鳥取県星空保全条例条文

鳥取県星空保全条例(平成29年鳥取県条例第47号)

前文
第1章 総則(第1条ー第6条)
第2章 星空環境の保全
 第1節 投光器等の使用の制限(第7条・8条)
 第2節 星空保全地域(第9条ー第17条)
第3章 星空環境を活用した環境教育の推進等(第18条・第19条)
第4章 雑則(第20条・第21条)
第5章 罰則(第22条・第23条)
附則
 
(前文)
 鳥取県は、鳥取市さじアストロパークなどの観測拠点が星空の美しさで我が国随一とされており、全ての市町村で天の川を観測できるなど、後世まで永く伝えるべき「星空」という大切な誇るべき「宝」を有している。
 しかしながら、美しい星空が見える環境は、清浄な大気と人工光の放出の少なさによってもたらされているが、全国各地で過剰な人工光により星空が失われつつあるとされている。
私たち鳥取県民は、豊かで美しい自然の象徴である星空を守る行動に立ち上がり、私たちの星空を、ふるさとの重要な景観と位置付けるとともに、観光や地域経済の振興、そして環境教育等に生かしていくこととし、鳥取県の美しい星空が見える環境を県民の貴重な財産として保全し、次世代に引き継いでいくため、この条例を制定する。


 1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、県内随所で天の川を観測することができる鳥取県の美しい星空が見える良好な環境について、これが清浄な大気と光害の少なさによってもたらされることを踏まえ、光害の防止に関して、行政、県民等及び事業者の責務及び役割を明らかにし、県民生活及び事業活動に必要な照明を確保しつつ必要な規制を行うとともに、星空環境を観光及び地域経済の振興や環境教育に活用することを推進することで県民等及び事業者の理解を深め、もって星空環境を県民の貴重な財産として保全することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)  光害 照明器具の不適切な使用又はその目的とする照射範囲から外れた光によって星空環境に悪影響を及ぼすことをいう。
(2)  星空環境 星空の観測に適した、美しい星空が見える環境をいう。
(3)  県民等 県民、県内に滞在する者及び県内を通過する者をいう。
(4)  事業者 県内で事業活動を営む者をいう。

(県の責務)
第3条 県は、星空環境の保全に当たっては、光害の防止が不可欠であることを踏まえ、県民等及び事業者の光害に対する理解を深めるため、教育活動及び学習活動の支援、広報啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
2  県は、自ら率先して光害の防止に取り組むものとする。

(市町村の役割)
第4条 市町村は、光害の防止に関する施策の実施に努めるとともに、県の実施する光害の防止に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 市町村は、自らの事務及び事業による光害の防止に努めるものとする。

(県民等及び事業者の役割)
第5条 県民等及び事業者は、県の実施する光害の防止に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 県民等及び事業者は、光害の防止に努めるものとする。

(関係行政機関への協力要請)
第6条 県は、関係行政機関に対し、光害の防止のために必要な協力を要請するものとする。


 
   2章 星空環境の保全

   第1節 投光器等の使用の制限
(投光器等の使用の制限)
第7条 何人も、屋外で投光器又はレーザー(以下「投光器等」という。)を、特定の対象物を照射する目的以外の目的で使用してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 人の生命、身体又は財産を保護するために必要な場合
(2) 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他これに類する行為を行うために必要な場合
(3) 交通の安全を確保するために必要な場合
(4) 試験又は研究の実施のためやむを得ないと認められるとき。
(5) 水産動植物の採捕又は養殖のために必要な場合
(6) 1日を超えない期間の催物であって、規則で定めるところにより知事に届け出たものにおいて使用する場合
(7) 前各号に掲げるもののほか、法令の規定に基づく行為を行うために必要な場合

