自然保護監視員日記


 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2012年2月27日

春を待つ小さな生き物

 この冬は幾度となく寒波に見舞われ、雪も例年になく多くて年末からほぼ根雪となった所も多いようです。
 こういうときはパトロールもままなりませんが、雪の合間を縫って外に出ると、ひそかに息づいている小さな命に出会うことができました。 

 

 道路側溝の水溜りで見つけたカスミサンショウウオの卵。柔らかなゼリー状で、中に小さなオタマジャクシがピクピク動いています。孵化してしばらくは水中で過ごし、えらが消えて小さな手足が出れば、森の中に帰っていきます。  コンクリートの側溝。緩やかな傾斜でところどころに土砂や落ち葉で水溜りができています。道路の反対側は急傾斜の林で、やや湿っている環境です。カスミサンショウウオは普段生活している森から這い出して、雪の降るような寒中に産卵します。
 視線を上げて樹木の幹に目をやるとイラガの繭がへばりついています。隣の木の枝先には緑色の繭も風に揺れていました。
     
 イラガの蛹。硬い殻に包まれて越冬。別名スズメノションベンタゴ、春になり穴の開いた殻の格好は言いえて妙。毒毛虫時代と異なり、なんとなく愛嬌があります。  ウスタビガの繭、抜け殻。別名ツリカマス。カマスは稲わらで編んだ袋。カマスを知っている人は今はもう少数派でしょう。  これもヤママユガの繭。天蚕(テンサン)ともいい、この繭から採れる生糸は、黄緑色の光沢が輝くばかりの高級品とか。
 人が生活する上で特に価値もないような野生の小動物、これらの多くが環境の変化で絶滅の危機にさらされています。

 少し前、地元の田んぼの水路の補修に当たり、動植物に配慮した整備について意見を求められました。生態系を破壊しつくした今までの機能一点張りの圃場整備の反省から、生態系保全への模索が始まっているようです。(自然保護監視員 浜辺正篤)

中部総合事務所環境建築局 2012/02/27 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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