平成26年度の当初予算編成等に当たっての留意事項

平成25年10月16日
総務部長

 我が国経済は、経済成長率、物価動向をはじめ、各種の経済指標が改善し、先行きについても力強い景気回復への動きが期待されている。しかしながら、県内経済への波及は未だ弱く、消費税率及び地方消費税率の引上げを受けて、今後については予断を許さない状況にある。
 こうしたことに加え、障がい者の社会参画を進める契機となる大会の開催、大交流時代をより深化させる陸海空に渡る交通環境の一層の向上、国全体の懸案ともなっているTPP交渉についての結論が近々に出される見込みであることなど、県政を取り巻く情勢は激しく変動している。
 本県においても、財政状況に留意しつつ、実情に合った景気の反動減対策や雇用・生活者対策と合わせ、変化に機敏に対応すべく多面的・複合的な施策を積極的に打ち出していく必要があることから、平成26年度当初予算については、以下のとおり編成作業を行うこととする。

  

1.基本的な考え方

  

(1)平成26年度予算の位置づけ

 平成26年度は、未来づくり財政誘導目標の最終年度であることから、その達成に向けて財政の健全性を堅持しつつ、社会・経済情勢や時代背景の変化により今年度中に改訂する新たな将来ビジョンを踏まえ、障がい者の社会参画の推進に向けた環境整備、社会の構造変化に対応した大胆な少子・高齢化施策、大交流時代の推進など、県民福祉の向上を期し、国内外における鳥取県の存在感の向上や鳥取県の成長に資する戦略的な施策等に積極果敢に取り組む予算とする。

(2)鳥取発・政策主導型予算編成の実施

 人口最少県ならではの視点に立った挑戦的取組や、鳥取県の持つ可能性や潜在力を引き出す施策をスピード感を持って進めていくため、原則として知事による一段階査定方式である「鳥取発・政策主導型予算編成」を引き続き実施することとする。

(3)県財政を取り巻く不安定な状況

 国において閣議決定された「骨太の方針」及び「中期財政計画」において、地方財政については、国の歳出の見直しと基調を合わせることとされており、特に、リーマンショック後に創設された地域経済の活性化や雇用対策のための歳出特別枠などを、経済再生に合わせ削減する必要があるとされていることから、今後、地方に厳しい議論が行われることが懸念されている。
 また、消費税率及び地方消費税率の引上げが決定されたが、社会保障制度の機能強化や機能維持に係る地方負担の増加や、依然として高い水準の公債費負担などを考慮すると、地方財政の先行きは不透明なままであり、平成26年度においても、非常に厳しい財政状況が続くものと考えられる。

(4)徹底した事業見直しと取捨選択の断行

 このような財政状況を踏まえると、鳥取県の未来づくりに向けた諸課題、諸政策の実現を図るためには、既存事業の徹底的な見直しはもとより大胆な選択と集中が必要となる。
 よって、予算要求にあたっては、先般行われた事業棚卸し結果を尊重するとともに、意義の薄れた補助制度の廃止や類似補助金の統合等による見直しを行うため、全ての事業について、費用対効果、必要性・緊急性等を検証するとともに、公共関与のあり方、持続可能性、国や市町村との役割分担などの視点で、思い切った事業の取捨選択を行っていただきたい。

(5)市町村の役割への配慮

 県と市町村はイコールパートナーであるとともに、市町村は住民に一番身近な地方公共団体であり、住民生活に密着した行政を行っていることに鑑み、県の施策実施に市町村の協力をあおぐに当たってはその自主性を尊重することが必要である。
 県の施策を推進する上で、市町村を通じて実施することが現実的、効果的と考えられるものについては、市町村における適切な判断に基づき予算措置等が円滑に行われるよう、平成26年度当初予算編成に当たり、これまで以上に十分な事前の相談・調整を行うこととする。
 なお、既存施策であっても、事業の実施状況や現場、市町村からの意見等を踏まえて総点検を行い、市町村の関与や負担のあり方について検証を行う。
  

2.要求に当たっての重点留意事項

  

(1)「県民とともに作る予算」

 本予算は「県民とともに作る予算」であり、「鳥取県民参画基本条例」の趣旨を踏まえ、事業の企画立案に当たっては、積極的に現場に出向き、現場を担う方々や県民からの声、各種団体からの意見や提言に素直に耳を傾けて、それらを反映した事業を検討するとともに、未来づくり推進本部の各プロジェクトチームなど県民・団体等と議論する場での意見・提言等も併せて活用しながら、政策戦略会議等で部局の枠に拘われない議論を深めた上で要求すること。
 その際、県民・団体等の様々な声に対しては、県の立場で政策目的を明確化し、事業の効果性を十分念頭に置いた検討をすること。

(2)鳥取県産業振興条例及び鳥取県手話言語条例を踏まえた対応

 県内産業の育成による県内経済の発展と県民の雇用の確保を目的に制定された「鳥取県産業振興条例」の趣旨を踏まえ、県産品・県産材のより一層の活用に努めるほか、県内在住・県出身の人材、県内事業者の活用を意識した事業の組み立てを検討すること。
 また、障がい者就労施設等の受注の機会を確保するために制定された「障害者優先調達推進法」の趣旨を踏まえ、障がい者就労施設等から優先的に物品及び役務を調達するよう配慮することとし、予算積算時には障がい者就労施設等から見積書を徴取するなど、予算執行段階において積極的かつ計画的な発注につながるよう努めること。
 さらに、「鳥取県手話言語条例」の趣旨を踏まえ、県が主催する催事のうち不特定多数の県民の参加が見込まれるものについては、手話通訳者及び要約筆記者の配置に必要な経費を見積もるなど、ろう者が県政に関する情報を速やかに得ることができるよう配慮すること。

