防災・危機管理情報

平成25年度第4回鳥取県和牛産肉能力検定委員会概要

日 時 平成26年1月23日(木)午後1時30分~午後3時30分
場 所 東伯郡琴浦町松谷606 鳥取県農林水産部農林総合研究所畜産試験場
出席者  河本委員、長谷川委員、藤原委員、高橋委員、岸本委員、山下委員
    尾古委員、田中委員、天野委員、木嶋委員、宮崎委員、國岡委員、山本委員
    小西委員
    畜産課 野儀係長、JA全農とっとり 藤田氏
事務局 畜試  赤井場長、田中室長、小江研究員  

内容
1 協議事項
議題1 平成25年度直接検定第6群の選定について
         →「飛良柴」「元花江」を選定する。
説明等
「飛良柴(ひらしば)」
・平成25年9月9月生。血統は「飛良美継 百合茂 福栄」。倉吉市産
・発育+1.9σ。美点は発育、体伸、尻、体深、乳徴、皮膚ゆとり、惜しい点はやや肩端、やや外腿、やや後肢。 
・母牛の産子成績は「平忠勝」「平忠勝」「安照鶴」の去勢産子で枝肉重量483.9kg、283.7kg、595.0kg、ロース芯面積48cm2、55cm2、74cm2、BMSNo4、6、6。
・優良遺伝子領域は枝肉重量2領域、ロース芯面積1領域、BMS 2領域保有。
・BMSNoはそれほど高くないが、しば系の雄牛を造るため、飛良美継を交配してできた牛。産肉成績だけでは判断できない牛。

意見等
○発育はよい牛。体の伸びや深さは良い牛。前躯から中躯にかけての移行もよい。
○飛良美継は岩手県の所有牛ですか?その牛の育種価が未判明なのはどうしてか?
 →育種価は県毎に算出されるので、鳥取県での飛良美継の産子成績がないことから、未判明ということになる。岩手県の育種価はある。
○参考値で岩手県の育種価が分からないのか。
 →今時点では分からない。現場後代検定の成績は資料に掲載している。
○しば系の後継牛を造成するという目的ですよね?
 →現在、ある偏った種雄牛に集中しているので、全和登の方も遺伝的多様性を謳った取組を行っている。その中で造成したもの。しば系基礎雌牛の状況として今回議題の雄が1頭と雌が1頭、あとは2月に分娩予定という状況である。産まれて来た雄牛の中で直接検定等確認して行きたいと考えている。
○育種組合西部支部役員会の中で念願であった飛良美継の雄牛が産まれたという情報を伝え、話し合った中で、しばひめは継続して後代を取ってきた系統であり、その系統から雄ができたものについては使いたい。但馬も糸も入らない鳥取県の一つの系統に、登録協会の斡旋で岩手から分けてもらって雄ができており、この雄で系統を伸ばしていくということを確認したところなので、残して使わせていただきたい。父親が平茂勝ということで肩の付着が気になるが、飛良美継の特徴でもあるようで、そのまま引き継いでいると考える。
 →全共では鳥取大会から系統の雌牛ということで新たに区が設けられたが、これまでは片づる、雌側だけということで出品してきたが、今後は雄側、雌側両方ともに系統の中の種雄牛をかけ合わせて出品。全共のためだけではないが血液を残していくということでも考えていただきたい。
◎「飛良柴」を導入し、直接検定を行うということでよろしいか。
  →異議なし。

「元花江(もとはなえ)」
・平成25年8月17月生。血統は「安福久-第1花国-安福165の9」。琴浦町産
・発育+0.8σ。美点は発育、体伸、尻幅、資質、背腰幅。惜点は肩端、肘後、やや尻形。
・この牛で資質が一番良かった。被毛は密度、柔らかさがあり絨毯様であった。皮膚もゆとり薄さも良かった。
・「もとはな2」に安福久で受精卵を採取し、各農家へ配布して産まれた1頭。「もとはな2」の産子の肥育成績はないため育種価が出せていない。
・この受精卵は12卵配布して8頭受胎していると聞く。この牛はその中の1頭目。試験場でも3頭産まれていたが、遺伝病及び発育の面で議題に挙げることができなかった。12月に1頭雄が産まれており、3月に3頭、5月に2頭、8月に1頭の分娩予定。

意見等
○遺伝病はどうですか?
 →大丈夫です。安福久を交配すると赤毛が引っかかる。試験場でも3頭中2頭あった。
○この掛け合わせは肉質系の塊みたいな感じで期待できるのでは。
○肉としてはいいだろうと思う。発育は気になるが。
◎今後受精卵で何頭か産まれてくるが、これまで遺伝病で引っかかった牛もあり、これから雄が産まれる可能性も考えれば特に問題ない「元花江」を導入し、直接検定を行うということでよろしいか。
  →異議なし。

