2023年2月 タイ王国及び東南アジア諸国の動向

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タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

~タイのPM2.5問題 

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 一年中温暖な気候のタイでは日本のような四季はありませんが、1年を大きく分けて11月~2月の乾季、3月~5月の暑季、6月~10月の雨季の3つの季節に分けることができます。雨がほどんと降らない乾季と暑季は観光的にもハイシーズンとなりますが、一方で空気が乾燥して風があまり吹かないことから、近年では大気汚染が深刻な社会問題となっています。

 今回はタイのPM2.5問題についてお伝えします。

タイにおける微小粒子状物質(PM2.5)の現状

 タイの天然資源・環境省公害管理局(PCD)によると、微小粒子状物質(PM2.5)のタイ全土の多くの地域で、PM2.5が基準値を超えているとされています。3月9日の発表では、バンコクと近隣県のPM2.5の濃度は1立方メートル当たり50~110マイクログラムとなり、健康に害を与えるレベルでした。また、南部以外の各地域のPM2.5濃度も健康に害を与えるレベルでしたが、タイの北部および東北部では、この時期、山火事の発生や農村部の野焼きなどによる影響により、PM2.5の濃度が最も深刻な状態になっています。

 

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                                                           出典:天然資源・環境省公害管理局

PM2.5の発生源

 バンコクのPM2.5の主な発生源は、自動車の排気ガス(54%)、野焼き(35%)、工場からの排煙及び建設現場からの粉塵(11%)とみられています。一方で、北部や東北部など地方のPM2.5の主要な発生源は山火事や野焼きによるものと考えられています。

 下の表はタイ天然資源環境省国立公園野生動植物局(DNP)によるホットスポット(野焼きや山火事が発生しているとみられる高温の場所)に関する情報で、2022年10月1日から2023年3月9日まで約5か月間に76,377カ所のホットスポットが確認されました。ホットスポットの発生数が多い県上位10県を見てみると、ほぼタイの北部に集中していることがわかります。さらに、タイの北部が国境を接しているミャンマーやラオス側の国境付近でも多くのホットスポットが発生しており、タイ国内の対策だけでは状況が改善できず、問題解決をより難しくしています。

ホットスポットの発生数 上位10 県

(2022年10月1日から2023年3月9日まで)

県名

地方

森林保護地域内

国有林野地域内

森林保護・国有林野地域以外

合計

カンチャナブリ

中部

5,758

1,170

1,874

8,802

ターク

中北部

3,202

2,121

709

6,032

チェンマイ

北部

2,155

1,403

158

3,716

ランパーン

北部

1,118

2,128

465

3,711

チャイヤプーム

東北

1,495

375

1,547

3,417

ナーン

北部

1,482

1,579

310

3,371

ウッタラディット

中北部

1,647

566

733

2,946

ペッチャブーン

中北部

527

741

1,425

2,693

チェンライ

北部

360

1,135

731

2,226

ナコーンサワン

中北部

277

63

1,875

2,215

タイ政府が掲げる対策

  

 2019年、タイ政府はPM2.5の問題を国家的な課題として発表し、野焼き禁止や、黒煙車検知、ディーゼル車の使用抑制など、PM2.5対策を講じてきました。また、タイ政府は2023年に「粉じんによる大気汚染解決のための応急計画」作成し、以下の具体的な対策をすすめています。

(1)Facebook、TikTokなどSNSチャンネルを活用し、大気汚染情報に関する積極的な広報活動

(2)大気汚染管理の厳格化や大気汚染対策の推進(工場排煙の管理、自動車排出ガスの監視など)

(3)包括的な燃料管理

(4)粉じんによる大気汚染状況の継続的に監視・実施・評価及び規制違反者への罰則の厳格化。また、市民が最新情報にアクセスするための広報プラットフォームの整備。

(5)ホットスポット(野焼きや山火事が発生しているとみられる高温の場所)発生数の抑制、火災危険度予測システムの開発・導入

(6)越境煙霧問題を防止・解決するため、隣国との国際協力の強化

(7)煙霧・山火事・粉じんの問題を解決するため、関係各部門の連携強化

 

 上記のように政府は対策を講じていますが、北部を代表する都市チェンマイでは3月下旬に空気質指数(AQI)が三日続けて世界最悪を記録するなど、状況は改善されていません。チェンマイ県の隣のチェンライ県では、3月中旬に呼吸器系の外来患者が一週間で3,000人を超えたと報じられており、健康被害も広がっています。
 例年では雨季に入る5月下旬ごろからAQIが下がるため、あと2か月もすれば状況が改善されるものと思われますが、来シーズンは乾季入りする前からしっかりとした対策を始めて、大気汚染問題が今年以上に悪化しないことを望みます。

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PM2.5の影響でかすんでいるバンコクの朝の風景

 

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