風による砂の移動と激しい飛砂、栄養となる有機物が少ないことや、砂は保水力が弱いため降水量が多くても乾燥しやすいなど、砂丘は植物にとっては厳しい環境ですが、これらの環境に適した特徴をもつ植物が分布しています。
◆コウボウムギ(カヤツリグサ科)【花期】4~5月
・雌雄異株で雌株は卵型の大きな花序を、雄株は細くて柔らかい花序をつけます。
・トゲのように尖った地下茎を伸ばして群落を広げますが、砂が侵食されると枯れて、枯れた繊維の付いた節の部分は筆のようになります。
◆ハマニガナ(キク科)【花期】春と秋の二季
・広い範囲に分布します。
・根は細く短いので砂をつかむ力はありませんが、白い地下茎を這うように伸ばし、横に広がります。この茎や葉をちぎると白く苦い液が出ることが、名前の由来とされています。
・夏に地表の葉は枯れますが、地中で地下茎は生き残り、春と秋に黄色い可愛らしい花を咲かします。
◆ウンラン(ゴマノハグサ科)【花期】8~10月
・砂の移動がはげしい不安定帯と、砂がほとんど移動しない安定帯の中間的な部分である半安定帯に分布し、他の植物と混生することが多いです。
・葉はやや多肉で、飛砂への対応として茎は真上ではなく横に伸びます。
・クリーム色の花を咲かせ、蘭に似ていて海辺に咲くことから「海蘭」と名前が付きました。
◆ビロードテンツキ(カヤツリグサ科) 【花期】8~10月
・海岸から内陸までの植物群落に広く生育します。
・葉や茎は細かい毛で覆われていて、水分の蒸散や飛砂を防いでいます。根は細く固い針金状で地中に広く伸びています。
◆ハマヒルガオ(ヒルガオ科)【花期】6~7月
・砂丘の中でも砂の移動がはげしい不安定帯に分布します。
・地下茎を横に伸ばし広がるため、大きな群落となって生育します。
・初夏の日中に朝顔のような花をつけます。
◆ハマゴウ(クマツヅラ科)【花期】7~9月
・海岸から内陸まで広く点在します。
・匍匐性木本で茎は地上を這うように広がり、砂防効果も高い。
・真夏に青紫色の花が咲き、秋には香りの強い実をつけます。この実は漢方薬としても利用されています。