知事定例記者会見(2010年1月28日)

平成22年1月28日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約44分) ※MPEG4形式

  

1 当初予算編成について 

●知事

 皆様、おはようございます。現在、私ども鳥取県の方で、当初予算編成を進めている作業の最中であります。税収は、昨年よりもやはり細るんではないかという見込みの厳しい中ではありますけども、公共投資のだいたい国全体で地財計画ベースで18.5%ぐらい減らすという話にはなっておりますけども、今回の1月補正予算も含めて考えて、それで、激変を緩和をしていく、そういう手法で臨みたいと考えております。

 そういう中で、私どもの方で、今回、思い切って2月議会に提案をさせていただこうと、今、最終調整をいたしておりますのは、市町村の負担金の見直しであります。これにつきまして、市町村から現在、事務費の負担金といたしまして、これは県営事業がございますけれども、県営事業に伴う市町村負担金がだいたい4,000万円ぐらい全県であるわけであります。これをこの際、廃止をさせてもらおうではないかと思っております。

 併せまして、逆に、県から補助金を出して、それに対して市町村の方が向こうの事務費に使っているという、逆の流れもございますが、この分についても併せて止めさせてもらおうと。

 この県が補助金を出して、市町村が補助を受けて事務費を執行しているようなものというのは12万円ぐらいでありますので、わずかであります。むしろ、県の方が思い切って、そういう4,000万[円]になりますが、市町村の事務費負担金を廃止をしようということに踏み切らさせていただこうと思います。

 これと併せて、維持管理の方の負担金も国と県との間では整理が進んでくるわけでありますけども、これについては鳥取県の場合、維持管理の負担金を市町村にこれまで求めておりません。少なくとも今段階では、もう既に整理済みでありまして、これは新年度に向けては変更点はないわけであります。徴収しないままということです。

 ですから、維持管理も事務費も両方とも市町村に対しては、負担を求めないというやり方に新年度から改めたいと思います。これは、市町村の協議と言いますか、同意が必要でありますので、今取り急ぎ指示をしまして、市町村の同意を求めて、その上で県議会の方にご相談申し上げたいと思っております。

 ちなみに県と国との間では、事務費関係ではだいたい県が国営の事業に対する負担金で払っているものが10億円弱、9億6,000万[円]ぐらいありますが、これは廃止をされる見通しでありますが、逆に、補助事業として県が行っている、国からお金をもらって事務費負担を執行させてもらっているのが10億円強あります。

 ですから、この点では県はやや持ち出し的にはなりますけれども、維持管理の方の負担金が大幅に縮小される見通しでありまして、これは精査が必要でありますが、20億[円]から30億[円]ぐらい変わってくるだろうと思いますので、それも含めれば財政的には県側にメリットがある改正なのかなと思われるところがあります。

 ともかく、市町村と県との間も、今、知事会全体で国に対して求めていた負担金の見直しの考え方に従いまして、市町村との間でも鳥取県は速やかに整理をさせていただこうと考えております。

 こういう当初予算編成ではありますが、足りぐるしい中ではありますけれども、私としては任期満了までに財政指標を達成する見通しをほぼ付けられそうだという手ごたえを感じております。

 私の方で財政指標として申し上げましたのは、300億円を上回る基金を残すこと、それから、将来負担というものを縮小することでございますが、そのいずれも達成可能なレンジに入りつつあると、今、編成作業をしておりますが、感じております。

 そういう中で、出来る限り、県民生活の安定だとか、経済への配慮など、積極的に予算編成をしていこうと考えております。例えば、昨日も国会で話題になりましたけれども、幼保一元化ということがあります。総理[大臣]の方では子ども家庭省という新しい省庁再編の考え方が出されて、これも話題を呼んでいますが、省庁再編も良いんですけども、それ以前に、ぜひ地方の出先機関を整理することなど、霞が関の縮小を考えるべきではないかと思いますが、それはそれで検討は進めてもらったらいいと思います。