(投光器等の使用に係る命令等)
第8条 知事は、前条の規定に違反して投光器等が使用されていると認めるときは、当該投光器等を使用する者に対し、当該使用の停止その他必要な措置を採るべき旨の勧告をすることができる。
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置を採らなかった場合においては、鳥取県景観審議会(鳥取県景観形成条例(平成19年鳥取県条例第14号)第26条第1項の規定により設置される審議会をいう。以下同じ。)の意見を聴いて、当該者に対し、期限を定めて、当該勧告に係る措置を採るべきことを命ずることができる。

 第2節 星空保全地域

(星空保全地域の指定)
第9条 知事は、優れた星空環境を有する区域のうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における星空環境を保全することが特に必要なものを、星空保全地域として指定することができる。
2 知事は、星空保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村の長及び鳥取県景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 知事は、星空保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
4 前項の規定による公告があったときは、当該地域の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、知事に意見書を提出することができる。
5 知事は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき、又は当該星空保全地域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めたときは、公聴会を開催することができる。
6 知事は、星空保全地域を指定したときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
7 星空保全地域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
8  第2項及び前2項の規定は星空保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、第3項から第5項までの規定は星空保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。

(指定の要請)
第10条 前条第1項に該当する区域の市町村長は、知事に対し、当該区域を星空保全地域として指定するよう要請することができる。

2 知事は、前項の規定による要請を受けたときは、当該区域が星空保全地域として指定すべき区域に該当するか否かについて調査しなければならない。この場合において、当該区域を星空保全地域として指定することが適当であると認めるときは、その調査の結果を鳥取県景観審議会に報告し、その意見を聴かなければならない。
3 前項の場合において、当該区域を星空保全地域として指定しようとするときは、前条第3項から第7項までの規定を準用する。

 (星空保全照明基準)
第11条 知事は、星空保全地域の指定に当たっては、当該星空保全地域に係る星空環境を保全するために必要な照明器具の設置及び使用に関する基準(以下「星空保全照明基準」という。)を定めなければならない。
2 星空保全照明基準には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 照明器具の設置の位置、照射の方向及び輝度に関する事項
(2) 前号に定めるもののほか、当該星空保全地域における星空環境の保全のために特に配慮を要する事項
3 知事が星空保全照明基準を定めるに当たっては、前項第1号に掲げる事項については規則で定める基準に従い定めるものとする。
4 知事は、星空保全照明基準を定めようとするときは、あらかじめ、関係市町村の長及び鳥取県景観審議会の意見を聴かなければならない。
5 知事は、星空保全照明基準を定めようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 前項の規定による公告があったときは、当該星空保全地域の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、知事に意見書を提出することができる。
7 知事は、星空保全照明基準を定めたときは、これを告示しなければならない。
8 星空保全照明基準は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
9 第3項から前項までの規定は、星空保全照明基準の変更について準用する。

 (星空保全照明基準の遵守)
第12条 星空保全地域において照明器具を設置し、又は使用する者は、星空保全照明基準を遵守しなければならない。ただし、前条第7項の告示の日から6月を経過した日において現に設置し、又は使用されている照明器具については、この限りでない。

 (指導及び助言)
第13条 知事は、必要があると認めるときは、星空保全地域において照明器具を設置し、又は使用する者に対し、当該照明器具が星空保全照明基準に適合するよう必要な指導又は助言をすることができる。

(照明器具の使用に係る命令等)
第14条 知事は、第12条の規定に違反して照明器具が設置され、又は使用されていると認めるときは、当該照明器具を設置し、又は使用する者に対し、当該使用の停止その他必要な措置を採るべき旨の勧告をすることができる。
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置を採らなかった場合においては、鳥取県景観審議会の意見を聴いて、当該者に対し、期限を定めて、当該勧告に係る措置を採るべきことを命ずることができる。

 (星空保全照明基準への適合に要する費用の補助)
第15条 県は、星空保全地域において星空保全照明基準を満たすために照明器具の更新、改造その他必要な措置を行う者に対し、予算の範囲内で、その措置に要する費用の一部を補助することができる。

 (星空保全地域における地域振興)
第16条 県は、優れた星空環境が観光及び地域経済の振興に資する貴重な資源であることに鑑み、これを活用した星空保全地域の振興に資する事業について必要な支援を行うものとする。

