防災・危機管理情報

令和2年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 今議会に提案いたしました議案は、
  予算関係   32件
  条例関係   28件
  その他の案件 27件 の 合計 87 件であります。

 まず最初に、議案第1号 令和2年度鳥取県一般会計予算について御説明申し上げます。

 今、わが国、そして世界が直面しているのは、新型コロナウイルスの蔓延防止であり、また地球環境をはじめとする持続可能な社会を構築するという課題です。また、近年勃発する自然災害等への対応力を高め、人々の健康を守ることが急務であり、東京オリンピック・パラリンピックが開催される本年を契機に人と地域の輝きを創り上げるとともに、東京一極集中に歯止めがかからない中、地方創生を推進し、全国の一歩先行く子育て対策を断行するほか、中山間地交通問題など打開の道を開いていかなければなりません。
 他方、令和2年度の本県財政見通しは、「地方創生実現財政基盤強化知事連盟」による要請活動が実を結び、地方交付税における「地域社会再生事業費」が計上され、税財源の乏しい地域への配慮が払われることとなり、本県も一般財源に一定の増収を見込むことができる見通しとなりましたが、増嵩する社会保障費負担など、引き続き厳しい財政環境に置かれています。
 これらを踏まえ、新型コロナウイルス対策については、国の動きの先を行くレベルで医療機関や観光・商工団体等と緊密な連携を図り、予備費や補正予算も含めて果断に対処していくとともに、令和2年度当初予算編成に当たっては、徹底した事業の見直しや財源確保に取り組み、財政の健全性を確保しつつ、「Sustainability」=SDGsをはじめとした持続可能な地域づくり、「Safety」=防災や健康づくりなど安心・安全の実現、「Sports」をはじめとした人が輝く社会づくりの3つの「S」に加えて、地方創生による地域の活性化という重要な課題に全力投入する予算を積極的に計上し、鳥取県からの挑戦に乗り出すことといたしました。その際、先の臨時議会で可決いただいた補正予算と併せた14か月予算とし、防災対策や農林水産業対策など切れ目のない財政運営を行うこととしました。
 また、県民の皆さんとの約束として新たに設定した「財政誘導目標」につきましては、当初予算時点でのプライマリーバランスの黒字を達成するとともに、令和4年度末の「標準財政規模の1割以上の基金残高の確保すること」・「県債残高を県内総生産の18%以下に抑制すること」に向け、前進する予算となりました。

 それでは、令和2年度当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、「持続可能性(Sustainability)の確立」についてであります。
 国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の推進を強化・促進するため、官民連携の「とっとりSDGsネットワーク会議」や県庁内の「鳥取県SDGs推進本部」を立ち上げるとともに、アプリを活用した食品ロスの削減、プラごみ排出ゼロに向けたマイボトル持参キャンペーン、二酸化炭素排出削減に向けた県民運動などを展開します。併せて、生物多様性の保全を地域一体となって進めるため、「地域連携保全活動支援センター」を設立するほか、適正な地域猫管理の推進や飼い主のいない猫の繁殖防止対策を進めます。
 また、子育て王国鳥取県として、国が保育料無償化など本県の施策に追い付いてきたことから、全国の更に一歩先を行く子育て支援策を展開することとし、高校生に対する通学費の助成や、産後ケアの無償化、不妊検査・不妊治療助成拡大を実施するほか、県独自に全国最高水準での私立中学・高校に通う生徒の授業料支援、フリースクールの授業料・通学費支援を行うことといたしました。
 更に、全国に先駆けて、共助交通やタクシー、デマンドバスなどを組み合わせた新たな地域交通体系構築への支援制度を創設するとともに、中山間地等の人材確保に向け特定地域づくり事業協同組合設立を後押しします。また、若者の県内就職を促進する「STOP若者流出!プロジェクト」、関係人口拡大に向けたワーケーション受入れや、副業ビジネス人材誘致を展開してまいります。

  第二に、「安心・安全(Safety)の実現」についてであります。
 令和元年の台風19号災害等における全国の深刻な被害の実態に鑑み、「防災避難対策検討会」・「水防対策検討会」において新たな防災対策等について研究した成果を踏まえ、バックウォーター区間をはじめとする堤防強化対策に取り組むとともに、集中的な河道掘削・樹木伐採の実施、監視カメラや水位計の増設を行います。併せて、水害リスクの見える化を図るため、河川氾濫時の浸水イメージをCGで体感できるシステムを導入するほか、障がい者やペット連れなどを受け入れる避難所整備を進めることとし、「積極的な避難」を自発的に行っていただくようにするため、先進的な「避難スイッチ」の手法を用いて避難するタイミングを住民自身で決めておくモデル事業を実施します。
 また、万が一の浸水に備え、県庁舎等浸水対策プランを策定し庁舎屋上に非常用発電機を設置するとともに、社会福祉施設等の非常用自家発電機の導入を支援するなど、非常時でもサービスを提供する基盤強化を図ります。
 更に、県民の命を守る安心のまちづくりを進めるため、放射線治療の診療体制強化や鳥取大学医学部附属病院・県立病院連携強化、ピロリ菌検査費用の助成拡大などがん対策を一層強化します。併せて、医療的ケアの必要な重度障がい児者を受け入れるショートステイの利用支援を展開するとともに、スマートフォンアプリを活用した健康づくりや、認知症予防プログラムの全県展開などを推進してまいります。また、生活困難、介護、ひきこもりなど家庭の抱える課題を包括的に支援する地域づくりを、市町村等と連携して進めてまいります。