 この幼保一元化も県内で例がございませんでしたけれども、新年度に向けて、今まで、隘路(あいろ)になっていたことがあります。例えば、若干の施設整備をしなければいけないと、幼稚園に、保育所に通う子どもさんたちが入ってくることになりますが、小さい子どもさんがおられますので、それに対する施設整備とか、若干必要になります。

 こういうようなところに助成をするなど、県としても、応分の促進措置を取らさせてもらったらどうかと思います。これで、幼保一元化を県内の各地でやっていく口火を、まず、切らせていただければ有難いというように考えております。

 いろいろと今検討中ではありますが、例えば、環境エネルギー問題ではEVタウン構想を推進をしようと思っております。これには当面、スマートタウンのモデルを検討するようなことを始めたいと思っておりますけども、1つのアイデアといたしましては、EV電気自動車は、購入するのに大変お金がかかります。

 県もエネルギー対策としてこれを使用したいのは山々ではありますけども、さすがに何台も何台も買うと結構な金額になってきます。逆に、市民の皆様、県民の皆様からしますと、EVというのに、電気自動車に興味はあるし、使ってみたいと思われますけれども、それも役所以上に企業さんとか、今、役所向けに売っているのが現状でありまして、手が出しにくいというような状況にあるわけであります。

 ですから、例えば、平日は、県庁は仕事でそういう短距離の自動車、電気自動車の場合、航続距離が短いものですから、短距離の自動車をちょこまか使うのは平日でありましょう。ですから、平日は県が民間から借りるような形にして、そして、休日は、要は市民の皆様、県民の皆様がちょっと用事で使おうという時に、休日用に使うと。

 こういうように平日は公用で使い、休日は民間の方々へお貸しをすると、こんなようなことであれば、ウインウインの関係でそれを提供するレンタカー会社と併せてやっていけるんではないか。そんな一つのビジネスモデルと言いますか、行政モデルと言いますか、そんなEVタウンを推進してみてはどうかと思います。

 もちろん、電気スタンドというべき急速充電器のスタンドも県内各地に整備ができるような支援メニューを組んではどうかなというふうに考えております。事業の関係で言えば、BeSeTo(ベセト)演劇祭、鳥の劇場さんに誘致をしようというのを後押しをする、そういう予算でありますとか。

 勿論来年なされます海づくりの祭典のプレイベント[全国豊かな海づくり大会1年前プレイベント]をやろうとか、そんなような事業関係の予算なんかも出てくると思います。今、そういう取りまとめ作業をやっているところであります。




2 日程等について 

●知事

 これからの時代を見据えて、この週末1月30日には、カーボン・オフセットのシンポジウムを行うことにいたしております。これには、先進的な活動を行っているような地域にも来ていただいて、識者のお話も伺いながら、ということで進めようと思っております。

 例えば、航空会社のANAさんが、こうしたカーボン・オフセットの取組みを始めておられますので、そういうような実地のお話も聞こうと思っておりますが、県も、実はJ-VER(ジェイバー)と言われますカーボン・オフセットの取組みに既に入ってきました。

 12月の初旬に国の方の機関に登録をさせていただきまして、これは日野町の板井原(いたいばら)の森林の間伐を利用するわけでありますが、これで、CO2の吸収というものを5年分売っていこうという考え方であります。このカーボン・オフセットにつきまして、登録プロジェクトとして登録をさせていただきました。

 これは、森林でのCO2吸収では、全国で5番目の早いタイミングでの応募ということになります。これは、いよいよ、この後モニタリングをしたり、それから、実際、認証へと向かっていく。多分春頃に、現実のものとなっていくことを目指しているわけでありまして、今、その過程にあるわけでありますが、こうした動きなんかも、紹介してまいりたいと思っています。

