協働参画課の主な業務・制度

熊本視察研修報告書

Posted 2016年5月9日

【視察研修概要】

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  • 日時:2016年3月18日(金)9時~17時
  • 視察先:おがた小児・内科(熊本県熊本市北区飛田3丁目9-20)、認定NPO法人NEXTEP(〒861-1112 熊本県合志市幾久富1123-5)
  • 対象:鳥取県内で難病児のケアに従事する医療・福祉・教育の専門家
  • 参加者:10名(鳥取県看護協会1名、鳥取大学1名、鳥取県立中央病院1名、訪問看護ステーション1名、鳥取県庁4名、日本財団2名)
  • 目的:熊本県における難病児と家族の地域生活支援の先進事例を視察し、鳥取県にて難病児と家族の地域生活支援事業を展開する上での知見を得ることを目的とする
  • 日本財団の支援内容:視察研修先への講師謝金、参加者の宿泊費・交通費(鳥取県⇔熊本県間の実費を支給、県庁職員を除く)

【視察研修報告】

(1)おがた小児・内科訪問

  • 日時:2016年3月18日(金)9-10時
  • 訪問先:医療型特定短期入所施設 かぼちゃんクラブ(熊本県熊本市北区飛田3丁目9-20)
  • 対応者:緒方健一施設長、新塘久美子主任
  • 研修内容:
    • 「かぼちゃんクラブ」の見学
    • 「かぼちゃんクラブ」の施設・事業説明(利用者、日中活動について等)
    • 緒方施設長のお話
    • 質疑応答(熊本県の小児在宅の現状や地域資源について等)

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訪問について

おがた小児科・内科の隣に併設される医療型特定短期入所施設「かぼちゃんクラブ」。特に日常生活に医療的配慮を必要とする障がい児が日中に通える施設である。施設長の緒方健一氏は第4回日本医師会赤ひげ大賞受賞者である。

 

(2)NEXTEP視察研修

日時:2016年3月18日(金)13-17時
訪問先:認定NPO法人NEXTEP(〒861-1112 熊本県合志市幾久富1123-5)
対応者:島津智之理事長、佐々木大河事務局長、中本さおり総括部長
訪問先について:NEXTEPは、小児専門の訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、福祉有償運送サービス、相談支援事業を展開している。2015年には、児童発達支援事業や放課後のデイサービスを提供する障がい児通所支援事業「ボンボン」を開設し、医療依存度の高い難病の子どもの発達や障害に合わせて療育活動を行っている(日本財団は「ボンボン」の施設整備を助成している)。

 

研修スケジュール

13時00分-13時30分 NEXTEP(団体)、事業概要の説明
13時30分-14時15分 ボンボン(障がい児通所支援事業所)の説明・見学
14時15分-14時30分 団体・施設・事業について質疑応答
14時30分-15時00分 休憩・移動(5分)
15時00分-15時30分 講演(島津理事長)
NEXTEPの在宅移行支援と訪問看護、地域での連携について等
15時30分-17時00分 NEXTEP×鳥取県ワークショップ「徹底的にパくる大作戦(TTP)」
【テーマ】
(NEXTEPの活動を鳥取県にて徹底的に真似すると仮定して)鳥取県でできることとできないことへの解決策を考える【内容】
1.アイスブレイク(自己紹介・視察の感想)
2.ディスカッション(2グループに分かれて「NEXTEPの実施事業や仕組みで鳥取県にてできること・できないこと」を出し合う)
3.まとめ

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事業説明

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施設見学1

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施設見学2

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島津先生の講演

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ワークショップ

【参加者の所感(一部抜粋)】

参加の目的

  • 難病児や医療的ケアを要する障がい児の在宅移行、地域支援を行うための知識、工夫を知るため。
  • 運営体制について知るため(小児専門で採算を取りながら運営する仕組み)。
  • 勤務先のステーションで、NICUまた小児の訪問看護の依頼が増えてきた中で、長時間看てくれる訪問看護やデイサービスなど受け入れ先が少ない等の課題を感じていた。他県の対応を知りたい。
  • 鳥取県と日本財団の共同プロジェクト事業を進める上での情報収集のため。

研修に参加した感想・気づき

【かぼちゃんクラブ】

  • 療育を行いながら、呼吸リハビリを行うことで、児の発達促進、全身状態安定につながっている。
  • 診療所併設型の医療短期入所施設は、開設してみて比較的経営も安定して、十分なサービスが提供されていると思い本県事業展開でも参考になる。

【地域の連携体制】

  • 生活の場である在宅において、鳥取県で欠けているのは保育・療育の専門職である保育士との連携。今後、他の訪問看護ステーションとも連携しながら、保育と医療の両面から子供の支援ができればと考えている。
  • 在宅移行支援の流れを院内スタッフ、および、訪問看護等病院外のスタッフで共有できるように、仕組みを作り、クリニカルパスを作成したい。
  • 小児をうけいれる訪問看護ステーションが増えるように、勉強会ができるとよいと思った(講師とテキストの準備が必要)。

【NEXTEP】

  • 児の発達支援だけでなく、家族のニーズに丁寧に答えること、児と家族の将来を見据えた支援を行っていた。
  • 施設そのものの新しさや清潔さも良い雰囲気で、利用する子供たちに向けられるスタッフの方々の温かい眼差し・明るさに大いに励まされ、元気をいただいた。はじめて視察したとは思えない心地よさも感じた。
  • 多機能施設としてのイメージが具体的にわかるもので、法人のこれまでの活動や現在の状況は熱のある集まりでつくりあげてきたということが分かった。
  • 島津先生の熱意と行動力に敬意を表するとともに、中本さんのパワーにも脱帽。とても刺激を受けモチベーションが上がった。
  • デイサービス、訪問看護、ヘルパーを1つの事業所で行うことによって、利用者の体調にあわせたサービスの提供ができることがわかった。利用者本人にも家族にも喜ばれる仕組みだと思う。また赤字を出さない運営にもつながっていると思った。