(3)事業棚卸しの反映等

 「事業棚卸し」による事業の検証結果を可能な限り反映した要求を行うこと。特に、事業の要・不要だけでなく、事業の見直しの方向性、改善の方向性も含めた提案・提言がなされており、26年度以降の事業のあり方について、県の立場で徹底検証を行うこと。
 また、経費の積算にあたっては、24年度決算における事業ごとの不用額実績に着目し、過大な見積もりとならないよう精査した上で予算要求すること。

(4)国の制度・施策に関する情報収集の徹底

 平成26年度の国の予算編成においては、8月に閣議決定された「概算要求に当たっての基本的な方針」において、裁量的経費を10%削減する一方で、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、「日本再興戦略」等を踏まえた諸課題について手厚い要求を可能にしており、これら特別枠の配分等、既存の制度・施策の大幅な見直しも予想される。
 また、消費税率及び地方消費税率の引上げに伴う対応として、経済の成長力底上げと好循環の実現を図り持続的な経済成長につなげるための「経済政策パッケージ」を決定し、具体的な経済対策を12月上旬に確定するとともに、補正予算と新年度予算を合わせて年末に編成する予定となっている。
 本県においても、国の動向を踏まえた補正予算の編成も視野に入れ、機動的な対応をとるため、様々なチャンネルを使って国の制度・施策についての情報収集・分析を徹底し、的確に予算要求に反映させるとともに、国庫補助金などの財源措置についてもできる限り適切な見積もりを行った上で要求すること。

(5)NPO等との協働・連携事業の的確な対応

 NPO等との協働・連携事業を立案する場合は、所要経費の積算において、実施する事業の内容に応じて人件費を的確に見込むこととするほか、事業実施に当たっての諸手続などで相手方に過度な負担を課すことのない仕組みを検討すること。
  

3.その他の留意事項

  

(1)政策戦略会議

 予算査定に先駆けて「政策戦略会議」等を開催し、戦略的課題や部局横断的な課題に対して、統轄監を中心とした幹部間の連携により方針を検討することとし、その過程においても、県民・団体等の意見交換を積極的に実施するとともに、県民参画による未来づくり推進本部各プロジェクトチームによる施策立案を重視することとする。
 政策戦略会議において検討する「政策戦略事業」については、年内は立案段階として十分な議論・検討、事業化に向けた論点整理を中心に行う期間に充て、計数等を精査した正式な予算要求・査定は1月から行うこととする。
 また、1月を「政策戦略事業」を中心とした予算編成に充てるため、これを除く「一般事業」については先行して予算要求を行い、原則として財政課において年内に計上案を整理の上、1月初めに計上案をホームページで公開することとする。
 ただし、この「一般事業」計上案については、知事査定における最終決定までに所要の調整を行う機会を設定する。

(2)予算編成過程の透明化

 予算要求段階から予算編成過程を公開するので、事業名も含め県民へのわかりやすさを第一義的に考えて要求書を作成することとし、特に文言については、いわゆる行政用語を用いないよう注意すること。

(3)時間外勤務の縮減に向けた作業の効率化

 予算要求に伴う時間外勤務を縮減するため、財政課が行う要求課からの聞き取りについては、原則として終業時刻までに終了することとする。
 また、予算要求資料については、既存資料の活用を徹底するなど、要求課の資料作成の省力化に努めることとする。

(4)日々の業務改善

 日々の業務改善は、一時的には手間を要することもあるが、結果として、無理・無駄がなくなり、県民のためになることはもちろん、職員の負担軽減にも繋がる。
 例えば、ポスター・チラシ等の広報媒体については、必要性、費用対効果等の観点から無駄が生じていないか、安易に活用していないか等の点検を行うこと。
 また、予算要求のために本庁と地方機関との間で行われる資料作成などにおいても、例年どおりの前例踏襲による無駄な作業が生じていないか、すべての作業を再点検すること。
 このように、予算要求に当たっては、今一度、こうした認識を共有し、日々の業務を十分に点検すること。

(5)新たな財源の確保

 県有資産の処分、県有資産の有効活用による広告料収入の確保、受益と負担の公平の観点から費用を徴収すべきものがないか等、新たな財源の確保について積極的に検討すること。

(6)助成財源の積極的活用

 国庫の財源措置のみならず、各種公益法人等からの事業内容に応じた助成も含めて、当該助成制度が本県の実情や具体的事業に適合したものかどうかを十分に検証した上で積極的に活用すること。
 なお、有利な助成財源があることのみをもって必要性・緊急性の低い事業を行うことがないようにすること。

(7)環境への配慮とコスト意識

 環境方針を尊重し、グリーン購入の推進、ペーパーレス化の推進等について、予算要求段階から配慮するとともに、環境への負荷を軽減し、かつ、コスト削減に繋がるようなアイディアは積極的に取り入れて、事業を検討すること。
  

    

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