 県内のこの森林でのJ-VER構想につきましては、鳥取県内で県の動きを皮きりにしまして、造林公社とか、それから、智頭町の方で動きが起こってきております。こういうような、環境対策をこれから新年度に向けて、ぜひ、推進をしてまいりたいと思っております。

 来週は、自動車会社のスズキ[株式会社]さん、今度、海外の自動車メーカーと資本提携をすることになりまして、インドだとか、新興国での販売を伸ばしているスズキさんでありますが、そのスズキの会長兼社長とお会いをして、面談をさせていただいたり、県内の12社に出展をしていただきまして、浜松[市]で出展及び商談会を行うことにいたしております。これは、中国経[済]産[業]局のご協力も得ながら進めているところであります。

 スズキとの、こうした提携の商談会というのは初めてのことになるかと思います。鈴木会長さんはよく報道されるような有名なかたでいらっしゃいますけども、私の方からは、北東アジアゲートウェイ構想の話とか、あるいは、EVを活用した、あるいはハイブリッドを活用したエコカーの話題だとか、そんなことをいろいろと話し合っていきたいと思います。

 また、来週の2月の4日には、神奈川県の横浜市の方で、NPOの大会と言いますか、[特定非営利活動法人]日本NPOセンターが主催して行うシンポジウム[NPOと行政の対話フォーラム]に出ることにいたしております。

 三重県の野呂知事なども参加される大きな大会になりますけども、鳥取県の新しい公共についてPRをさせていただいたり、意見交換をさせていただいたりしようと考えております。私の方からは以上でございます。


○読売新聞 高山千香 記者(幹事社)

 各社、質問があればお願いします。




3 税収見込みについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 税収が減るというのはどれくらい減る見通しなんですか。


●知事

 今、ちょっと精査中です。詳しい数字は事務局の方で整理をしてお話をさせていただきたいと思います。今年度決算は、当初予算をかなり絞っていましたので、現計予算を維持するような格好になっておりますけども、新年も、現在の景況を反映して厳しいものがあると。

 それプラス、法人事業税の制度が変わっていまして、地方法人特別税の関係があって、これの制度的な減も加わっております。ただ、片方で、交付税の方は、強めに見込むことができそうだと期待をいたしておりますし、臨[時]財[政対策]債と言われます交付税見合いの起債の方も伸びる見通しであります。

 ただ、この起債に頼った地財対策は危険性を伴います。それで、小さな自治体には配慮してもらいたいということを従来から申し上げていたところでありますが、今回、新政権の方では、この臨財債の配分について財政力の高いところと、低いところを区分けをして、小さな財政力の脆弱な団体に対しては臨財債よりも交付税で配分をするという、そういうように方針転換を180°されておりまして、前回は鳥取[県]とか、島根[県]の方に臨財債が多く来る配分になっていたんですけども、今回は逆張りの配分方法になっておりますので、この辺は評価をさせていただけるかなと思っております。

 ただ、いずれにせよ、そうした交付税とか臨財債のウェイトが、今年が高まってくる状況でありまして、その辺は活用させていただきながら、厳しい中でも積極的な財政運営をしていきたいと考えております。




4 幼保一元化について 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 幼保一元化についてですけども、積極的に整備していきたいというお考えだと思うんですけども、片や厚生労働省、片や文科省という縦割り行政の弊害もあると思うんですけども、この幼保一元化を推進していこうという狙い、それと、この幼保一元化のメリットをどう考えておられるのか。そのあたりをお聞かせいただけますでしょうか。


●知事

 鳥取県なんかは特にそうなんですけども、共働き世帯が増えてきております。ワーク・ライフ・バランスという考え方も推進をしていかなければなりません。幼稚園の場合は、どうしても保育時間が限られていますし、年齢的にも小さなお子さんを受け入れるのは難しいところがあります。

 ですから、我々の地域なんか特にそうだと思うんですけども、幼稚園と保育園との垣根を外して一体的に保護者のかたが保育を求める、そういうニーズに相応しい枠組みに切り替えていかなきゃいけないんだと思うんです。

