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~新規開業!BTSゴールドライン~
こんにちは。鳥取県東南アジアビューロースタッフの柴田です。
2020年12月16日に、バンコクの高架鉄道BTSの新線「ゴールドライン」が開業しました。2018年11月に開業した大型商業施設、アイコンサイアムを繋ぐことから、その開業に長らく注目が集まっていた同路線。今回はこのBTSゴールドラインを中心に、近年急速に拡大している、バンコクおよび近郊の鉄道網についてお伝えいたします。
【目次】
- BTSの新線ゴールドライン
- 拡大するバンコク近郊の鉄道網
- 最後に
1 BTSの新線ゴールドライン
バンコク市内と同市近郊を結ぶ高架鉄道BTSは、市民や観光客の足として1999年に開業しました。開業当初から運行しているシーロム線やスクンビット線は、開業以降何度か延線されてきました。特に近年は活発に路線の拡大がされており、2017年以降毎年新駅が開業し、着実にその対応エリアを広げています。そんな中でここ数年大きな注目を集めていたのが、シーロム線の既存駅であるクルン・トンブリ―駅と新駅クロンサン間の3駅(約1.7km)を結ぶBTSの新線、ゴールドラインの開業です。以前まではタクシーや、専用のバス・ボートなど別の交通手段への乗り換えが必須だったのが、このゴールドラインの新駅チャルンナコーン駅の開業により、BTS駅から直結でアイコンサイアムへの移動が可能となり、アクセスが大きく向上しました。
アイコンサイアムには、日本の髙島屋が旗艦テナントの1つとして入居しており、2020年8月に伊勢丹、2021年1月には東急百貨店が相次いでタイから撤退する中、この髙島屋が、現在タイで唯一の日系デパートとなっています。2018年の開業以降、コロナによる商業施設の営業制限などにより苦戦が強いられる中、このゴールドラインの開業が追い風となることが期待されています。
上記の他にもゴールドラインが注目される理由として、国内初の全自動無人運転車両(APM)が採用されたことがあります。カナダのボンバルディア製の「イノービアAPM300」という車両で、無人運転が採用されているため、従来の車両の先頭にある操縦室が除かれ窓になり、景色が望めるようになっているため、子供連れの家族など、車両が進む様子を画像やビデオ撮影する姿も多く見られました。また、車両のデザインも、従来のBTS車両に用いられているタイの国旗をベースとした赤・青・白のデザインから路線名でもある金と、白を基調としたものへと一新されています。
[左]BTSゴールドラインの全自動無人運転、[右]新車両の先頭の様子
2 拡大するバンコク近郊の鉄道網
上記の通り、ゴールドラインの開業がこの数年間の耳目を集めていましたが、タイの地下鉄MRTも着実に路線網を拡大しています。2019年に新しく開業したMRTの新駅は、駅構内のおしゃれなデザインから新たなランドマーク、フォトスポットになっています。
ランドマークとしての話題性だけででなく、この路線の拡大に伴い、交通便も確実に向上しており、世界各国からタイを訪れる観光客の方々にも大きな恩恵をもたらしています。特に、2019年9月に開業した、MRTサナームチャイ駅は、バンコクで最も有名な観光地の1つであるワット・ポー(涅槃仏寺院)から徒歩5分の距離に位置しており、そこから王宮、ワット・プラケオ(エメラルド寺院)やワット・アルン(暁の寺)へも徒歩で移動が可能となりました。このワット・ポー、ワット・アルン、ワット・プラケオは三大寺院と呼ばれ、バンコクの観光地として特に人気が高く、今まではツアーへ参加するか、現地でタクシーを使って移動するしか方法がありませんでした。しかし、MRTが開通したことにより、日本人の方に人気の滞在エリアである、BTSアソーク駅周辺やシーロムエリアから電車一本で近くまで行くことが可能となり、観光時の利便性が格段にアップしました。
[左]ワット・ポー(涅槃(ねはん)仏寺院)、[右]ワット・アルン(暁の寺)
その他、ヤワラートというタイの中華街にもサナームチャイ駅と同じく2019年9月にMRTワット・マンコン駅が開業したため、気軽に訪れることが可能となりました。ツアーへの参加や、タクシーを利用する必要がなくなったため、バンコク市内観光のハードルがぐっと下がったように感じます。
3 最後に
上述の新線、新駅の開業の他にも、タイの新たなセントラルステーションとなる「バンス―中央駅」の建設が進んでおり、今年2021年の開業が予想されています。このASEANで最大となるターミナル駅を中心に、タイ政府は公共交通機関に基礎を置いた都市づくりを計画しています。上記でご紹介した、BTSゴールドラインの開業やMRTの新駅開業は、この大きな計画の一部に過ぎませんが、確かな生活の便の向上を感じています。
コロナウイルスの流行により、国間の往来再開の見通しが立たない現状ですが、晴れてタイへの観光が可能になった頃には、その交通網の発達ぶりに驚かれるかもしれません。そんな日が早く来る日を心から願っております。