防災・危機管理情報


令和7年度附議案

令和7年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 

 今、世界は深刻な国際紛争、人々の分断、民主主義・法治主義への脅威等に揺らぎ、経済・貿易も不透明さを増しつつあります。日本国内でも、東京一極集中が再加速する一方、災害の激甚化、偽情報・誤情報の拡散、長引く物価高や金利上昇など、様々な課題に翻弄されています。

 この荒波を乗り越えるべく、昨年11月30日には石破総理を迎え「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」を開催し、「地方創生2.0」に呼応し人口減少克服を目指す国民的運動は、ここ鳥取からスタートしました。時代の変化をむしろチャンスと捉え、小さな県だからこそできる機動性と地域の絆、自然も含めた様々な資源を生かし、「日本創生」の先頭に立ち、歴史上稀に見る試練を乗り越えてまいる決意です。

 

 今年は「きのとみ」の年ですが、同じ干支の歳回りから「乙巳(いっし)の変」とも呼ばれる645年「大化の改新」でこの国の歴史が一変したように、鳥取県で「令和の改新」を起こす県民運動を展開し、若者も女性も働きやすく住みやすい地域づくりに乗り出すとともに、大規模災害への対応力強化、激動する国際情勢・経済変動への対応など、諸課題を克服し新たな未来を創造すべく果敢に挑戦していくことといたしました。

 

 こうした決意に立ち、この度提案いたしました議案は、

予算関係   30件

条例関係   24件

その他の案件 15件 の 合計69件であります。

 

 最初に、議案第1号 令和7年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 

 令和7年度当初予算における本県の一般財源総額は税収増により今年度を上回る見通しですが、社会保障関係費・物価・光熱費・人件費等の増加に伴う歳出増により、厳しい予算編成を余儀なくされました。そうした中にあっても、「令和の改新」へスタートを切り人口減少に歯止めをかけるため、私が県政をお預かりして以来最大の規模となる当初予算案となりました。

 なお、県民との約束である「財政誘導目標」につきましては、当初予算執行後ベースで財政調整型基金の確保、実質的県債残高の抑制、プライマリーバランス黒字の3指標いずれも目標圏内にとどめることができ、現段階でなお健全な財政運営を堅持しておりますが、残り2年間で健全財政を守れるよう努力してまいります。

 

 それでは、令和7年度当初予算案につきまして、項目ごとに御説明申し上げます。

 

 まず、「人口減少を乗り越える令和の改新」についてであります。

 若者や女性からも選ばれる地域の魅力や職場環境に向け、若者や女性の視点を取り入れ施策の展開を図りました結果、地域の魅力SNS発信や若者交流活性化に乗り出すとともに、県内就職を後押しする奨学金支援の全業種拡大、県外人材と地域の団体のマッチングを行い、男女協働未来創造本部を全国で初めて独立部局として設置し、アンコンシャス・バイアス解消県民運動を起こすなど、精力的に展開することといたしました。

 また、「えんトリー」の会費無料化、若者に向けたプレコンセプションケアなどの「シン・子育て王国」推進、中山間地の買物環境確保やコミュニティ・ドライブ・シェア等を、積極的に推し進めてまいります。

 

 次に、「暮らし安心のふるさと創造」についてであります。

災害関連死を防ぐため、24時間以内にベッドはじめ避難所環境を整える「TKB24」を目指すとともに、「避難所サポーター」養成、ウェアラブルデバイス導入等、避難所運営の円滑化や迅速な災害復旧を図ってまいります。

 また、高齢世帯の防犯機器支援、青少年のSNS適正利用促進、中山間地等の医療・介護職員確保など、県民の命と健康を守り抜く対策を講じるとともに、「鳥取県版COP会議」開催や自然共生サイト拡大、非住宅も含めたNE‐ST普及など、環境先進県へ踏み込んでまいります。

 併せて、物価高等に対し、低所得者や医療・福祉施設、畜産農家等への支援など、切れ目ない対策を実行してまいります。

 

 次に、「活力と交流でひらく元気な地域づくり」についてであります。

 大阪・関西万博に伴い、「とっとリアル・パビリオン」を県内一円で展開し、万博会場で「まんが王国とっとり」等の魅力をアピールすることにより、インバウンド観光やサイクルツーリズム拡大など国内外からの誘客を進めてまいります。

 また、激動する経済・国際環境に対応した県内企業の設備投資・海外展開・DX化等を図るとともに、農業生産1千億円に向け、集落営農組織の規模拡大、気候変動対策、次世代種雄牛造成、「食パラダイス鳥取県」など、力強く展開してまいります。

 更に、全路線バスICOCA導入、農林水産業スマート化を推進するほか、道路、河川、港湾等のインフラ整備も着実に進めます。

 

 最後に、「一人ひとりが輝く新たな時代へ」についてであります。

 県立美術館の開館を生かし地域連携やアート・ラーニング・ラボなど県全体への波及を目指すとともに、「因伯ねんりんピック」等ねんりんピックのレガシー継承、今年開催のインターハイや近畿高文祭の成功、デフリンピック等へのアスリート支援など、「アート輝く鳥取県」をはじめ1人ひとりが活躍するふるさとづくりに乗り出します。

 また、全国と連携し障がい者アート展を行うほか、国外大学進学奨学金の創設、高齢者の買物を支援する「スローショッピング」、校内サポート教室等のいじめ・不登校防止対策なども、精力的に進めてまいります。

 

 これら各般にわたる事業を積極的に計上いたしました結果、令和7年度当初予算案の総額は3,650億4千9百万円余となるものであります。

 

 併せて、議案第22号 令和6年度鳥取県一般会計補正予算(第6号)につきましては、老朽地震体験車の更新や、森林保全の基金積み増し等を計上するなど所要の精査をいたしました結果、80億9千9百万円余を減額することとし、補正後の令和6年度予算総額は4,034億7千7百万円余となるものであります。

 

 なお、現在、与野党において、来年度国当初予算の修正等に関する議論が進んでおり、その動向に応じ、今後、新年度補正予算の追加提出も検討しておりますので、よろしくご理解のほどお願い申し上げます。

 

 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。

 

 議案第61号 「特定の職の人材確保のための鳥取方式短時間勤務を導入する緊急措置に関する条例」の制定につきましては、採用の難しい特定の資格を要する職員や配慮が望まれる障がいのある職員について、ワークライフバランスに配慮していくモデルとするため、短時間勤務正職員制度を全国で初めて緊急に設けることとするものであります。

 

 議案第68号 「鳥取県青少年健全育成条例」の改正につきましては、青少年が被害者・加害者になる悲劇を生じないよう、SNS等を通じ闇バイトによる犯罪、いじめ・誹謗中傷、オンラインカジノ等に巻き込まれることを防ぐとともに、生成AIによる児童ポルノ等の被害から青少年を守ることとし、ペアレンタルコントロールをはじめ県独自の対策を全国に先駆けて実施しようとするものであります。

 

 以上、提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 


  

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