 ところが、今までは、文部科学省と厚生労働省の縦割りが、田村[日本海新聞記者]さんおっしゃるとおりございまして、この縦割りによってお互いの組織と言いますか、運営が保育園と幼稚園はかなり別々のものとして育ってきちゃったんです。

 ただ、本来は地域における子どもさんやそれを預かるべき世帯の状況というのは、ただ1つでございますので、その現状に相応しいシステムに変えなきゃいけないと思います。ですから、幼稚園でも保育所で受けられるようなお子さんをお受けになるとか、保育所の方でも幼稚園的な教育要素を加味して推進していくとか、そういうように融合させていく必要があると思います。

 ただ、残念ながら、県内今までいろんな状況があって市町村の協力も必要な面が多々あるもんですから、進んでこなかったというのが現状であります。新年度では、比較的県の方でイニシアチブをとってやり易い幼稚園型の幼保一元化事業というものをやったり、それから、一部、市の方で協力を得ながら、幼保連携のモデルともなるべきパイロット事業をやったり、そういうことを進めていきたいと思います。

 今、具体に幾つかの園とは話し合いを進めてきているところでありまして、新年度、いよいよ幼保一元化の芽が鳥取県内で芽吹いてくる状況が生まれてきたと思っています。そういう意味で、我々としては、応援をさせていただきたいと思います。

 また、特に乳児の保育も問題がございまして、ゼロ歳児をお預かりする保育園の支援も、県として充実をしてみようかと。保育士さんの配置について支援措置を、強化をしようと、こんなことも考えております。

 ただ、いずれにせよ、問題の根本は、今もおっしゃったように、2つの役所があって、その2つの役所を応援する部隊のように、取り巻きがあったわけでございまして、こういうものを解消して、一元化した行政組織もそうでありますけども、幼保の方も進めていくべきだと思います。

 鳥取県も、子どもと家庭というものを一元化した組織に切り替えてきたわけでありまして、風通しはよくなってきたと思います。ただ、それでもまだ厳然として、教育委員会と知事部局との間で、これ、制度上分かれなければならない宿命もございまして、まだまだ課題が我々も多いと思います。国の方でも組織体制を、行政ニーズに即して改めていく姿勢が必要だと思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 助成というのは、その市町村に対してお考えなんでしょうか。財政規模はどれぐらい、今の時点でお考えでしょうか。


●知事

 今、そうしたところを詰めている最中でございまして、アイデアとしては、例えばそういう幼保一元化を進める園のある市町村を通じて助成をしていくとか。そういうのが1つのやり方かなと思いますが、今、その精査をしております。必要なことは、施設整備を初動で行うことなど、支援策が必要だと思いますので、その辺は県でも応分の応援はさせてもらおうと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 知事、イメージとして、どうでしょうね。鹿野にある幼保一元化っていうんですか、幼稚園を保育所と一緒にした施設が出来たんですが、あれとは違うんですか。


●知事

 幼保一元化にもいろんなタイプがありまして、完全なやつは、幼保連携型というものでございますけども、こうしたものは、新年度、例えば東と西とか、ちょっと今、進めてきておりますけども、一番プリミティブと言いますか、典型的な姿のものを実現をしていきたいなと思います。

 または、それの手前のところで、幼稚園を改変をしていくというか、バージョンアップしていくようなやり方もございまして、これは比較的多く応援できるかなと思っています。もしあれでしたら、詳細は担当部局の方からご説明をさせていただければと思いますが、まだ今、最終的な検討をしている真っ最中であります。


○毎日新聞 武内 彩 記者

 幼児の受け入れは早ければいつぐらいになりますか。


●知事

 これも、今ちょっと詰めている真っ最中でありますが、新年度を目標にやっていきたいなとは思っていますけども、ちょっとこれは受け入れ側の事情もいろいろあろうかと思います。




