おかかの日野川
日野川は三国山から発し約77キロメートルで日本海に注ぐ。同じ三国山から瀬戸内海側に流れる高梁川は約111キロメートル、いかに日野川の勾配がきついかがわかる。
大山・日野川・中海は鳥取県西部にとってシンボル的な存在。大山は父であり、日野川は母であり、中海は兄弟である。
鉄穴(かんな)(流しと洪水
昔、日野川流域では砂鉄の採取が盛んであった。流水を利用して砂鉄を採取した後、不要となった土砂が日野川に流れ込み、川床が上昇して大雨ごとに洪水を繰り返した。
洪水による被害の一方で、土砂流出にはプラス面もある。すなわち、弓ヶ浜の形成である。
土砂が海に流れ込み、海流と北風の力により弓ヶ浜が形成されたのである。
河川交通と渡し
出雲のお殿様の参勤交代はどうしても日野川を渡らなければならなかった。基本的には徒歩渡しで、日野川越えは危険を伴う最大の難所であった。車尾・八幡・溝口・舟場などの大きな渡し場の他、地域の人々が渡る渡し場もたくさんあった。
豊富な川漁
日野川にはいろいろな魚が棲んでおり、昔はサケもたくさん遡上していた。昭和10年の「米子自治史」には車尾の水産業について「アユ246キログラム、サケ459キログラム」が捕れたとある。日野川水系漁業共同組合ではサケの稚魚の放流を続けている。日野川は大切にすればきっと元のような豊かな川に戻る。
こころの日野川
山が哲学的な思考を与えてくれ、海は人間の希望・大きな広がり・空間を与え、川は人生を考えさせてくれる。
私の若き日に口ずさんだ歌
冬去り春の訪れて 日野の流れも水ぬるみ
ラインの春を想わする 瀨音も高く青春の華をたたえてゆくものを
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講演内容の詳細については、こちらをご参照ください。
〈PDFファイル:日野川への想いを語る会 機関誌「GET HEART」より〉
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