とっとりSDGs企業認証を令和4年度に取得した「株式会社兎ッ兎ワイナリー」の代表取締役 前岡 美華子さん、栽培・醸造 野口 涼さんにSDGs活動について伺いました。
■株式会社兎ッ兎ワイナリー(鳥取市)
活動概要/ブドウ栽培からワイン醸造、販売までを手がける6次産業化に取り組む企業。オリジナル品種を含む約25種を生産し、鳥取の新たな特産品となっている。

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~ワインで人と未来を育む~
兎ッ兎ワイナリーは、自家栽培のブドウで醸造するワイナリーです。ブドウは植えてから収穫まで3年、質の高い実がなるには15年かかると言われます。また、醸造したワインも年月をかけて熟成させる場合があります。つまり、美味しいワインをつくるためには、サステナブルでなくてはならない。SDGsは私たちにとって特別なことではなく、美味しいワインづくりに欠かせない活動なのです。
環境対策においては、令和4年に全電力を再生可能エネルギー由来に切り替え、CO2排出量が半減しました※。鳥取県主催の講座を受講し、自社でCO2排出量を算定しています。将来的には自分たちで電力を作りたいとも考えており、いま再生可能エネルギーを開発する研究機関の方と定期的にやりとりをしながら、この地域で何ができるかを模索しています。
栽培は、耕作放棄地をブドウ畑に転換して行っています。高温・湿潤な気候に適応した新品種を開発し、化学肥料や除草剤に依存しない栽培を実践しています。「草生栽培」といって、あえて草を生やして土の適度な湿度を保ちます。なおかつ、刈ったあとはそのままブドウの木の肥料になります。そして、ブドウを搾った後の皮も、一度乾かしてから肥料として畑にまきます。栄養の循環と、環境保全への貢献を目指しています。こうした電力やCO2、栽培などにおける環境への取り組みを毎年まとめて、4月22日の「アースデイ」にあわせて発表しています。

私たちは「ぶどうとワイン造りを通して人が繋がり夢と未来を創造する」を理念に掲げ、地域社会や教育・福祉ともつながって、若者が自由に夢を描ける拠点づくりを目指しています。鳥取市内の学校で訪問授業を実施し、大人向けにはワインセミナーも開催しています。園外保育で、園児たちがブドウ畑を走り回る日もあります。インターンシップの受け入れも行っており、毎年、県内外からブドウ作りやワイン造りを学びにやって来ます。子どもから大人まで、県外、県内から、さまざまな人が集まる場所になっています。
春から秋にかけては、誰もが出店やステージ発表に挑戦できる「yogotoマルシェ」を開催。多くの人でにぎわい、地域の交流の場としても定着してきました。また、隣接するグループ企業の、医療・福祉事業所と共に、子どもたちの夢と可能性を応援することもしています。農業から商工業、教育・福祉まで、ワインづくりを通して多面的な活動を展開し、美味しいワインを届け、地域の豊かな未来を育んでいきたいと思います。
※「ヤマソービニオン 2022」1本あたりの製造に係るCO2排出量の相対比較