5 市町村負担金について 

○NHK 宮本知幸 記者

 市町村負担金の関係なんですけども、事務費が4,000万ぐらいですけども、維持管理費はもう求めていないっていう話ですけども、全廃という形になるわけですか。


●知事

 これは、もう、きれいに全廃というふうにして、制度的に県営事業は県がやる、市町村の事業は市町村がやる、国の事業は国がやるという、そういうような方向へ、もう、導いていきたいと思います。残念ながら国と県との間で、まだ建設関係の方は片付いておりません。ですから、そこは、横にらみしながら、これで終わりじゃありませんが、今後とも県と市町村の負担区分の明確化について、進展を図っていきたいと思います。


○NHK 宮本知幸 記者

 他の都道府県でも廃止するという動きがありますけど、やっぱりそれは直轄負担金の関係、ちょっと触れられましたけど、関係と同じ考え方だというふうに。


●知事

 我々は、究極の姿としては、国、県、市町村との間で、国の事業は、国が最終責任を持って財政的にもやる。県は、県のものをやるというのが本来だと思っています。ですから、そちらにいずれは導いていきたいと思いますが、今段階、国と県との間で建設関係は整理がついてないのが現状でありますので、そこには、今回ちょっと踏み込みにくいかなと思います。

 ただ、事務費については、その点は今回、これは例えば、県でそういうこと別にやっているわけじゃありませんが、国の場合ですと、それで庁舎を造ったりとか、いろんなことをやっていました。

 そんなの問題になりましたんで、事務費は整理しようという流れに国の方はなりましたので、我々としては、県と市町村との間でも、その事務費の負担区分というのは明快にして、県営事業は全て4,000万[円]程になりますけども、県の方で負担をさせてもらうことに切り替えようかと思います。




6 DBSクルーズフェリーについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 DBSなんですけども、半年の利用状況がまとまって、貨物の収益は相当事業計画から下振れしていると思うんですけども、決算の仕方が違うんで、なかなか情報の取り方っていうのは難しいんだろうと思うんですけども、今のところ、入っている中で、会社側からは収支の見通しについての変更とかそういう情報は入っているんでしょうか。


●知事

 ちょっと私のところには、まだ、届いてません。担当部局でどれ程報告がきているかということだと思いますが、それ、ちょっと会社経理のやり方と言いますか、会社制度が違うところは確かに、井石[朝日新聞記者]さんおっしゃるようにあると思いますんで、今段階で締めているかどうか、ちょっと疑問はあります。

 いずれにせよ、担当部局の方で、もし承知している部分がありましたら、あとでお知らせするようにしたいと思います。


○読売新聞 高山千香 記者

 DBSの関係で、貨物がだいぶ下振れしていまして、旅客についても冬になるにつれて落ち込んでいる状況かと思うんですが、今の状況、どう思っているのかっていうのと、今後の対策というか、知事としてはどういうふうにしたら、それは改善できるかというふうにお考えなのか、教えてください。


●知事

 DBS[クルーズフェリー]について、冬場は旅客が厳しいだろうというのは、就航当初から予想はしてはおりました。それでも、正月の時、300人程乗っていただくとか、いろんな努力は実った部分もありますけども、まだ十分でないと思います。

 旅客に留まらず、むしろ貨物の方が見通しよりも下振れしているというご指摘のとおりでありまして、厳しい状況にあると思います。私は、このDBSクルーズフェリー、もちろん上海航路だとか、釜山航路もそうでありますけども、北東アジアに向けて玄関口を務めていくことで、これからの県内振興を図っていくべきだと考えますので、DBSに限らず、そうした貨物の出入りの推進をしていきたいと思います。

