主任、主査等の廃止に関する組合交渉の概要
○日時 平成17年11月10日(木)14:30~16:15
○場所 執行部控室(議会棟2階)
○出席者 知事部局:柴田参事監兼職員課長、伊澤給与管理室長、広瀬課長補佐、
萬井副主幹
企業局:小泓次長、山田総務課課長補佐
病院局:嶋田総務課長
県職労:片山執行委員長、山中書記長、櫻井書記次長
現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長 他24名
<概要>
県:前回(10月28日)の交渉で、組合から「従来の主任、主査による一律的な昇任・昇格の取扱の廃止提案の中で、評価を前提としたこれからの給与制度、人事管理制度による平均値的な生涯給与水準を具体的にイメージできるものを示して欲しい。」と要望があったので、本日はこの課題を中心に進めていきたいと考えている。
当然、試行錯誤の部分もあるが、これからの制度設計の基本的な考え方としては、民間給与との均衡の範囲内ということを大前提としながら、国家公務員の給与水準をよりきめ細く比較分析した上で、それとの均衡を目安として進めていきたいと考えている。具体的には、学歴別、経験年数別の平均給料月額や職務の級の在職状況の比較などを基にして、国家公務員2.種(大卒程度)及び3.種(高卒程度)について、それらの給与水準との均衡を目安としていきたい。初任給基準や昇格の実態が相当異なる国家公務員1.種を除いたところで均衡が図れることを目標に制度設計していきたいと考えている。行政職給料表以外の給料表についてもそれぞれの給料表別に同様の考え方で国家公務員との比較分析を行い、均衡を考慮して設計していきたい。
このような基本的な考え方について組合として共通の認識に立つことができるかどうか確認したい。
組合:現段階においては、行政職は、国公ラス以外に給与水準を比較する指標がないので、疑問を差し挟む余地があるわけではないが、研究職や医療職など独立行政法人化により国家公務員から外れた職員が多い職種や福祉職など国の給料表と異なる適用を受けている職員など単純に国家公務員との比較ができない給料表もあるので、この場では即答できない。持ち帰って検討させてもらいたい。確認だが、国家公務員2.種及び3.種との均衡の目安とは、具体的にどう考えているのか。いわゆる国公ラス100だと考えてよいのか。
また、国家公務員2.種及び3.種だけの学歴別、経験年数別の平均給料月額や在級割合分布などのデータは公表されておらず、比較検討が難しいのではないか。
県:国との均衡の目安としては、現段階では国公ラスしか比較指標がないので、国公ラス100だと考えている。具体的には国の級別職員割合の状況も参考としながら、業務上の必要性を検証して必要な職場に必要な役職ポストを設定することなどを行い、国家公務員2.種及び3.種の水準で国公ラス100を目安としながら制度設計していくことを考えている。
国家公務員のデータについては、行政職給料表以外のラスについては公表はされていないが基礎データ自体は公表されているので、算出は可能である。比較的近年の独立行政法人化前のデータは存在するし、対象職員が減少しているとはいえ相当数の職員は現存しており、将来的に課題となることはあるにしても、当面は国家公務員との比較検討は十分可能であると考えている。また、国家公務員2.種及び3.種だけの給与水準や在級割合分布などは可能な範囲で情報収集や分析に努力しているところである。
組合:行政職について、国家公務員2.種及び3.種の水準との均衡を図るという考え方については組合としても異存はなく、共通認識として整理できる。行政職以外の給料表については持ち帰って検討したい。
国の水準も参考にしながら役職ポストを設定すると言うが、どのような業務に対して役職が設定されるのかが具体的にわからない。それぞれの職位の区分に対する基本的な考え方を聞かせてもらいたい。
県:各所属ごとに業務の状況や職務の実態が異なるため、個別に示すことは困難だが、標準的な組織体系を基にしてイメージ的に言えば、2とか3名なりの数名程度の係員で構成される係をまとめる係長、その2~3係をまとめる課長補佐、課長が想定されると思う。ただし、様々な業務の拡大や困難性の増大などに伴って、係長級や課長補佐級の職員が担当すべき業務などでも必ずしもライン職だけで整理できないものも多くなってきていると思う。職位の区分について一般的な考え方を整理して示したいと考えており、現在作業中である。
組合:国においては、役職ポストの割合が70%強だと認識しているが、鳥取県において同程度の役職ポストを設定するということか。国家公務員の給与水準との均衡を図ろうとすれば、相当数のポストを増設しなければならないと思うが、各職場に設定されるポストとは、純然たる係長なのか、それとも副係長や筆頭主事みたいなものなのか。
県:国における4級以上の割合は70%程であり、提案しているとおり職務の実態や必要性を基にポストを整理し、一定程度増設することは考えている。ただし、創設されるポストは係長や課長補佐と同等の役職であり、能力評価も含め、業務の実績評価を行い、係長なり課長補佐として業務をこなせる能力のある人を任用することになる。
