2021年6月 タイ王国及び東南アジア諸国の動向

全文版のダウンロード(PDF:152KB)
※全文版(PDF版)では、タイの経済統計を1ページにまとめた「ワンページタイ経済」をご覧いただけます。


  

タイ王国及び東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

~タイへの食品輸出に係るFDA登録制度について~

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 タイでは2000年ごろから日本食ブームが続いており、町中のスーパーマーケットなどでも日本製の輸入食品を目にすることも珍しくありません。今回はタイに食品を輸入する際に必要なFDAの登録制度についてご説明します。


【目次】
  1. FDAとは
  2. 食品の輸入について-食品の定義と分類-
  3. 食品の輸入について-食品輸入許可申請-
  4. 食品の輸入について-FDAの登録申請-
  5. おわりに

1 FDAとは

 FDAとは、「Food and Drug Administration(食品医薬品局)」の頭文字であり、タイの保健省の内局の一つです。FDAは以下のものの輸入を規制しており、多くの場合、タイへ輸入するためには輸入者がFDAへ登録申請を行い、認証を受ける必要があります。

【食品/薬品/化粧品/医療機器/麻薬/危険有害物/ハーブ製品】


2 食品の輸入について-食品の定義と分類-

 FDAは食品の定義を「生命を維持する食用のもの」としており、詳しくは次のように説明しています。

(1)固形、液体に関わらず、口やその他の器官から食べる、飲む、吸引すること等により体内に入ることができるものであること。(但し、法律で定められた薬品や向精神剤、麻薬は 含まれない)

(2)食品添加物や着香料、着色料を含む食品類とそれらの生産に使用される材料。

 食品は以下の4つに分類されています。(グループ4はFDAへの登録の必要なし)


【FDAの食品グループ区分】
FDAの食品グループ区分

 このように食品によって細かく分類がされていますが、実際には基準や定義があいまいなものもあり、申請を行う際にFDAの判断を仰ぐ必要がありますのでご注意ください。


2 食品の輸入について-食品輸入許可申請-

 FDAへの登録申請を行う前に、輸入者は食品輸入許可申請を行い、食品輸入許可証を取得しなければなりません。食品輸入許可申請に必要な書類は以下の通りです。

食品輸入許可申請に必要な書類

【申請書/申請書署名者の家屋住居登録(コピー)/申請書署名者のIDカード(コピー)/事業執行者の ID カード(コピー)/納税者証(コピー)/商務省登記簿(コピー、6ヶ月以内に発行のもの)※/株主名簿(コピー)※/委任及び実施者任命書※/輸入施設設置場所を示す地図/輸入施設の家屋住居登録(コピー)/食品保管施設の設置場所を示す地図/食品保管施設の家屋住居登録(コピー)/半径100m以内の食品保管施設隣接建設物の図面/食品保管施設内部の図面 [※申請者が法人の場合]】


 通常、書類に不備がなければ一週間ほどで許可がおりますが、規制が厳しい特別管理食品の場合は30日以上を要し、その間食品庁からの質疑応答などの手順をふむ必要があるケースもあるようです。


3 食品の輸入について-FDAの登録申請-

 食品輸入許可を所得した後は、FDAへ食品登録の申請を行います。食品登録に必要な書類は以下の通りですが、申請書や書類の事前確認や申請中の審査によって不備が指摘された場合、修正して再度申請をやり直すことになります。

グループ1:特定管理食品

【食品調理法登録申請書/食品輸入許可申請証明書/食品成分分析結果レポート/生産方法及び成分/その他の情報(例:幼児用ミルク、サプリメント等)/食品表示のサンプル/製品サンプル/生産施設に関する証明書※】

グループ2:品質規格管理食品

グループ3:表示管理食品

【食品登録・食品詳細申告申請書/食品輸入許可申請証明書/生産施設に関する証明書】

※の「生産施設に関する証明書」については、(1)国際食品規格(Codex)に定められた食品衛生一般原則、(2)HACCP、(3)ISO、(4)上記に準じる品質認証のいずれかが必要となりますが、日本の場合、保健所の製造工場許可が(4)の資格として認められているので、(1)~(3)の認証を取得していなくても(4)を使って申請をするケースが多いようです。認証はタイ語もしくはタイ語である必要があります。


 上記の通り、輸入許可やFDAの登録をするためには書類も多く、手続きも非常に煩雑ですが、さらに難しくしている要素として「担当官の判断により分類が異なったり、追加書類が必要になる」ケースがあるということです。全てのケースではないものの、「担当官によって言うことが違う」ということもあるようです。これらの手続きは輸入者(タイ側)が行うことですが、書類の準備などは輸出者(日本側)がしなければなりません。日本食が好まれるタイの市場に参入するためには、「折れない心と根気」が必要不可欠なのです。


5 終わりに

 ついハードルをあげてしまうようなことを書いてしまいましたが、冒頭にも書きました通り、タイでは日本食が非常に好まれていて、今後も市場は広がっていくと思われます。タイへ輸出するための手続きは大変ではありますが、現地でFDAの申請代行やサポートを行っている日系企業もあります。当ビューローでもご紹介することが可能ですので、ご興味をお持ちの方はぜひともご相談ください。

県内企業の皆様への現地情報のご提供について

 タイ王国の最新の現地情報については、以下にお問合せください。

鳥取県東南アジアビューロー 担当:辻 三朗 (TSUJI SABURO)

TEL/FAX:+66-(0)2-260-1057+66-2-260-1057
E-mail:tottori@aapth.com

鳥取県商工労働部通商物流課 担当:永田

TEL:0857-26-76600857-26-7660
FAX:0857-26-8117
E-mail:tsushou-butsuryu@pref.tottori.lg.jp

鳥取県東南アジアビューローの運営法人(鳥取県が業務委託)

アジア・アライアンス・パートナー・ジャパン株式会社

 タイを中心に、ベトナム・インドネシア・インド・メキシコにて主に日系中堅・中小企業様の海外進出や進出後の会計税務法務を中心とした運営支援業務を行っております。

免責事項

 情報の掲載内容には万全を期しておりますが、その正確性、完全性、有用性、適用性についていかなる保証も行いません。また、その利用により生じた被害や損害に関して一切の責任を負いません。

  

最後に本ページの担当課    鳥取県商工労働部通商物流課
    住所  〒680-8570
             鳥取県鳥取市東町1丁目220
    電話  0857-26-76600857-26-7660    
    ファクシミリ  0857-26-8117
    E-mail  tsushou-butsuryu@pref.tottori.lg.jp

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000