 新年度に向けて、例えば、ベースカーゴになるような、100TEU、コンテナ100個分年間運ぶというような、大荷主さんに対して、そういうものを新規で始めるとか、100TEU、コンテナ100個分貨物を増やすとか、そういうところに対する支援を新たに組んだりして、貨物の集荷対策を強化していってはどうだろうかと考えております。

 また、2月の9日にウラジオストクに貿易センターを開設をすることにいたしております。ここにロシア人スタッフを3名入っていただきまして、現地で通関のお手伝いをしたりとか、実際に、輸出入のマッチングをするお手伝いをしたりとか、向こうに行った鳥取県の企業関係者などをご案内するとか、そういう仕事をしてもらおうということになります。

 こういうことだとか、あと、キム・ジンソン[韓国江原道]知事やダリキン[ロシア沿海地方]知事と協調しながら、三地域で連携して貿易、旅客の振興を図っていくことなどを通じて、打開策を見出していきたいと思っております。

 旅客については、島根県さんもいよいよ腰を上げて来てくださっておりまして、島根県の溝口知事も記者会見でもコメントをされたと伺っておりますけれども、両県連携をしまして、1,600万[円]の誘客事業を共同で行うとか、舵を切りつつあるところであります。我々としては、全力を挙げまして貨物や旅客の上昇に結びつけていきたいと思っています。




7 ガイナーレ鳥取への支援について 

○日本海テレビ 下山英哉 記者

 ガイナーレ鳥取についてお伺いしたいんですけれども、新年度のガイナーレ支援についてお考え、考え方、それから、支援体制、それから、支援額の増減など含めて、具体的な範囲でお答えいただけたらと思います。


●知事

 今、その辺も予算編成作業中でありますが、支援につきましては、私は、従来やってきました県外への宣伝など、そういうこともありますし、スポーツ振興ということもありますので、遠征費の支援など、従来どおりの枠組みでやっていってはどうかと考えております。

 また、地域振興にご協力いただいている様々な事業につきましても、ガイナーレに委託するような手法で、財政的にも支援を結果的にするような、そういうスキームも従来どおり進めさせていただければと思っています。

 ただ、例の、昇格時に7,000万[円]、[鳥取]市との共管の基金から寄付するかどうかというのは、これは今後の推移を見ながら考えざるを得ないと思いますので、これから新しいシーズンで、まずは精一杯暴れていただくと。そして、昇格の夢を掴んでいただくことを期待をさせていただきたいと思います。

 新チームになりまして、メンバーの入れ替えなどもありました。心配されたヴィタヤ監督の怪我も幸い回復するんではないかということも伝えられてきておりますし、県民の皆さんの夢を背負って、今度こそ、三度目の正直かもしれませんけども、今までは惜しいところで2回逃していますから、夢を叶えていただきたいと思います。




8 DBSクルーズフェリーについて(再質問) 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 話もどりますけども、DBSなんですが、さっきベースカーゴを100TEUで大きな大荷主さんに支援をしたいとおっしゃいましたけども、ベースカーゴ、あてがありますか。


●知事

 それは、これは常に可能性から始まるわけでありまして、我々は、今も幾つかの可能性を追い求めています。そこで、もう一押し、やっぱり必要だろうと。今まで鳥取県でこうしたカーゴ支援をやっておりましたのは、まず最初に利用をするかたに対して、小さな荷でもいいですから入れてくださいと。それから、20TEUですか、伸ばす時には入れましょうというような支援を組んでいました。

 これでの支援の効果はありますけども、限定的なものに留まります。特にベースカーゴ的な大きな荷物を引っ張ろうと思いますと、ポートセールスだけでなくて、相当な競争もあるのも事実であります。そういう意味で、これからの時代認識を考えれば、ベースカーゴになり得る例えば100TEUといったような大型の貨物輸送を後押しをしていくという考え方があってもいいんではないかと思っております。

 今、複数の荷主さんに、折衝をやってきております。これまでもアタックして断られたこともありますけども、幾つか、常に可能性を追いかけながら、やっているのが実情であります。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 追いかけてる可能性っていうものの1つに、来週会われるスズキの会長っていうのは入っているんでしょうか。


