は組合としても認めているので、各組合員のモチベーションが下がらないような評価制度とならなければならない。
県:職長をつくるということは、同じ職場の中で一緒に働いている者の中に評価者を設定するという観点も含めて検討するものだと認識している。
【水準見直しの経過措置について】
組合:現業の給与水準の見直しについては1年間の現給保障の後、5年かけて移行されるが、主任主査の見直しにおいては新たな制度への移行経過措置として2年間現給保障されており、これとの均衡を考慮して、2年間の現給保障を要求するものである。期間の長短は別にして、現給保障期間中に新たな制度を構築していくという考えについては共通認識だと考えているが、県はどう考えているのか。
県:給与水準見直しによる新たな制度への移行の中には、例えばポスト職の整理や評価の問題など、ある意味では永遠の課題として絶えず点検・見直しを行っていくことが必要な課題も含まれている。従って、どこまで整理ができれば新たな制度として十分であるといったレベルに達したかという絶対的な基準があるわけではないが、昨年の交渉の中で、主要な課題として議論された職長ポストの整理については、この1年間の内に一定のところまで目途はつけたいと考えている。労使で議論したものの新たな制度が構築できなかったから現給保障期間を延ばす、ということが許されるとは考えていない。職員内部での納得性も大切であるが、それと同等以上に対外的な納得性、県民の納得を得ることが大切であり、現時点では設定されている1年間に労使が精力的に議論し、新制度への移行を完成させるのが労使双方に課せられた課題だと考えている。
組合:この経過措置の問題は、職長設置の議論と並行して議論していくということで整理したいと考える。
【労働協約締結について】
組合:平成18年度においても、平成17年度に新たに労使で勤務条件の変更を合意したものを除いて、平成16年度に締結している労働協約に規定されている勤務条件と同一であることを確認したい。
県:労使で合意していないのは、給与水準の見直しに関わる事項のみと認識している。それ以外の項目については、変更を伴うものについては合意しているし、それ以外のものについては変更はないと認識している。
労働協約の有無に関わらず、労働条件を変更する場合には、労使で十分に話し合うという基本姿勢に変わりはない。
【事前協議制について】
組合:平成18年度の組織改編については、行政経営推進課から廃止するものの提示はあったが、時期的にもかなり遅く、それに対する現場の意見を言う機会のないまま、組合員の納得のないまま、後3日ほどで18年度の新体制がスタートしようとしている。廃止するものに限らず、運転士や母来寮や皆成学園などの欠員状態の職場など、現場への負担をそのままにした平成18年度の体制、定数に対して、どのように考えているのか。このような事前協議制のあり方についてどう考えているのか。
県:業務のあり方を考えるにあたっては、どういう組織、定数とすべきかを検討することが必要である。意見を言う機会がない時期に示されたということであるが、確かに時期的に十分ではなかったかもしれない。前広にお示しできるものは示すという気持ちは十分にある。18年度においては、業務の見直し検討にあたり、労使で意見交換をやっていく手法を取れば、組織定数の決定の時期に組合として検討の時間もないといったこともなくなるであろうし、ある程度意思疎通ができるのではなかろうか。
組合:組合としては必ずしも定数にこだわるものではない。必要な仕事のために必要な人員を配置する、そのための柔軟な対応を求めているだけだ。実際、今年度も総合療育センターにおいて介護員が必要だということで、現業の定数として要求することなく、職種転換を希望する者を探してきた経緯がある。仮にその仕事がなくなり、他の職場で現業の職が必要であれば、そこに配置するといったような柔軟な体制が取れるよう考えていく必要があると思う。
県:そのような点も含めて、よりよい人員配置等を目指して、労使が率直に意見を交わすことが有効かつ必要だと考えており、行政経営推進課も含めて18年度早々に意見交換ができる場面が設定できるよう日程調整をしたいと考えている。
【労働協約締結について】
県:最後に申し上げるが、県としても交渉の結果を総括する形としての明文化された労働協約の持つ意味は重いという認識を持っている。昨年来の交渉において、交渉が決裂した後においても、組合も現実的な観点でよく考えていただき、随分現実的な考え方に立っていただけるようになったと今回の交渉を通じて感じている。現給保障以外の課題は概ね整理でき、労使の考え方が概ね同じ方向を向いていることが確認できたのではなかろうか。そうであれば、県の方から言うことではないかも知れないが、正常な労使関係に戻るという意味において労働協約を締結するということは、意味があると思う。組合としてはどうしても職長ポストの問題も含めて、一定の整理ができなければ協約締結できないということであれば、いったいどの様な段階、状態になれば締結できるのか、かなり難しい判断が必要になるのではないか。以上申し上げた点を再度、組合として検討していただき、今後の進め方について回答をいただきたい。
組合:組合としても、先輩達が積み重ねてきた成果である労働協約の重みについては十分受けとめている。本来、平和的労使関係の構築は必要であるが、昨年の給与水準の見直しによる労使決裂といった状態は、組合としても正常な状態だとは思っていない。組合としても18年度1年間かけて一定の整理を行っていきたいと考えていたが、必要以上に先延ばしや時間稼ぎをする考えではないので、今の県の考えを聞き、再度検討を行い、今後の対応について回答したい。