議題2 平成25年度改良基礎雌牛の選定(案)について 
     →選定案をもとに巡回し、次回に再度協議する。
説明等
・選定の考え方は平成23年度に改正された和牛改良方針に従い、基礎雌牛を選定することとしており、産肉能力の目標値、4等級以上率80%、ロース芯面積55cm2以上、脂肪交雑6以上、枝肉重量475kg、オレイン酸含有率55%に向かうべく種雄牛を造成するため基礎雌牛を選定。
・将来の繁殖雌牛の血統構成も考慮。平成30年には鹿児島等鳥取系が63%、田尻系が18%、藤良系が14%など。そこで、4区分の種雄牛像を提示。
・選定に使用したデータは、平成25年6月に算出した育種価データや枝肉データ。
・選定基準としては、5等級を2頭以上産出しているものなどの3項目のいずれかを満たし、かつ以下の6項目のいすれかに該当するものとした。しば系などの育種組合と一緒にやっていく希少系統については選定基準の例外としているものあり。
・平成25年度は20頭選定する予定。今日は案として20頭出しているが、2月中に巡回調査し、3月に開催する検定委員会で決定する予定。ここに提示した以外でいい雌牛がいれば情報を教えてもらえれば、一緒に巡回調査をしたい。
・基礎雌(案)の交配種雄牛についてはまだ決めていない。
・昨年と変わった点は、コマーシャルも大事だが、福増が好調であり、今後も期待できる候補牛の成績が判明することから、今後は鳥取独自の牛も必要と考えることから多様性を重視した牛の比率を上げた。
・今回選定した中には、全共肉牛区の採卵する牛と重なるものや以前基礎雌であったものなどもあり、備考欄に記載している。特に記載がないものが新たに選定した牛。以前基礎雌であったものは、種付けがうまくいかなかったり、雌が産まれてしまったものなどを掲載している。
・今回示した名簿をもとに2月に巡回する予定だが疑問点等あれば教えて欲しい。

○育種価が載せてあるがこれは期待育種価ではないのか。
 →表に新旧区分とあるが、既算出及び新規は推定育種価、期待と示してあるのが期待育種価です。
○基礎雌牛の選定案として選定基準が2段階に分かれていますが、期待育種価のものはどこでみて判断されているのか。
 →期待育種価では選定していない。例えば「せき5ふたば1」については、期待育種価でなく、選定基準の産子の枝肉成績でBMSNo12を出しているということで選定している。期待育種価は算出できるので掲載している。ただし、「しばひめふく33」などは「しば系」「ひろさかえ系」といった希少系統ということで例外として選定している。
○これは全部調べた結果なのか。他にももっと良い牛はいると思うが。
 →枝肉データがあるものをすべて調べた中で選定をしている。確かに他にも良い牛はおり、例えば前年度に既に基礎雌に選定して種付けに向かっているものもある。それ以外で雄が取れていないものなどをピックアップしている。
○体型も入っているのか。
  →資料には得点を掲載しており、85点以上という選定項目もあるが、能力重視という感じになっている。
○血統が絞られ、似たような血統になってきている。これで交配して全共候補ということでセリにかけることになるのか。全共でも同じような牛が出てくるのでは。その可能性もある。

◎他にも良い牛がいれば試験場に情報を伝えて頂くということで、ひとまずこの案をもとに巡回し、体型等を確認した上で、最後にもう一度提案し協議させていただくということでよろしいか。
 →異議なし。

議題3 平成26年4月からの試験種付けについて
          →「関5双葉3」で実施する。

・例年3月に協議するがどうしても準備がギリギリになるため、今回は早めに協議させていただいた。
・来年度、試験種付けにむかえる牛は、「関5双葉3」「零実緒」「桜5」「麗美福」の4頭と考えており、この中から3頭実施することになる。種付け開始時期は4月、7月、10月というスケジュールで向かう予定。
・4月に向けて協議するのは「関5双葉3」「零実緒」の2頭。
・「関5双葉3」は、月齢が33.3カ月とかなり経っているが、去年の春頃、精液が採れなかったため、採れない場合は廃用しましょうかと相談させていただいた牛。最終的にいろいろチャレンジした結果、精液が採れるようになった。しかし、いざ向かおうと思ったら、今度は「礼美茂」などの育種価的に能力の高い牛に先を越されてしまった。
・「零実緒」は「礼美茂」の弟で、精液も採取できている。
・現在の精液の在庫は、「関5双葉3」が337本「零実緒」が59本
・期待育種価等については掲載してあるとおり。「零実緒」については母が「れみ」という産肉能力の高い牛。「関5双葉3」も母の産肉能力は悪くなく、産子でBMSNo12、8が出ていますし、兄弟の「せき5ふたば1」の産子でもBMSNo12が出ている。

