自然保護監視員日記


 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2010年1月12日

冬の海岸

 この時期、北西の風が吹きつけて荒れることの多い日本海も、青空の下、静かに凪ぐときがあります。
 そんな一日、琴浦町の篦津(のつ)海岸を訪れてみました。

 大山町との境界に近い坂ノ上の集落から、国道9号に架かる陸橋を渡って農道を北に進むと直ぐに日本海を見下ろせる崖の上に出ます。

何の漁なのか数隻の漁船が白い点のように浮かぶ。隠岐島が見えないかと目をこらすが・・・ 北東方面、崖は低木やササなどに覆われる。遠方にクロマツが1,2本立つ。 近くに天然記念物「ハマヒサカキ」の説明板。本種の生育地としてはここが北限とある。

 「北限のハマヒサカキ」を探して、崖に付けられた道を海岸に向かって下りていきました。

道の脇に咲くスイセン。自生種ではないものの半ば野生化して不自然さはあまり感じない。 海岸近くの崖などに見られるコモチシダ(子持ち羊歯)、名前のとおり小さな苗が葉に付く。 海岸に下りると一面見事な大玉砂利。歩きにくいことこの上なし。

 海岸には流木のほか漁具の切れ端やプラスチック類などの漂着物も。自然に還らない困りもの。 

漂着した物のなかには色々な形をしたカイメン(海綿)が。スポンジのない時代には様々な用途に。 海岸から見上げた崖にようやくハマヒサカキを見つける。強風に曝され、まるで剪定されたような姿 「鳥取県のすぐれた自然」(1993年鳥取県刊)にあったこの場所の写真。海岸のクロマツの衰退振りが歴然

 海岸特有の植物や漂着物など、観察するのもなかなか興味深いものがあり、ついつい夢中になってしまいましたが、ふと気づくとたたずんでいるのは我一人。柄にもなく人恋しさに捕らわれてしまいました。

 山の中をパトロールしていても、一日中誰にも会わないことはしょっちゅうです。これが普通で特に何も感じることはありません。
 海には人を感傷的にさせる何かがあるようです。(自然保護監視員 浜辺正篤)




中部総合事務所環境建築局 2010/01/12 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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