平成18年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
○日時 平成18年11月21日(火)14:30~19:45
○場所 第2会議室(本庁舎地階)
○出席者 知事部局:伊澤職員課長、広瀬給与管理室長、萬井室長補佐、三田主事
県職労:片山執行委員長、山中書記長、櫻井書記次長
現企労:有本執行委員長、上田書記長 外26名
<概要>
【非常勤職員の処遇改善】
組合: 通勤手当相当額の支給に際し、来年4月からの支給に向けて努力したいとのことであったが、1日6時間、週5日勤務の者、あるいは1日8時間勤務で勤務日数が少ない者についての計算方法はどうなるのか。
県: 一般職員の通勤手当は、ご存じのとおり1月当たりの通勤回数を21日として計算しているため、勤務日又は勤務回数の実態の勤務回数に応じて割り戻した額を支給することとなる。
組合: 仮に月17日勤務の非常勤職員の場合、一般職員の通勤手当相当額の21分の17ということでいいのか。
県: そういうことになる。
組合: 非常勤職員の有給休暇について、現在は労働基準法どおり6ヶ月勤務実績がなければ付与されないが、勤務形態に応じて現在定められているそれぞれの日数を6月間前倒しするという理解でいいのか。
県: 結果的にそういうことになる。
組合: 臨時的任用職員の場合、6か月更新後に年間16日間の有給となるが、先の通勤手当の考え方と同様に16日の勤務日数割り戻しという考え方はないのか。
県: 現在は考えていない。ただし、現在行っている非常勤職員のあり方の総合的な整理の中で、勤務状況に応じた年休付与等についても併せて検討していきたいと考えている。
組合: 従来、勤務条件等については、案が示された段階で決定事項的に受け止められ、職場に大きな混乱が生じてきた。今回の総合的な点検により、職によっては改善とならない部分も出てくるであろうが、基本的には労働条件が改善されることが前提だと考えている。非常勤職員の労働条件が交渉事項かどうかの問題も若干あるが、労使の協議事項として考えていいか。
県: 広い意味で理解し、大まかな見直しの方向性ができた段階から職員の皆さんに示していきたいと思っている。また、その段階から必要な情報については組合にも提供し、意見を伺っていきたいと思っている。
組合: お互い持っていない情報を持ち寄り、共通認識のもとで有用な話となっていくようにしたい。
通勤手当を一般職員と同様の扱いとすること、年休を採用日から取得可能とすることを来年の4月に実施するということを確認した。
【初任給基準の改善、査定昇給】
組合: 他の給料表についても行政職給料表と均衡で考えてもいいのか。
県: 地方公務員法に規定されている諸原則に従うことが大原則である。ただし、若年層の査定昇給の運用については、若年層の特性に伴う措置であることから、結果的にはどの給料表においても同じ取扱いになるよう人事委員会と協議していきたい。
組合: 査定昇給については、管理職層について平成19年1月1日から実施するということで、県としても本年度4月から所属長会議等職制のラインで説明してきているし、特段それに対して異論も聞いていないのでやむを得ないものと考える。ただし、不満のある職員への苦情処理制度の周知には最大限の努力を行っていただきたい。一方、非管理職層については、本年度は実施しないということなので了解する。平成20年1月1日の運用に向けて、十分な協議を行っていきたい。若年層の査定昇給については、標準者を5号給とし、6年間措置するという提案を了解する。初任給についてこれまで議論してきたが、当面、大卒の初任給を1級35号給を目指し改善していくことを共通認識とし、若年層の査定昇給との差の4号給を、人事委員会に対し労使で改善を求めていきたい。
県: 苦情処理制度の周知にはできる限り努めていく。また、初任給については、スタート時点として大卒で民間実態とは10号給乖離していることに対する改善が必要なことを認識し、人事委員会に対し引き続き初任給改善を求めていくこととする。
【人事委員会勧告】
組合: 扶養手当について、今年の勧告では、第3子については国の少子化対策の配慮を受けた増額と均衡を取りつつ、一方で配偶者の額を県内の民間の支給実態との均衡から減額としている。結果的に配偶者と子2人を扶養する職員の手当額は減ることになり、合計特殊出生率の状況を踏まえれば、第2子を持つことに対する経済的支援が急がれると思うが、その観点からすればズレているのではないか。県としてどう考えるのか。
県: 従来から2人目と3人目以降の扶養手当の額の格差に議論があって徐々に差額は少なくなってきていたが、今回この格差をなくすことに意味があったものと考えている。一方、一般的に扶養手当の原資をどの部分にどのように配分するかについては様々な考え方があり、制度の根底から今後も議論すればよいのではないかと思う。人事委員会においても今後検討されていくだろう。
組合: 本年度の勧告について、組合として納得していないことはこれまで主張してきたとおりである。一方、地方公務員法に勧告制度が規定されており、それ自体を否定することはできないので、納得のできない人事委員会勧告であるが受け入れる準備をしていかなくてはいけないと考える。ただし、人事委員会勧告を尊重するという基本姿勢を県当局がとるのであれば、現在行われている賃金カットの廃止を併せて要求する。