意見等
○これは1頭に絞るのか?順番だけの問題か?
  →来年度、試験種付けは3回行う。そこで候補となるのはこの2頭と「桜5」「麗美福」の4頭であるが、後の2頭はまだ採精ができないため、4月からは「関5双葉3」と「零実緒」のどちらかとなる。今回選ばれなくても残りの牛と一緒に7月以降の協議にかかる。ただし、年3セットしかしないため4頭の内1頭は選ばれないことになる。
○「零実緒」は産肉能力の期待された牛。「関5双葉3」は系統の中から雄牛を造成していこうということで向かった牛。「気高富士系」であったり「ますお系」の中から造成された牛になることから、「関5双葉3」は全共4区の交配する種雄牛ということも考えている。そのような流れも汲んで頂いて検討してほしい。
○「零実緒」は登録審査などはしたのか。できれば皆が種付けしたくなるような名前を考えて欲しい。
○いずれは試験種付けしていくというコースに乗っているということか?そうであれば「関5双葉3」が遅れているなら先にしてしまった方がいいのでは。
○「関5双葉3」の精液は大丈夫なのか。
  →大丈夫です。
○4分の3でしか選ばれないということであれば「零実緒」は選ばれるだろうから、全共もからめてということもあるのなら、鳥取県らしい「関5双葉3」で最初に向かって、一息ついて、それから次に向かうということでいいのでは。

  ◎「関5双葉3」を4月から向かうとなれば、平成29年には成績がでてくる。この牛も全共候補として向かうのなら試験種付けを実施して、検定成績がでるようにしたい。「関5双葉3」を4月からということでよろしいか。
 →異議なし。

○この牛はこの名前で行くか。
○こっちが改名しないといけないのでは。
 →既にこれで登録している。

3 その他 一般社団法人家畜改良事業団との協同種雄牛造成の手法の変更について。
            →回答案のとおり検定協力型から基本型に移行する。

・平成21年度から事業団と共同で種雄牛造成を行っており、年間3セットの内1セットを共同で実施している。実施状況は参考に示しているとおり。
・現在は、検定協力型で実施しているが、平成26年度からは計画交配から共同で取り組む基本型に移行したいとの提案があった。もともとは基本型でやりたいとの希望であったが、ひとまず検定協力型でやりましょうということで実施してきた。
・県としての回答は、基本型に移行することで考えている。事業団とは今後も協力が必要と考えており、性判別精液やゲノム育種価、牛肉のおいしさに関する技術など鳥取県が持っていない技術を持っており、基礎雌牛の選定などでそれらの技術を使って効率よく種雄牛が造成できるのではと考えており、本県のメリットは大きいと考えている。
・年間3セットの内1セットを事業団と基本型で実施し、2セットは鳥取独自の特徴を持った種雄牛造成に取り組むこととしたい。
・回答案はそこに示すとおり。
・県の改良方針に沿って行うことには変わりない。

意見等
○具体的には、例えば、事業団に雌牛のリストを出してどれつけるのかという話になるのか?
 →まだ具体的な話しはしていないが、基礎雌牛をこういう条件で選定してくださいというような話しがあってから提示するのでは。最終的な基礎雌牛の選定や雄牛の選抜なりについては、検定委員会で決めていくということで、事業団は提案していくということ。今までは、いる牛の中から選ぶだけであったが、牛をつくる段階から意見を言わせて欲しいということ。
○そうなると、共同種雄牛でないものと区別するのか。なんか分かりにくい。
○素案を県と一緒に作って検定委員会で意思決定していくということか。
 →そういう形になると思う。
○検定委員会に一緒に入ってということではないのか
 →そうではない。事業団としては、できた牛から選ぶということではなく、最初からアドバイスなどをしてやっていきたいということ。
○参画型にしたいということか。
 →そういうこと。ただし、最終的な判断は検定委員会に従うということ。具体的なところはまだ分からないが、検定協力型から基本型に移行で回答するつもり。
○何かいいことがあるのか。勝手にされていらん金使うことになるから、事業団も15頭の検定をするのだからもっと意見を聞いて欲しいということではないのか。
 →そうですね。事業団の検定協力農家からはそういう意見もあると聞きます。
○成績が良くて事業団が繋ぐようになった場合、精液が鳥取県にほんのわずかしかこないようになることはないのか。
  →具体的なことはまだだが、そのような話しにはしない。
○所有はどこになるのか
  →まだはっきり決まっていない。今、「福増」の成績が良いが、共同種雄牛になった場合、ここに繋いで、精液を採って事業団に供給するということになる。基本的には県内で逼迫することがないということが条件なので、こちらの基本型になった場合でも同じになると思う。
○そうなればいいことだ。種が売れなくて困っているのに。
○精度が高い牛を効率よくということか。
○はっきり言えば俺たちに任せていたらいけんということだ。

・現在共同で実施している牛で「福増」の成績が判明。全体29頭中16頭の成績が分かっており、平均で枝重が461.4kg、ロース芯が64.9cm2、BMSNo.が7.6と非常に良い成績が出ている。4月にはすべての成績が出そろう。

○条件で負けないように。負けるようだと受けたらダメ。
  →基本型に移行するということで協議を進めていくことなので、負けないようにしたい。状況はまたお知らせしたい。

◎手法の変更については、経過を報告していただきながら、回答案に示してあることを要望して移行するということで回答してよろしいか。
 →異議なし。


次回開催予定
 3月上旬予定
内容
○改良基礎雌の選定に関すること
○直接検定第3群「桜5」の選抜・保留について
                                ほか

  
H25年度第4回検定委員会資料.pdf

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