自然保護監視員日記


 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2009年12月11日

ナスカの地上絵?

 三朝町の南部、岡山県境に近い大谷地区に標高1020mの若杉山(わかすぎやま)があります。鳥取県内では珍しい草原の山で、花を楽しめる山として注目を集め、最近では登山者がかなり増えています。

 集落の奥からゆったりとジグザグに付けられた登山道は、やがて松林を抜けて花の咲く草原に至ります。

 梅鉢草(ウメバチソウ)9月   松虫草(マツムシソウ)9月    翁草(オキナグサ)4月

 緩やかな道は山頂へ続く急な斜面に変わります。あえぎながら登り、一息ついて後ろを振り返ると下方の草原に描かれた大きな円形に気づきます。この正体は何なのでしょうか。

円形に草が短く刈り取られ、一部草焼きがされています。 近づいてみるとロープで囲まれ、何か大事に保護されているようです。

 若杉山が草原となったのには訳があります。草刈山として、また、牛の放牧地として利用されていたのです。
 耕運機が普及するまで、ふもとの農家約40戸が平均2頭の牛を飼い、多い時は100頭近い牛が放たれ、のんびりと草を食んでいたということです。

 牛がいなくなってからは山の草は伸び放題、木も生えるようになりました。草原に沢山生えていたオキナグサも樹木や背の高い草に覆われて今ではほとんど見ることができなくなりました。オキナグサは今や鳥取県の稀少野生動植物に指定され、採取が全面的に禁止されています。

 これではいけない、何とかしようと地元の方々が保護、増殖を図られるようになりました。謎の円形はこの増殖地だったのです。
 オキナグサの保護とあわせ、森林化が進んでいた山の斜面もマツを伐採して少し以前の姿に近づきました。

マツが育ち始めている山の斜面 伐採されて少しスッキリしました。 頂上から臨む蒜山、大山方面。草原なので、四方遮るものなし

 すばらしい自然を守るため、地元の皆さんは元気で活躍されています。さらに地元以外の多くの方にも保護活動にご協力をお願いしたいものです。(自然保護監視員 浜辺正篤)
 

中部総合事務所環境建築局 2009/12/11 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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