【全体】

かぼちゃんクラブ、NEXTEPについて

  • 両施設ともに既存の福祉サービスでは、支援しきれない部分(移動支援、定期的な呼吸リハビリ)を支援していた。チームでしっかり支援しているのが分かった。
  • 両施設は、最終的な形態ではないかもしれないが、小児在宅に係る必要な支援、サービス内容が集約されていると感じた。事業所であれば規模の手本になると思った。
  • 両施設を視察して、直接的なケアは他職種のチームで関わられているが、バックには相談できる医師が常におられ心強くケアスタッフは活きいきと動ける環境であると感じた。
  • (熊本県における小児在宅医療の提供体制について)
  • 熊本県全般的に小児在宅医療・支援の事業展開が進んでいるように思えた。
  • 全市町村に訪問看護事業所・ステーションが存在し、在宅支援の基礎が充実している。
  • 慢性疾病児が在宅へ移行する際のシステム、医療機関の役割分担が構築されている。
  • 病院主治医で完結している鳥取とは違い、小児も引き受けられる在宅小児科医・内科医がいる。
  • 小児、超重症児、準超重症児が看護できる、看護したいという看護師が少なく、小児が受け入れられる訪問看護ステーションが少ないので、鳥取では医療型デイサービスなどでは、ハードルが高く困難かと考えていたが、看護師1 人でも他職種共同でできることと、訪問看護ステーションとの連携で、できることが理解できた。
  • 「制度は後からついてくる」とはいえ、今この時、必要なサービスが提供できていない・・・焦りを感じた。地域によるサービスの格差をできるだけ少なく、先ずは、安心できる生活の保障が急務だと感じた。

研修内容をどのように鳥取県でいかしたいか

【地域の連携体制】

  • 生活の場である在宅において、鳥取県で欠けているのは保育・療育の専門職である保育士との連携。今後、他の訪問看護ステーションとも連携しながら、保育と医療の両面から子供の支援ができればと考えている。
  • 在宅移行支援の流れを院内スタッフ、および、訪問看護等病院外のスタッフで共有できるように、仕組みを作り、クリニカルパスを作成したい。
  • 小児をうけいれる訪問看護ステーションが増えるように、勉強会ができるとよいと思った(講師とテキストの準備が必要)。

【人材】

  • 中心核となるのはやはり「医師」。緒方医師、島津医師の取り組みを紹介などし、在宅や訪問診療に興味、やる気のある医師を発掘するために何かできれば。NEXTEP の活動は、核となる医師とNPO 運営者、また訪問看護師、PT,OT などスタッフを集めてい くことが事業開始の前提になるのかと思われる。今回の共同事業でその様々なスタッフとなる人材の収集方法や育成方法について最終的なイメージができたと考える。
  • 人材育成を行う立場にいるので、医療・福祉がチームで児と家族を支援すること、短期的な支援ではなく、中長期的な支援を検討することに重点をおいた教育プログラムの構築を行い、鳥取県における人材育成につなげようと思う。
  • 小児訪問看護師養成のための研修を体系的に実施できるよう、現行の事業の整理と今後の展開について関係者と協議し、具体化させる。

【施設運営】

  • 施設運営については、福祉的、医療的、経済的観点から運営を行う必要がある。それぞれのスペシャリストが運営について議論する場を設ける機会を行政に働きかけたい。
  • NEXTEP の運営は、1人のお子さんをトータルしてサービス、支援の提供ができるものとなっており、保護者の側も安心して利用できるのではと考える。中心拠点となるものを築くのであれば、NEXTEP の運営体制は少なくとも必要。まずは手本にして拠点の 構築を進め、進めていく中で本県の状況に合うよう修正しまたは必要なものを盛り込んでいくなどしていけばと考える。

【その他】

  • 来年度実施する実態調査等により「小児在宅医療」に係る保護者のニーズ(現状と課題)を明らかにし、次期鳥取県保健医療計画に明確に位置づける。

本研修への要望

  • 最後のワークショップは疲労もあり、参加者の集中力が切れていた。視察前にワークショップを行い、視察後に振り返りを行うというのはどうか。
  • 短時間しか参加できなかったことが残念だった。もっと早くに連絡があれば調整できた。
  • おがた小児科へも見学に行きたかった。
  • 機会があればさらに多くの視察を行いたい。様々な運営主体の方と話をさせていただき、全国の小児在宅医療の潮流を知りたい。
  • 共同プロジェクトを進めるに当たり、多くの関係者が視察に参加し、同じ時間や場面を共有し目指すべき方向性が共有できたことは意義深い。
  • 県内の医療・福祉関係者、一般の方々にこのプロジェクトを身近に感じてもらえるような働きかけが必要。

鳥取県×日本財団共同プロジェクトへの要望

  • 医療、福祉のサービスや制度が非常にわかりにくく、勉強しづらいので、わかりやすい一覧表があるとよい。医療スタッフ、患者家族ともわかりやすく、利用しやすくなると思う。
  • 医療スタッフ側だけでなく、患者家族への「家族だけでみるのではなく、サービスを利用しながら在宅生活を送ることが当たり前である」という啓蒙が、サービスの利用促進につながるのではないか。
  • 在宅看護職員確保のために都会など大都市から地方への看護師出向システム、または、指導者・教育者の派遣システムを考えていただきたい。
  • 訪問看護ステーション向けへの小児・医療的ケア児の看護・呼吸リハビリテーションの研修企画を行うとよい。
  

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