令和6年度附議案

令和5年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

令和5年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 議員各位と共にしてきた今任期最後の県議会に臨むにあたりまして、これまでの4年間、更には就任以来4期16年にわたり、議員、県民の皆様には県政に対して多大なる御支援、御協力を賜りましたことに対し、心より厚く御礼申し上げます。併せて、この度引退されます議員の皆様に対しまして、長年に亘る惜しみない鳥取県政への御貢献に、高く敬意を表し衷心より感謝申し上げます。

 令和という新たな時代の幕開けに議員各位とともにした今任期は、新型コロナから県民の命と暮らしを守る鳥取県の総力を挙げた闘いの4年間でした。
 本県においては、令和2年1月15日の国内初感染後一早くその翌日に相談窓口を設置し、県医師会など現場と緊密な連携を図りつつ全国一の医療提供体制・検査体制を確保するとともに、「クラスター対策条例」制定をはじめ徹底的な感染拡大防止対策を展開し、「早期検査・早期入院・早期治療」の「鳥取方式」で感染最少化の成果をあげました。その後、ウイルスの変異によりオミクロン株が感染の主流となった実情に即し、県民一丸となった「感染防御型withコロナ」へ移行し、「陽性者コンタクトセンター」の設置など、重症化リスクのある方に重点を置いて命を守る体制を構築し、経済・社会を動かしつつ、全国で最も感染を抑制する結果に繋げることが叶いました。議員、県民、医療関係者、事業者等多くの皆様、そして市町村等関係機関の御協力に心より感謝申し上げます。
 他方、議会とともに「令和新時代」を創造する各種施策を推進し、今期就任時に掲げた政策項目の殆どを達成するとともに、県民との約束である「財政誘導目標」も満たし健全財政のまま次期に引き継ぐ運びとなりました。
 コロナ禍を契機とした地方回帰傾向をとらえ、全国を先導する副業・兼業やファミリーワーケーションによる関係人口拡大に乗り出すとともに、市町村と連携した小学校全学年30人学級化、不妊治療助成拡大、産後ケアの無償化、高校生通学費助成など、子育て環境の充実を図り、昨年度移住者数は過去最高の2,368人を記録するとともに、この度の推計出生数は7年ぶりに増加に転じることとなりました。
 また、「産業成長応援条例」を制定するとともに、コロナ禍克服に向け、無利子・保証料なしの過去最大規模の融資、事業多角化・新展開等への助成、観光・飲食業支援などを切れ目なく実施したほか、デジタル化や新産業創造など産業振興を推し進めました。農林水産業では、梨・すいか過去最高単価、和子牛市場2年連続日本一を記録する躍進を見せ、境港市場の二号上屋完成など基盤整備が進みました。また、「青谷弥生人」を活用した「とっとり弥生の王国」、「鳥取うみなみロード」や「境夢みなとターミナル」整備など、活力あるふるさとを創造してまいりました。
 更には、「孤独・孤立を防ぐ温もりのある支え愛社会づくり推進条例」を制定し、全国に先駆けたヤングケアラー相談窓口など誰一人取り残さない社会の礎を築くとともに、がん検診受診率・死亡率改善、腎センター開設、「県災害福祉支援センター」設置、障がい者スポーツ拠点「ノバリア」整備など、安心して暮らせる地域づくりを展開してまいりました。併せて、国際バカロレア教育認定取得、都道府県初のSDGs企業認証、国を上回る健康省エネ住宅「NE-ST」の普及など、未来への礎となる先導的な施策を進めてまいりました。
 このように、県民と地域のために数々の成果を積み重ねることができましたのも、ひとえに議員各位、県民の皆様のお導きの賜物であり、改めて心より感謝申し上げます。

 それでは、本議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。

 今議会に提案いたしました議案は、
  予算関係   37件
  条例関係   17件
  その他の案件 25件 の 合計 79 件であります。

 最初に、議案第1号 令和5年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 今次の当初予算については、統一地方選挙を控えていることから、新たな重要政策については有権者の審判を仰いだ後に選挙後の議会と首長により協議することが県政の常道と考え、年度当初から対応が必要なものを中心に「骨格予算」として編成することといたしました。他方、一刻の猶予もない新型コロナウイルス感染症対策やコロナ禍・物価高騰を乗り越える対策などについては、緊急性を精査した上で積極的に予算計上いたしました。
 併せて、今任期4年間を締めくくる「財政誘導目標」の各指標につきましては、財政調整型基金は「標準財政規模の1割以上」となる273億円を保持し、実質的県債残高は「県内総生産の2割以下」となる
3,511億円に抑制し、当初予算で96億円の黒字としプライマリーバランスを確保することにより、全て目標達成に至っております。

