「発掘調査ニュース」では、平成24年度の発掘調査の様子を皆様にお届けします。
今年度の調査地は仙谷地区の西側丘陵(図1)、昨年度の調査で新たに墓穴(?)が見つかった北側尾根と、丘陵の頂上に位置するむきばんだ最大の四隅突出型墳丘墓仙谷1号墓の周辺(写真1)です。
(図1) 発掘調査区位置図
(写真1) 仙谷1号墓周辺(四角の部分が仙谷1号墓)
仙谷地区はむきばんだが最も盛える時期の前、弥生時代後期中葉(2世紀前半頃)を主とする墓地(墓域)で、これまでに7基の墳丘墓が見つかっています。仙谷1号墓は妻木晩田遺跡の中で一番大きな四隅突出型墳丘墓で、突出部を含めた大きさは約17m、弥生時代後期中葉につくられたと考えられています。仙谷1号墓は、1996年に試掘調査を行い、四隅突出型であることがわかったため開発の範囲から除かれ現地に保存されていました。
今年度の調査では仙谷1号墓のより詳細な測量や規模の確定のほか、1号墓の周辺の遺構の有無を調べることを目的としています。また昨年度検出された埋葬施設をもつ墳墓についても追加調査を行っています。
仙谷1号墓については、発掘調査の前に3次元計測を行いました(写真2、3)。3次元測量は非常に詳細な記録を残すことができ、墳墓などを立体で捉えることができるというメリットをもっています。
(写真2) 三次元測量風景
(写真3) 北側貼石検出状況
測量が終わった後、トレンチを設定し掘り下げに入りました。現在は試掘調査の際に掘ったトレンチ4箇所を再掘削し、過去のトレンチの位置の確認や土層の堆積状況を観察しています。調査が進むにつれ、仙谷1号墓の状況が明らかになりつつあります(写真4、5)。墳丘墓の斜面においた貼石は残りの良い箇所もありますが、突出部は残りが悪く、残念ながら良くわかりません。また小型壺の口縁部や黒曜石片などの遺物が出土しています。
(写真4) 西側貼石検出状況
(写真5) 土器片の出土状況
発掘調査の進行状況については、随時発掘調査ニュースとしてお届けしていきますので、お楽しみに!!
【発掘調査現場の公開について】
調査現場の公開については、常時公開は難しいため、原則非公開とさせて頂きます。
HPで随時状況をUPしているほか、9月下旬~10月上旬頃に現地説明会を予定しています。
現地をご覧になりたい方は、是非現地説明会にご参加下さい。