教育委員リレーコラム

  

子どもたちに生きる力を

 鳥取県教育委員長 笠見幸子           

 差別をする者がいるから差別がある。いじめる者がいるからいじめがある。
 どちらも加害者側の心の問題で起こる。差別にしても、いじめにしても人間の悲しい性であるから、無くならないという人がいる。

 しかし、どんな理由であれ、加害者側が絶対に悪いのである。

 それなら子供の養育の段階で幼少期から、基本的な躾と同様に家庭で親や家族が「差別をしてはいけないよ」「弱い者いじめをするんじゃないぞ」「悪いことはするなよ」「困っている人がいたら見捨ててはいけないよ」と、人間社会で生きていく上で大切なことを繰り返し、繰り返し言って聞かせる必要がある。
 今、家庭の教育力の低下が叫ばれて久しい中、ここにもその弊害が生じている。

 もう一つは、危険回避能力の育成である。家庭でも学校でも子供たちに『転ばぬ先の杖』的方策が講じられ、その結果、子供たちは体験不足から危険回避能力の芽を摘み取られてしまっている。注意力、判断力、行動力を養い自然災害、交通災害、そして差別やいじめなどからの被害を回避したり、たとえ遭っても自力で解決が難しい時は誰かに相談したり、助けを求めたりするなど、克服する手段を知り、解決していくたくましい力をつけることである。

 自分一人の内に秘めたまま、決して自ら命を絶つようなことがあってはならない。

 どの子も、心も体もイキイキした鳥取っ子であってほしい。

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