 (星空環境の監視)
第17条 県は、星空保全地域における優れた星空環境を維持するために、県民等の協力を得て星空保全地域の夜空の明るさを監視するとともに、その結果を公表するものとする。

 
 第3章 星空環境を活用した環境教育の推進等

(教育活動及び学習活動の支援)
第18条 県は、県民等及び事業者が光害への対策の必要性について理解を深めることができるよう、学校、地域、家庭、職場その他様々な場における星空環境及び光害の防止に関する教育活動及び学習活動に対し、指導、助言、人材のあっ旋、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。

(星空環境活用教育の機会及び情報の提供)
第19条 県は、県民等及び事業者に対し、星空環境を活用した教育(以下この条において「星空環境活用教育」という。)の機会を提供するとともに、県民等が自発的に行う星空環境活用教育の活動が促進されるよう、必要な情報の提供に努めなければならない。

 

 第4章 雑則

(報告及び検査)
第20条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、照明器具を設置し、若しくは使用する者に対し、必要な報告を求め、又はその職員に、照明器具を設置し、若しくは使用している土地若しくは建物その他の場所に立ち入り、施設、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(規則への委任)
第21条この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。


  第5章 罰則


第22条 第8条第2項又は第14条第2項の規定による命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。
第23条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の過料を科する。

附則
(施行期日)
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(準備行為)
2 第9条又は第10条の規定による星空保全地域の指定、第11条の規定による星空保全照明基準の制定及びこの条例の施行のために必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても行うことができる。

(鳥取県景観形成条例の一部改正)
3 鳥取県景観形成条例(平成19年鳥取県条例第14号)の一部を次のように改正する。
次の表の改正前の欄に掲げる規定を同表の改正後の欄に掲げる規定に、下線で示すように改正する。
改正後  改正前

(設置等) 
第26条  次に掲げる事務を行わせるため、鳥取県景観審議会(以下この章において「審議会」という。)を置く。
 (1)   知事の諮問に応じて景観形成に関する事項を調査審議すること。
(2)   鳥取県星空保全条例(平成29年鳥取県条例第47号。以下「星空保全条例」という。)第8条
2項、第9条第2項(同条第8項において準用す
る場合を含む。)、第10条第2項、第11条第4項(同条第9項において準用する場合を含む。)及
び第14条第2項の規定により知事に意見を述べる
こと。
2 審議会は、景観形成に関する事項 及び星空環境(星空保全条例第2条第2号に規定する星空環境をいう。以下同じ。)の保全に関する事項について、知事に意見を述べることができる。

(組織等)
第27条 略
2 委員は、景観形成 又は星空環境の保全に関し学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから、知事が任命する。


(地域部会等)
第31条 審議会に、対象区域の一部の地域の景観形成に関する事項 又は星空環境の保全に関する事項を集に関する事項を集中的に調査審議させるため、規則で定めるところにより、地域部会 又は星空環境保全部会(以下「地域部会等」という。)を置くことができる。
2  地域部会等に属すべき委員は、会長が指名する。
3  地域部会等に、部会長を置き、当該部会に属する委員の互選によりこれを定める。
4~6 略

(設置等)
第26条  知事の諮問に応じて景観形成に関する事項を審議会(以下この章において「審議会」という。) 調査審議させるため、鳥取県景観審議会(以下この章において「審議会」という。)を置く。







2 審議会は、景観形成に関する事項について、知事に意見を述べることができる。



(組織等)
第27条 略
2 委員は、景観形成に関し学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから、知事が任命する。


(地域部会)
第31条 審議会に、対象区域の一部の地域の景観形成に関する事項を集に関する事項を集中的に調査審議させるため、規則で定めるところにより、地域部会を置くことができる。


2  地域部会に属すべき委員は、会長が指名する。
地域部会に、部会長を置き、当該部会に属する委員の互選によりこれを定める。
4~6 略




  

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