県: 給与カットについては、様々な経過を経て、昨年度、平成19年度末まで実施することを合意したところである。また、主任主査の見直し、現業職の給与水準の見直し、諸手当の見直し等の諸事情を考慮した上で、本年度、当初のカット率からそれぞれ1%ずつ緩和したところである。組合の主張はお聞きしたが、給与カットは、財政状況の悪化というやむを得ない状況から、人事委員会勧告制度の枠外の特例的な措置として職員にお願いし、協力してもらっているものであり、人事委員会勧告の実施とは別次元のものとして整理すべきである。したがって給与カットを廃止することはできない。
組合: 昨年度の給与カットの合意は、1%圧縮の提案があったから行ったわけではない。組合として、主任主査制度の中で県が示した姿勢、財政再建のわかりやすい説明への努力等誠実さが見えたから合意したものである。給与カットについて、当初、知事からは「人事委員会勧告を尊重することが大原則。ただし、財政再建団体に陥る可能性がある場合には、勧告を尊重できない場合もある。このままの財政状況であれば財政再建団体になる。危険性を回避するための措置として給与カットに協力することをお願いしたい。」との提案であったはずだ。当時、財政基金の取り崩し状況等の資料も提示されたが、具体的な説明は一切なく、ただ単に「このままいけば財政再建団体になる」の説明だけであった。現在の県の決算状況をみれば、基金の状況も悪化していることはなく、危機状況が回避されたのであれば、カットについても1年前倒しで廃止してもいいのではないか。
県: 県として、従前にもまして公共事業投資の圧縮等様々な歳出抑制措置を行いながら、基金が減らない努力をしてきたところである。その歳出抑制の一方策として給与削減措置を3年間に限って行っているものであり、それらの結果が基金等の状況として現れているだけで、歳出抑制措置を継続して行っていかなければならない環境がなくなっているわけではない。給与カットは、人事委員会勧告を実施した上で、財政状況の悪化というやむを得ない理由から原則をはずれて実施されているものであり、勧告の実施とセットで議論することはできない。ただし、平成19年のカット率について、議論、検討しないといっているのではなく、平成19年度の予算編成状況が見えてくる段階で、最大限緩和できるよう検討していきたい。
組合: 平成18年の確定交渉は平成19年以降も反映される。平成19年のカット率に異議があれば来年度の人事委員会勧告で意見が出るだろう。組合としては、今年度の人事委員会勧告を完全実施すること、つまり、給与カットは廃止することである。
県: 本人事委員会勧告における給与改定においては、給与カットの実施状況も踏まえた上で、その状況を前提としながら勧告されたものであることは申し上げておく。
<一時中断>
組合: 今回の勧告を実施すれば、組合員の士気が下がるのは自明の理である。職員の士気が下がることに対する認識はあるのか。
県: 確かに一般的には給与が下がることに対し、職員の士気の面でプラスの影響があるとは思えない。そういった意味においては、職員が引き続き厳しい環境に置かれていることは十分認識しているが、一方、民間の状況を考えれば、勧告を実施しないことに対し社会的理解が得られるとは考えられない。職員の士気の問題をあまり大きな声で言ってみても、県民の支持や応援が得られる訳ではない点は踏まえなければならない。勧告実施に併せ、一層働き甲斐のある職場環境となるよう様々な点検するとともに、給与カットについても、財政状況をみながら可能な限り緩和できるよう最大限努力したい。ただし、地財計画等国の予算編成が不透明な状態の現段階において、県の予算編成も全体像が見えていない。このような状況では具体的にいくら緩和できるかということが言えないことも理解して欲しい。
組合: 県の話していることは理解できるが、組合員にとっては、実際支給される給与がいくらになるかということが最大の関心事である。勧告とカットはセットで考えなければならない。これから先自分達の給料がどのくらい支払われるのか見えなければ、組合としても回答ができない。
県: 県財政に大きな影響があると考えられる地方交付税に代表される地財計画が昨年並みに組まれたという一定の条件の下で、その他不確定要素があることを前提にということであれば、あくまで検討中の案として数値的なものを示せないわけではない。一定の条件付ではあるが、具体性のある提案を示せば、給与カットも含めて全体を一括して合意できるのか。
組合: 約束できない提案であれば聞くことはできない。また、カット率をどうするのかは、組合にとって大きな問題であり、本日の交渉の場で決着できるものではない。
県: 当初からお話ししているとおり、本日が最終交渉であることを労使双方が認識した上で本日の交渉に臨んでいるはず。条例提案についての判断を行う時点が迫っており、時間的余裕がない。本日、合意が得られないのであれば、合意できなかったという整理をもって、県としての判断を行っていかなければならない。給与の下降局面も踏まえ、平成19年度のカット率は可能な範囲で最大限努力するお約束をしたいと、誠心誠意お話ししているところであるが、組合が具体的な数値、方向が明らかにできないのであれば議論できない、更には、仮に具体的な数値を示したとしても、この場においては判断ができない態勢であるというのであれば、今回の確定交渉は、労使合意に至らず、交渉を終了するという整理を行わざるを得ない。これを踏まえ、条例提案に対する県の判断を行い、改めてお伝えする。ただし、このことにより労使関係が悪化することを望んでいるものではなく、継続して諸課題の交渉、議論は行っていきたいと考えている。
組合: お互い交渉で議論は尽くしたが、現在のままで県の提案に対し合意するとは言えない。合意できなかったが、労使関係を悪化させずにカット問題も含めて他の諸課題の交渉は続けていくという整理でよい。