●知事

 そこは、今は具体的なものではありません。ただ、似たような話は、いっぱいあると思うんです。例えば、大手の自動車メーカーなんかも、ロシア側に拠点を設けて工場生産も始まっています。それから、輸入関税がかなり高くなったとは言え、やはり一定程度日本車への需要もあったりしますし、特に自動車部品への需要もございますので、その辺を考えますと、そういう自動車関連も当然ながら可能性の中には入ってくるだろうと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 ウラジオに、ロシアが自動車会社を作りましたね、あれなんかもターゲットなんでしょうか。


●知事

 ウラジオストクの市長さんとかつて面談した時も、そういうことで部品需要なんか、お話を伺いました。我々ももちろんそういうことを念頭に置いて自動車系のところにも働き掛けをしているということであります。

 いろいろと食料品でありますとか、当然ながら日本海を跨いで動き得る貨物というのは、結構なロットのものはあるわけでありますが、現在は他の港を使ったり、独自に用船をしたりというのが多いのが現状でありますので、我々としては、電子部品なんかも含めて、いくつか狙いを定めて、交渉にあたっているというところであります。

 ただ、そこで、どうしても初動でありますので、フレート料金がある程度高くなるんです。そういうことなどで、経済上のデメリットの指摘も多々いただいているのも事実でありますので、いずれ、荷物が増えてきて、フレート料金が下がってくる時代にくることも見込めますが、今の段階では、そうした大荷主を作っていくきっかけ作りは必要かなと思っています。


○読売新聞 高山千香 記者

 具体的に、その支援というのは分かっている範囲で、例えば、金額的にはこれくらいとか、やり方はこうしたいとかいうのは、あるんでしょうか。


●知事

 今、やっています荷物支援のやり方があります。それを大きな、例えば100TEUと言われるような、コンテナ100個分みたいな大きな荷主さんにも適用していくと。もちろん新しく動かす時とか、それから、今までよりも100TEU、コンテナ100個分積み足しますよと、そのような場合を念頭に置いてということになりますけども。

 今までも、小さな荷主さん、混載貨物も含めましてお使いいただく、お試しキャンペーンみたいな補助金がございまして、このやり方を敷延していこうということであります。例えば、コンテナ1本で2万円とか1万円とか、そういう支援のやり方を従来もやってたと思いますんで。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 DBSに絡んでなんですけども、3地域で話し合う、海運航路の活性化に向けた協議会がまだ開かれてなくて、平井知事は、先日、3月にでも開こうということで打診しておったようなんですけども、この活性化協議会の場で、このDBSについてなんらかの韓国、ロシア側に提案とか、そういうことは考えておられるのでしょうか。


●知事

 結局、荷物のマッチングだとか、貿易の種をそれぞれ持っていると思うんです。これをお互いにすり合わせをしていったり、あと、行政的には通関手続きに時間がかかるなどがありますので、そういう地域に対しては、関係機関に行政的に働きかけてもらいたいと。こんなことがテーマになってくるかなと思います。

 先日、キム・ジンソン知事の方に書簡で、これ、[在日大韓民国]民団[鳥取地方本部]のソル団長さんでありますけれども、通じて開催について呼びかけを改めてさせていただきましたが、近く正式な書簡がくるそうでありますけども、3月目処に開こうじゃないかと。キム・ジンソンさんの方はそれで了解したというようなお話がくるんだろうと思います。

 実はロシアのダリキン知事が、今、ちょうど端境期の時になってまして、2月に入って新しい沿海地方知事が任命される、そういうロシア国内の手続きがあります。ですから、近々任命式が行われることになります。

