妻木晩田遺跡では弥生時代の鏡の1つである「内行花文鏡」の破片が出土しています。そこで、今回は弥生のものづくり講座プロフェッショナル編の第1回目として、内行花文鏡をはじめとする多数の鏡が見つかった福岡県平原遺跡出土の内行花文鏡をモデルにして弥生の銅鏡復元に挑戦しました。
最初に鋳造用の砂で鋳型(いがた)を作製します。弥生時代の銅鏡作りでは土の鋳型が用いられましたが、今回は作業効率と仕上がりの美しさを考慮して鋳造用の砂を用いました。砂であるため原型の模様の凹凸が拾いやすく、また特殊な薬品を配合してあることで炭酸ガスを吹き付けると瞬時に固化して鋳型ができあがります。
<砂型の作成>
鋳型作製と並行して、鏡の材料になる金属(銅とスズ)をるつぼに入れて溶かします。銅の融点は1000度以上の高温ですが、スズと混ぜることによって融点が下がります。それでも炉の中は1000度近い高温を維持しないといけないので鞴(ふいご)が必須です。この講座では自作の電動鞴を使いました。燃料はコークスです。鋳型が準備できたら、溶かした銅とスズの合金を流し込みます。この作業は熱く危険を伴うので職員が行います。
<合金を流し込む様子(鋳込(いこ)み)>
1時間程度冷ましてから銅鏡を取り出し、表面を研磨します。弥生時代は砥石などを使っていたのでしょうが、今回は電動工具や耐水ペーパーを使って磨きました。何しろ金属ですから、電動工具を使っても研磨作業はそう簡単ではありません。参加者からも「(全て手作業の弥生時代だったら)大変だっただろうねぇ」というつぶやきがありました。研磨作業は時間と手間のかかる工程ですが、みなさん熱心に取り組んでいました。
<取り出した銅鏡>
一生懸命磨いた銅鏡は、まばゆいばかりの輝きを放つ素敵な作品となりました!