組合員(出席者):各職場において様々な役職名がある中で、具体的にどのような職がなくなっていくのか。副主幹はなくなり、係長のみ残っていくのか。
県:見直しの対象となっているのは一律に昇任・昇格させている主査・主任の職である。ライン中心からスタッフ中心の組織体制も増えていく中であり、今後もスタッフ職としての副主幹は存置する。多様な組織体制に対応可能な給与制度等を設定するには一定の期間が必要であり、組合とも十分な協議を行いながら、2年間を重点期間として、5年間かけて円滑に移行させようと考えている。現段階において可能な限り具体的な提案をさせてもらっているので、抽象的な面もあるかもしれないが、是非理解していただきたい。
組合:組合の試算では国公ラス100を目指すのであれば約65%程の役職ポスト割合としなければならないと思う。県の提案の趣旨は、国の水準を基にしながらその程度の範囲まで職位、業務の整理と分化を目指すということなのか。
県:基本的にはそのような考えである。しかし、当然のことだが必要のない職を設置すれば逆に非効率な組織となるし、初めから給与水準の均衡だけを目指してポスト職を設定することは考えていない。国家公務員2.種及び3.種の級別職員割合の状況も参考にしながら、現行の組織体制を見直し、必要な職場に対し必要な役職ポストを設定することを検討する。給与水準の均衡には、いろいろな構成要素が考えられるので、職の整理を行ってみて、その結果、給与水準が国家公務員より低くなるようであれば、適正な給与水準となるよう給与上の措置を行うことを検討することになる。当然、任命権者の立場からも給与水準の検証は行っていくが、適正な水準の判断は人事委員会の役割であり、必要が生じれば勧告などが行われ、是正が図られていくものである。
組合:前回の提案に比べ、かなり踏み込んだ回答だと受け止めている。組合としても今回の回答、提案を持ち帰って十分に検討し、協議したい。
今後は設定されたポスト職にだれが任用されるかがより重要な意味を持ってくることになるので、任用にあたっては、公正・公平さを保つためにも、一定期間の異動や経験を積む中で、常識的な考えばかりに頼るのではなく、自分がどのあたりの位置にいるのか目安としてイメージできるような具体的な任用基準が必要となるのではないか。つまり、評価の結果で割り当てられるといっただけの説明では不公平感が出るかもしれず、具体的な任用基準により説明し、納得できる仕組みをつくる必要があると考える。
県:年功序列的な体系を廃止して、能力主義を取り入れることは若年層の登用の面からもメリットがあるため、任用に際して経験年数や年齢によって一定の制限を設けることは想定していない。しかし、今後、任用について何らかの考え方のようなものは示していかなければならないと考えている。
任用にあたっての説明責任については、職員の評価について現在でも公務能率評定の個人面談のように一定程度オープンにしているが、人事任用の公開には限界がある。つまり、あるポストへの任用は、AとBの職員の単純な比較だけで任用するのではなく、当該ポストに最適な人材を全体の中から任用するものであるので、個々の職員に対してなぜこの人なのかと説明することには限界があることは理解して欲しい。
組合:交渉事項ではないという議論もあると思うが、完成品かどうかは別にしても、職員間に公平感が得られるような何らかのものを作成するにあたっては、組合とも協議を行って欲しい。
県:納得性の得られるシステムづくりのために、組合の意見も聞きながら取組みを進めることに異存はない。
組合:今回の提案に対し、大筋の基本的な方向性は伺ったので、持ち帰って組合の内部でも協議をしたい。
組合員(出席者):どのような能力があれば係長になれるのか、具体的な基準を示して欲しい。
県:そのような具体的な基準は、現在はない。ただし、県職員として求められる公務員像として示されている「人材育成指針」や「公務能率評定」における各職位毎に示される評定項目を示すことになろう。それぞれの項目に沿って判断し、その評価に応じた処遇が行われるのだと新採職員の研修でも教えている。昇任については、現在における能力を評価し、加えてどのような業務経験を積んできて、どのような実績を上げきたのか、総合的に判断して任用されるものである。まだまだ完全なものではないが、公務能率評定も3年目になり、少しずつ定着してきたのではなかろうか。
組合:公務能率評定については、評定結果のみに目が奪われて、評定項目毎の目指すべき方向性を日常業務にどう活かしていくのかという観点からの認知度が低い状態である。本来は当該項目が、仕事を行う上での動機付けとして所属長から各職員に説明されるような組織へ変わることが必要だと考える。また、公務能率評定も3年目になり、評定者研修は行われているが、そろそろ評定を受ける側の研修も必要なのではないか。今回の交渉項目ではないが要望しておく。