 これは我々が、かねて個人的にも友好交流を図ってきましたダリキン知事が、再任される見通しになってきておりますので、我々としては、交渉力は担保されるだろうなと思っています。ただ、今ちょっとそういう端境期の時期にありますので、ロシア側とのコミュニケーションが取りにくくなってたという状況がございました。




9 人口減について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 県人口なんですけども、昨日1月1日分が発表になって、集計したら2002年から2008年までは人口減少が拡大してたのが、2009年は減少幅が縮小してるというのが分かってるんですけども、知事は要因としては、県の移住定住政策が効果があったというように考えておられるのでしょうか。


●知事

 我々は、それを考えまして、移住対策を大々的にやろうと打ち出してきました。平成19年の10月だったですかね。60万[人]を切ったデータになりましたもんですから、この際、鳥取県ではタブー視をちょっと私の前任者はしてきた、移住対策でありますけれども、それに県も乗り出そうとしてきたわけであります。

 いろんな手を打ってきましたし、市町村も頑張ってもらったところもありまして、一定の下支え効果は出始めたかなとは思います。ただ、決して予断を許す状況ではないと思ってます。景気の方も2番底はやや薄らぎつつあると言われてはいますけども、ただ、県内における企業の再編成だとか、大きな動きの可能性は残しながらの2010年だと思っておりますので、決して我々として安閑とはしてられないだろうなと思います。

 ただ、心強い要素が出てきていると思いますのは、先般、アグリスタート研修事業というのを2次募集させていただいたんです。最初のは秋にスタートしていまして、今度のは春からスタートする組なんですが、15名の募集に対しまして、農業に就きませんかということで、応募してくださったかたが50名いらっしゃいました。その中で15名選抜をした格好になりました。

 前に募集した時は30数名でありましたので、応募者が増えています。実際選ばれた人をみてみますと、別にそれでどうこうということではないかもしれませんけども、例えば、15名の内の13名は県外からのかたでありまして、その内のお二人は大学院卒業というかたです。白ネギを作ってみたいとか、花御所柿をやってみたいとか、やっぱりライフスタイルが変わってきているんじゃないかなと思います。

 鳥取県にそうした農林水産業など、従来は斜陽産業的にみられていたところに、新しい雇用や生活の受け皿を求める人たちが増えてきているんじゃないかなと、そういう感じもあります。ですから、我々としては、反転させていけるように、なんとか、これからも移住対策を進めていきたいと思います。




10 EVタウン構想について 

○日本経済新聞 青木志成 記者

 EVタウン構想ですけども、あれはレンタカー会社への補助というのがメインになるということでしょうか。もうちょっと具体的なお考えを。EVタウン構想ですね。お伺いしてよろしいでしょうか。


●知事

 これも、申し上げると、今、考えているところは、担当部局の方に話をさせてもいいですが、今、まだ予算編成作業中でありまして、詳細を詰めているところであります。アイデアとしては、県が保有するという考え方も当初あったんですけども、むしろ民間会社をベースに、ここを基地にして、ここにEVを所有してもらうと、電気自動車を。これを平日は、公用に貸し出してもらうと。

 我々は平日の仕事が圧倒的に多いですから、平日それを使って、EV車の宣伝にもなると。ただ、休日は、それを利用して、レンタカーの需要がどっちかというと休日需要が多いもんですから、休日にそういうレンタカー会社の本来の仕事の中で、EVを活用してもらうと。

 こうやりますと、県としても、安い値段でEVを使うことができますし、電気自動車を民間の皆さんが、レンタカー会社で借りて、体感してもらうということにもなってくると思います。そんな意味で、新しい発想ではありますけども、官民連携の1つのモデルとして考えてみようと思います。

 そういうことで言いますと、当然ながら、そのレンタカー会社との連携の部分が出てくると思います。それをどういう形で処理していくかは、今、スキームを詰めているところです。


○読売新聞 高山千香 記者(幹事社)

 よろしいでしょうか。では、終わらせていただきます。


●知事

 はい、どうもありがとうございました。



  

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