10月27日(日)、弥生文化と鹿の関わりを考察するシリーズ講座「まるごと鹿」の第2弾「弥生の鹿卜(しかうら)」を開催しました。今回は、鹿の肩甲骨を使った弥生時代の占いについて、講義と体験を通して学んでいただきました。
講座前半の講義は、北浦弘人さん(鳥取県とっとり弥生の王国推進課青谷上寺地遺跡整備室長)から、弥生時代に鹿や猪の骨で吉兆を占った骨卜(こつぼく)についてお話しいただき、弥生人にとって鹿が特別な動物であったことなどもわかりやすく解説していただきました。青谷上寺地遺跡(鳥取市)から出土した本物の卜骨(占いに使われた獣骨)も間近で見せていただき、参加者の皆さんは興味津々で、たくさんの質問が飛び出していました。
講義で骨卜について学んだあとは、講座後半の体験です。まずは、鹿の肩甲骨をしっかりと観察してから、占いを行う部分を中心に、木の枝を使って磨きます。磨いた部分をよく見ると、光沢が生じていることがわかります。続いて、肩甲骨外側にある肩甲棘(けんこうきょく)と呼ばれる突き出た部分を小刀で削り取ります。これで準備は整いました。
いよいよ、骨に火を当てる焼灼(しょうしゃく)です。火持ちのよい桜の枝に火をつけて、肩甲骨の薄い部分を狙って火を当てます。枝の燃える匂いに交じって、骨の焦げる匂いが漂ってきます。
やがて、小さな音と共に骨にヒビが入り、弥生人はそのヒビを見て吉兆を占ったと考えられています。今回は、参加者全員がヒビが入る瞬間の音を聞き、ヒビを入れることができました。一説には、占いを意味する「卜(ボク)」という字の発音は、このヒビが入るときの音が元になっているとか・・・。しかし、この日の体験で聞くことができた音は、「ボクッ」ではなく「ピシッ」とか「ピキッ」に近い音でした。
ヒビの入り方でどのように占ったか、ということまでは分かっていませんが、参加者には、一連の骨卜の作法を体験していただくことができました。