昭和63年(1988)8月19日、三朝町山田で採集
歌詞
わたしゃ西郷の小山の狐
踊りなければ小山に帰る
(伝承者:明治40年生)
解説
西郷地区の小山というところで、盆踊りに歌ったという。筆者は小山という地名を知らないので「西郷」で検索してみたら、鳥取市河原町とか、倉吉市に西郷地区があって、西郷小学校が存在しているが、校区内に小山地区があるかどうか不詳である。「小山の狐」と歌った伝承者は三朝町なので、あるいは倉吉市の方を意識して歌われたのかも知れないと推定されるが、今となっては確認する方法はない。
『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)には、盆踊り歌はあるが、三朝町のものは出ていないので、近隣の倉吉市大塚地区のものを紹介しておく。同書によれば、これは「みつぼし盆唄」というタイトルが記されている。
踊りましょいな どなたによらず
踊るこの場の コリャ 果てるまで
唄え唄えと 歌強いられて
声は出はせず コリャ 汗が出る
あなた百まで わしゃ九十九まで
ともに白髪の コリャ 生えるまで
来るか来るかと 川下見れば
川にゃ 柳の ホラ 影ばかり
チョイサッサ ドーントコイ
惚れて頼むに 時節を待てと
時節待つなら ヤレ 頼みゃせの
恋し恋しと 泣く蝉よりも
泣かぬ 螢が コリャ 身を焦がす
立てば芍薬 坐れば牡丹
歩く姿は ヤレ 百合の花
(注)みつぼし踊りの語源については、歌い手、踊り手、音頭とりの「三拍子」からとか、星を仰いで夜が更けるまで踊り明かしたので名付けられたともいう。