 それでは、予算案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、「コロナ禍・物価高騰特別対策」についてであります。
 コロナ禍・原材料価格高騰等で売上や粗利が減少した事業者への投資支援や期日一括返済融資を活用し、とっとり企業支援ネットワークによる伴走支援・相談体制を強化するほか、離職者の正規雇用を促す支援金の対象を拡充します。併せて、団体旅行バスや観光周遊タクシーの支援、お食事クーポン券など観光・飲食の需要回復策を講じるほか、県産品販路開拓、鉄道運行支援、バス・タクシーのドライバー確保や経営力強化、燃油代高騰に伴う運送業・公衆浴場・私立学校支援など、きめ細かな対策を講じてまいります。
 また、酪農・養鶏等の飼料代助成、肥育牛・養豚の価格差補てん拡充、農業・漁業低利融資、省エネ設備導入助成や肥料国産化支援など、農林水産業者への支援を拡充するとともに、生活困窮者への光熱費助成、自立・就労支援など、生活再建への環境づくりを強化してまいります。
 
 第二に、「命と健康」「安心安全」についてであります。
 新型コロナ五類化検討も見据えつつ、必要な検査・医療提供体制を確保するとともに、感染予防対策、後遺症外来体制の強化、感染症専門人材の育成を図ります。
 併せて、中央病院の放射線検査高度化、ビッグデータ活用による健康づくり、オンラインによる認知症予防などを進め、ひきこもり、ヤングケアラー、ひとり親家庭、認知症など、地域の「支え愛」で、誰一人取り残すことのない温もりのある社会づくりを進めます。
 更に、家畜防疫拠点整備、養鶏・養豚場の予防・防疫対策を推進するほか、災害ケースマネジメントの社会実装、原子力防災拠点整備、ため池監視システム整備、通学路安全確保などを進めてまいります。

 第三に、「人が輝く未来づくり」についてであります。
 国際バカロレア校開校、ICTを活用した学力向上対策、部活動の地域移行に向けた環境整備など学校教育のレベルアップを図るほか、高校通学助成の対象拡大や「鳥取県未来人材育成奨学金」の対象となる業種を追加するなど、未来を担う人づくりを進めます。
 また、全国に先駆けて「鳥取県版アドボカシー制度」を本格導入し、子どもの権利救済の制度的保障を図るとともに、児童相談所のICT活用体制を充実しつつ、総合事務所と一体化することにより緊急時の機動的応援体制を確保することといたします。
 更に、手話言語条例制定10周年を契機とした手話言語の一層の普及など、一人ひとりが尊重される共生社会の確立を図るとともに、「青谷かみじち史跡公園」開園、来年に迫った「ねんりんピック鳥取大会」の準備など、人が輝く地域社会を推進してまいります。

 最後に、「ポストコロナのふるさとづくり」についてであります。
 コロナを契機とした新たな働き方や価値観の変化を本県の活力につなげるため、「とりふる」を活用した若者のIJUターン促進、ビジネス人材の移住支援を行うほか、リスキリングや事業承継の促進など、県内産業・雇用の振興を図るとともに、鳥取砂丘を活用した宇宙関連産業の育成や建設業の先端技術実証なども進めてまいります。併せて、農林水産業においては、担い手確保を進め、乳業や漁業も含めた生産基盤整備支援、鳥取和牛・地どりの生産振興、「森林経営管理支援センター」新設等を展開してまいります。
 更に、観光も含めた鉄道の利用を促進するほか、国際誘客や大阪・関西万博の出展準備など観光振興を図ります。併せて、北条湯原道路などの道路整備、米子港周辺活性化などを推進するとともに、省エネ診断資格業者育成、西部犬猫管理センター整備などに取り組んでまいります。

 以上の事業を計上いたしました結果、令和5年度当初予算案の総額は、3,350億2千6百万円余となるものであります。

 また、議案第22号 令和4年度鳥取県一般会計補正予算(第8号)につきましては、この度の大雪被害に対し、園芸ハウス・果樹棚・畜舎・林業施設等の復旧や葉折れ白ネギなどの販売促進などの対策を講じるほか、コロナ禍克服に向け中小企業事業継続のための基金を積み増すなど、所要の事業を精査の上計上いたしました結果、46億2千9百万円余を減額することとし、補正後の令和4年度予算総額は、4,287億4千6百万円余となるものであります。

 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。

 議案第39号 「特定地域等の振興を促進するための県税の課税の特例に関する条例」の改正につきましては、企業立地促進や雇用機会拡大のため、不動産取得税の不均一課税による優遇措置を5年間延長しようとするものであります。

  議案第52号 「鳥取県立高等学校等設置条例」の改正につきましては、不登校、病気等の理由により就学できなかった方のための大切な学びの場として、夜間中学校「鳥取県立まなびの森学園」を新たに設置しようとするものであります。

 議案第56号 財産の無償貸し付けにつきましては、米子駅周辺の活性化に向けて米子市、鳥取県、JR、地元が協力して行うまちづくりに資するため、同市に対して米子駅前だんだん広場を無償で貸し付けようとするものであります。

 議案第79号 「鳥取県新型コロナウイルス感染拡大防止のためのクラスター対策等に関する条例」の改正につきましては、公衆衛生上緊急の対応を要する感染症でなくなったと認められる場合には、施設の使用停止、公表、勧告等のまん延防止措置について、感染の実情等に即し適用しないこととするものであります。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000