認知症になっても安心して暮らせる地域をつくり、共生社会を進めるため、スローショッピングの普及に向けた支援を行っています。令和6年7月、令和7年4月、5月にスローショッピングの実証実験を実施しました。
参加者と協力店舗から「参加してよかった」「機会があればまた行きたい」「こうであれば、よりよかった」などの気づきや意見をいただきました。スローショッピングの実施の御参考にしていただければ幸いです。
■1 日時 :令和6年7月8日(月)14時から15時まで
場所 :ファミリーマート倉吉清谷店(倉吉市清谷町2丁目477番地)
参加者:敬仁会養護老人ホーム「シルバー倉吉」の認知症及び認知機能が低下された方5名
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内容
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・店内の2つのレジのうち、1つをスローレジの貼り紙をつけ、聞き取りやすく、ゆっくりとした口調で説明し、参加者のゆっくりとした動作にあわせて接客するとともに、他のお客様にせかされないようにした。店内BGMの音量を調整して店員との会話が聞き取りやすい環境とした。
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結果
意見など
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・参加者は、店員の丁寧な応対や買い物の手伝いがあったことを喜ばれていた。
・参加者から、コンビニはスーパー等と比較して店内の面積が小さいため、商品位置の確認が容易との意見。
・コロナ禍による長期の外出制限があったため、スローショッピングをたいへん喜ばれていた。
・意欲的に買い物をされ、広い通路でスムーズに買い物ができ、イートインで休憩もされるなど、再度の来
店を希望されていた。
・車椅子の方が商品を取りにくいこと(冷凍庫内のアイスクリーム)、生鮮食品が販売されてなかったこと
に対する配置希望などがあった。
・現金払いでは時間を要するものの支払いは容易だったが、セルフレジの使用は困難な可能性がある。
・店側はコンビニの店舗面積も小ささが参加者にとって買い物しやすいことや普段のお客様より客単価が高いことに気づかれ、今後の展開の参考にする予定とのこと。
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■2 日時 :令和7年4月15日(火)14時30分から15時15分まで
場所 :ファミリーマート倉吉清谷店(倉吉市清谷町2丁目477番地)
参加者:在宅の認知症及び認知機能が低下された方5名
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内容
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同上
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結果
意見など
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<参加者>
・1人ではなく仲間と買い物することが楽しかった。
・コンビニで買い物する機会がなく、楽しくて思わずたくさん購入した。また機会があれば参加したい。
・パープルタウンやあじそうなどのスーパーマーケットでもスローショッピングができたらうれしい。
<パートナー>
・専用レジでは、丁寧に対応していただいて安心して利用することができた。
・コミュニケーションがとりにくい症状の人にとって、クオカードでの会計がスムーズでよかった。
・店舗内の表示や案内は見やすいが、それでも買いたい商品が見つからない場合があり、店舗スタッフのサポートが有効であった。
・少しのサポートで参加者が自らの意思で商品を手に取ることができていた。
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■3 イオン、マルイでの取り組み(まとめて記載)
【東部:イオン株式会社と協働実施】
日時 :令和7年5月21日(水) 午後2時から午後3時まで
場所 :イオン鳥取北店(鳥取市晩稲348)
参加者:認知症及び認知機能の低下がみられる4名の方(鳥取市の養護老人ホーム入居者)
【西部:株式会社マルイと協働実施】
日時 :令和7年5月22日(木) 午後2時から午後3時まで
場所 :マルイ車尾店(米子市車尾3丁目6-1)
参加者:認知症及び認知機能の低下がみられる5名の方(米子市の軽費老人ホーム入居者)
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内容
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・店内レジのうち1つにスローレジの貼り紙をつけ、聞き取りやすく、ゆっくりとした口調で対応した。
・参加者のゆっくりとした動作にあわせて接客し、他のお客様にせかされないように対応した。
・イオン鳥取北店では事前に購入予定商品のアンケートを実施し、その商品の陳列場所を表示した店内MAPを当日参加者に提供した。マルイ車尾店では、カートに店内MAPを備え付け、両店舗で商品を見つけやすいように工夫した。
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結果
意見など
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<参加者>
・商品が多く、買い物がとても楽しかった。
・買い物には毎日でも行きたい。また機会があれば、スローショッピングに参加したい。
・トイレの場所がわかりにくかった。わかりやすい案内表示がほしい。
・施設にいると同じ人としか接しないが、買い物では普段見ない人とすれ違うことが刺激になった
<老人ホーム施設職員・包括支援センター職員・行政職員>
・店員とお客様の見分けがつきにくい。視覚で店員を識別しやすくする工夫(腕章等)があるとよい。
・参加者の目線は真直ぐか下であまり上を見ない。上にある商品陳列表示は目につきにくい。店内MAPをイ
オン様が用意していただいたことがよかった。
・今回のようなスローショッピングの実施回数を増やし、どの日でも安心して買い物できるような店舗になれ
ばよい。施設入居者の外出の機会が増え、誰もが買い物しやすくなることにつながる。
・2か月に1回くらいであれば、入居者を送迎してのスローショッピングに参加可能である。
・継続・発展させていきたい取組である。
<店舗>
【イオン】
・トイレ、商品の陳列場所のわかりやすさ等、いただいた意見の改善に努めて参りたい。
・9時から18時までサポートレジ(補助を必要とする方が対象の食品優先レジ)を設けているので、活用し、買い物を楽しんでいただきたい。
・今回の開催の内容をもとに、施設や包括支援センターの御意見をいただき、定期開催をどのような形で実施していく のがよいか検討していきたい。
【マルイ】
・比較的、来客の少ない時間帯を設定したことで、スムーズに実施できたのではないか。
・今回のように日時を決めて開催する方法であれば、定期開催が可能。月1回または月2回の開催が妥当。
・参加人数と時間帯を限定すれば、イートインスペースを買い物後の集いの場として提供可能である。
・行政、店舗及び支援団体(地域の支援者)の繋がりが必要である。行政の働きかけが必要と考える。地域の支援者がスローショッピングを広く認知し、皆で協力していくことで支援の輪が広まる。
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製薬会社エーザイ株式会社のグループ会社のテオリアテクノロジーズが運営する認知症ポータルサイト「テヲトル」にて、鳥取県の認知症施策について紹介していただきました!
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