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タイ王国及び東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

~国際物流の基礎知識~

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 タイに限らず、海外との取引において商品を輸出入する際に、商品の梱包、運搬、保管、通関手続きなど様々な手続きが必要になります。また、貿易の決済条件や輸出者の責任範囲、輸入車の責任範囲を事前に細かく決めておく必要があります。

 今回は国際物流に関する基礎知識についてご説明します。


【目次】
  1. 国際物流の流れ
  2. 貿易条件(インコタームズ)
  3. 終わりに

1 国際物流の流れ

国際物流(輸出・輸入)の流れ

 図の通り、海外に物を売る(輸出する)にも、海外から物を買う(輸入する)にも、多くの作業や手続きを踏まなければなりません。例として、日本からタイへ海上輸送を使って輸出するケースを順を追って見てみましょう。


(1)船積書類作成

 船を用いた輸送される貨物の財産権を表す商用書類の総称を「船積書類(Shipping Documets)」と言います。基本的には輸出側が用意するもので、主な書類は以下の通りです。

 ア 送り状(commercial invoice)
 イ 船荷証券(Bill of Lading、略称B/L)
 ウ 保険証券
 エ パッキングリスト(梱包証明書)

 この他にも、輸出先の国や品目によっては、原産地証明書や検査証明書が必要なケースもあります。


(2)梱包

 国際輸送では、日本国内の輸送では考えられないくらい荷物の扱いが雑な場合があるため、しっかりとした養生と梱包が必要です。また、機械などの場合は輸送中の雨や水漏れ、結露などへの防水対策が必須となります。


(3)貨物の倉庫搬入・輸出通関

 貨物を輸出しようとするときは、税関へ輸出申告を行い、貨物につき必要な検査を経てその許可を受けなければなりません。
 輸出の申告は、輸出しようとする貨物を保税地域に搬入する前であっても行うことはできますが、輸出の許可は、原則として輸出しようとする貨物を保税地域に搬入した後に行われます。


(4)船積

 通関手続きが終わった貨物は、輸送船に載せられてタイへ向かいます。


(5)現地輸入通関

 輸送船がタイに到着後、貨物がタイへ入国する前に税関に輸入申告を行い、税関の検査を受けた後、定められた関税を納付して輸入の許可を受けます。


(6)荷受人へ配送

 タイへ到着した貨物は、現地の業者によって荷受人へ配送されます。
 このように、国際物流における手続きや作業は非常に複雑で煩雑であるため、すべてを自ら手配することは大変困難ですが、その業務を一手に引き受けてくれるのが「フォーワーダー」と呼ばれる運送貨物取扱業者です。
 フォワーダーは、言わば「国際物流のプロ」ですが、業者によって得意とする品目、配送地、配送量がことなるため、フォーワーダーに依頼する際には事前にしっかり調べる必要があります。


2 貿易条件(インコタームズ)

 海外の取引先を相手に売買契約を結ぶ際、商品価格、数量、決済通貨、決済方法、輸送方法、引渡時期などの他に、輸出者と輸入者の間で輸送費用負担や、輸送中の事故などのリスクにおける負担範囲に関する「貿易条件」に関する取り決めを行う必要があります。
 この貿易条件のことを「インコタームズ」といい、国際商業会議所(I.C.C.)が取引条件の解釈を定めた国際規則として、世界中で使われており、出荷元から配送先までの危険負担と費用負担を11の条件に分けて制定しています。
 今回はその中から、よく使われる4つの条件についてご説明します。


【FOB(Free On Board)】

 商品を指定船積港で本船の船上に置いた時点で、売主の引き渡し義務が完了し、買主がその時点から一切の費用及び減失・損傷の危険を負担するという規則です。日本語で「本船渡し」と言います。


【CFR(Cost and Freight,C&F)】

 売主の引き渡し場所、危険負担の範囲はFOBと同じですが、売主が商品の指定仕向港までの運送費用を負担するという規則です。古くから使われている「C&F」という表記を使うケースもありますが、正式には「CFR」ですので、契約書などには「CFR」と記載します。日本語では「運賃込み」と言います。


【CIF(Cost, Insurance and Freight)】

  売主の引き渡し場所、危険負担の範囲はFOBやCFRと同じですが、売主が商品を指定仕向港までの運送費用と保険料を負担するという規則です。日本語で「運賃保険料込み」と言います。


【EX Works】

 売主が指定した自社の工場・倉庫などで、商品を買主側に渡し、その後の輸送に関するリスク・費用は、すべて買主が負担する条件です。日本語で「工場渡し」と言います。


 どの条件を採用するかによっても見積額が変わってきますので、以前の商談の際にしっかりと交渉して取り決めをしておくことが必要です。


国際物流(輸出・輸入)の際の主な貿易条件


3 終わりに

 国際物流に関する手続きや規定は膨大で、本稿ではすべてを説明しきることはできませんが、取引先候補の調査や物流に関するご相談、またタイで実績がある物流会社をご紹介することもできますので、ご興味をお持ちの方はぜひ一度当ビューローにご相談ください。

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鳥取県東南アジアビューロー 担当:辻 三朗 (TSUJI SABURO)

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