 第三に、「スポーツ(Sports)をはじめとした人が輝く社会」についてであります。
 いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中の注目が日本に集まり、スポーツはもとより文化・観光、共生社会に向けて輝きの時を迎えます。
 本県でも、東京オリ・パラ事前キャンプの受入れや、ホストタウン交流、聖火リレーなど、県民あげて世界との絆を深め、パラリンピックを契機としたバリアフリー化、バリアフリー観光等に打って出ます。
また、新型コロナウイルスや国際情勢によるインバウンド需要急減に対応するため、欧米豪や台湾、東南アジアなど、観光誘客の多角化をなお一層展開することとし、東京アンテナショップにPRブースを設け、メディア招へいや見本市出展等を展開し、定期便化への発展も念頭に台湾などチャーター便を積極的に誘致してまいります。
 併せて、来年に迫ったワールドマスターズゲームズに向けて、海外プロモーション実施、ボランティア育成、倉吉自転車競技場をはじめとする施設整備など、着実に準備を進めていきます。
 更に、布勢総合運動公園における障がい者スポーツ拠点開設など障がい者スポーツの振興を図るほか、カルチュラルオリンピアードとなる障がい者の文化芸術フェスティバル中国・四国大会を本県において実施することとします。
 また、小学校高学年を対象に本県独自の学力・学習状況調査を試行するほか、学力向上に向けた取組を一層推進するため、国際バカロレア教育候補校への申請を行うとともに、中山間地域の高校魅力化を展開します。併せて、県立美術館の設計に着手し美術館整備に第一歩を踏み出すとともに、青谷上寺地遺跡整備に向け設計に着手します。

 第四に、「地方創生による活力ある地域づくり」についてであります。
 これからの地方創生のテーマに位置づけられている先端技術を基盤とした「Society5.0」の社会モデル実現に向けて、「ローカル5G」基地局の設置やサービス実証を行うとともに、県内企業のロボット導入への専門人材の育成や、ビッグデータによる旅館需要予測システムの開発、園芸品目での技術実証などスマート農林水産業の展開等を図ります。
 また、新型コロナウイルス等による影響を踏まえ制度融資による企業支援を行うほか、外国人材日本語学習機会の拡充、就職氷河期世代向けの支援・訓練の実施、ユニバーサルツーリズムも含めた観光人材養成など、産業人材の育成を進めるとともに、鳥取西道路の開通等を踏まえた物流拠点・ネットワーク構築、鳥取港コンテナ取扱可能性調査等を実施し、物流新時代へ乗り出します。
 更に、農林水産業の力強い発展を支えるため、規模拡大以外にも「がんばる農家」補助を拡大することとし、副業や外国人材の活用も含めた多様な担い手確保に取り組むほか、「星空舞」・二十世紀梨・イチゴ新品種「とっておき」・ブドウなどの生産拡大、和牛遺伝資源保護に向けたシステム整備、皆伐再造林の推進などを展開します。
また、交流人口拡大に向け、昨今の雪不足を踏まえたオールシーズン観光プログラムを地域とともに開発するほか、とっとり横断サイクリングルート開通を契機とした、サイクリストの環境整備やサイクリングイベント開催などを、展開してまいります。

 以上の諸事業を計上しました結果、令和2年度当初予算案の総額は3,431億5千1百万円となるものであります。

 次に、議案第22号 令和元年度鳥取県一般会計補正予算(第5号)につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けた企業等への投資助成を計上したほか、不用額の精査等をいたしました結果、58億7千2百万円減額することとし、補正後の令和元年度予算総額は3,636億4千7百万円となるものであります。

 引き続き、予算関係以外の主な議案につきまして、御説明いたします。

 議案第43号 鳥取県被災者住宅再建等支援条例の一部を改正する条例につきましては、県・市町村共同による被災者住宅再建等支援金・被災者住宅修繕促進支援金の制度を見直し、災害救助法に基づく新たな一部損壊住宅応急修理制度と組み合わせて支援を行うこととし、被災住宅に対する損壊率10%未満の支援の拡充等を行おうとするものであります。

 議案第76号 鳥取県立美術館に係る事業契約の締結及び公の施設の指定管理者の指定につきましては、鳥取県立美術館をPFI手法により効果的・効率的に整備・運営するため、民間事業者と事業契約を締結するとともに、指定管理者として指定しようとするものです。

 議案第85号 鳥取県動物の愛護及び管理に関する条例等の一部改正につきましては、犬に比べて猫の収容・処分頭数が高い現状を改善するため、飼い猫の屋内飼育義務を課すとともに、飼い主のない猫の繁殖を抑制し、適正な地域猫管理を地域一体となって行う仕組みを導入しようとするものです。

 以上、今回提案した諸議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

  

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