令和7年1月6日(月)午前9時45分から
県庁講堂
皆様、明けましておめでとうございます。
県職員の皆様、そして県民の皆様におかれましては、健やかに輝かしい新春をお迎えのことと、お慶びを申し上げたいと思います。それぞれに今回は長めの休暇という形になりました。9日間、皆様それぞれご家族や、或いはお仲間や、いろんな形で時を過ごされたと思います。また心機一転、私たち2025年、令和7年という年に向けて、今日ここに船出をすることとなります。ぜひ皆様には、精一杯、県民のため、鳥取県のために力を尽くしていただきますよう、お願いを申し上げたいと思います。
先ほどは表彰がございましたけれども、昨年は本当にいろんなことがありました。そういうものを乗り越えていく、そして次のスタート地点をみんなで作っていく、それがそれぞれ職場ででき上がってきたというふうに思います。表彰を受けられたことは去年の状況にもかなり合致していたものがありまして、例えばデジタル社会が進む中で、民主主義だとか、或いは人権をどういうふうに整えていくのか。小さな鳥取県でありますけれども、まずは立ち会いをインターネットでやってみようと。これで投票所が減ることを何とか防いで、投票率をしっかりキープをして、人々の投票へのアクセスを確保しよう。或いはデジタル社会にふさわしいAIの使い方だとか、それからインテリジェンス、こういうものをどういうふうに考えていくのか。そのスタート地点に立った年でもございました。
また年初には、能登半島地震がありました。残念な事故や或いは災害も続いたわけであります。そういうものに対しまして県庁挙げて職員の皆様が現地に行かれたり、また私たち自身も防災を整えるために、ヘリコプターなど空や或いは海やいろんなルートを使って72時間以内に命を守る、そんなプロジェクトをスタートさせていただいたりしたところであります。
また、これからの人口減少の局面、いろんな弊害が出てくると思います。これを乗り越えていく最初の立ち上げとして、11月30日に日本創生に向けた人口減少の戦略フォーラムを開催しました。時の人である石破首相も会場にお越しいただきまして、県内の各界の方はもとより、鳥取県以外の中国地方の知事さんたちも参集されるなど、本当に大きなスタートを切ることができました。我々のところから、こういうような息吹をあげることができたのだと思います。
また、長年にわたる環境推進活動、或いは、農業や林業を守る活動、いろんなジャンルで先ほど表彰がありましたけれども、ぜひ、これを大きな力としてこれからさらに職務に精励していただければ大変ありがたいと思いますし、今日の表彰の中にもございましたが、やはりデジタル社会を活用した環境改善を図っていかなきゃいけません。非常に面白いプロジェクトも昨年の職員提案で生まれて、カイゼンの金賞、銀賞、銅賞ということになりました。例えば、いろんな申請書類がありますけども、これを鳥取県のインターネットでの遠隔申請、このシステムを活用して契約なんかができるようにしようと、全国に先駆けてやっていただきました。また、例えば、業者の選定があるわけでありますが、それに臨むに当たりまして市町村と県がそれぞれ重複してやりますと、事業者がみんなに1つの書類を出さなきゃいけないと。これをシステム上で解決をすることで、県が一次審査を全部やると市町村も楽になる。こんなこともできました。或いはデータベースを活用して、4月1日の契約というものをより有効に、効率的にできるようにしようと。このようなことなど、カイゼンの芽はいっぱいあるわけですね。今日は若い方々、また女性の職員も目立つわけでありますが、家庭や社会の両立、或いはそれぞれのワークライフバランスを考えると、もうこんな仕事のやり方変えようじゃないかっていうことをぜひ、今年1年いろんな声を上げていただきたいと思います。それに応えていく職場を皆さんと一緒に作り上げていきたいと思いますので、どうかよろしくご検討いただければというふうに思うわけであります。
「蛇のから何を力に抜け出でし」 蛇年という年を迎えました。蛇は脱皮をして大きくなるんですね。ですから、脱皮して大蛇となるという、そういう格言もあるぐらいの生き物であります。先ほどの正岡子規の句でありますけども、蛇が皮を脱ぎ捨てていく、一体どんな力があるのかなあというふうに目を見張っているわけです。私たち鳥取県から脱皮して大きな力を起こしていく。それが蛇年の私たちの使命なのかもしれません。
いろんなテーマがあると思います。例えば、先ほど来ご覧いただいたようなデジタル化ということがございます。このデジタル社会の中で、特に子どもたち、青少年の健全な育成ということと、果たして合致するだろうかというようなこともあります。例えば、今日もニュースで大きく取り上げられたりしていますけれども、例えばネット上で、ギャンブルをやるというようなことがあったりします。また、犯罪に巻き込まれて残念ながら強盗事件に加わってしまう。それがいとも簡単に青少年にも及んでいるということです。なかなか憲法上だとか、難しいことはあるかもしれませんが、私たち鳥取県の地域社会としてやれることもあるんじゃないか。そのように考えるわけです。
また、デマ情報がいっぱい飛び交う、そういう中で、選挙に影響があったんじゃないかというようなお話があったり、また、いろんなことに惑わされて、災害時に大切な情報じゃないことが横行してしまうと。人間っていうのは、危機に至りますと情報に飛びつくわけですね。悪気がなくてもそれを拡散してしまうっていうことがあります。そんな意味で、私たちが出していく、これは正しい、大丈夫だよっていう情報、その道しるべも考えていかなければいけないのかもしれません。
そんなようないろんな技術も活用しながら、或いは制度も変えながら、デジタル社会の中を生き抜いていく。県民の皆さん、子どもたちを守り、そして、活用の方も促していく、そんなことが1つのテーマになりうる年なんじゃないかなと思います。
それから、人口減少社会、先ほど申しましたフォーラムもございましたけれども、1つは東京一極集中を何とか打破していく。また2つ目には、少子化対策、これをやり遂げていく。また3つ目には、中山間地でも住みやすい、そんな地域を創っていく。こういうアイデアは、おそらく今日こうして会場の中におられる若手の職員の皆さん等々が考えるのが一番いいことじゃないかなと思ってます。と申しますのも、鳥取県に移住定住してくださるのは、20代30代が半分です。40代まで行きますと、もう7割8割というところであります。ですから、子育て世代とか、就職してそんなに時間が経ってない人たち、どういう情報を見ているのかな、何に興味があるのかな、何があったら幸せと感じて楽しいと思っていただけるのかな、この辺は実は皆さんがその世代であって、こうしたZ世代をはじめとした若い世代、ミレニアム世代だとか、そうした考えが注入されなければこの問題ってのは多分解決できないと思います。そんな意味で、皆さんの力っていうのは非常に大きいものだなというふうに思うわけであります。
また防災もそうです。能登半島地震を経験したわけでありますが、大変な教訓も我々得たと思います。そういう意味で、どうやったら命を助けることができるのか、或いは集結場所として提供できるのか。今年は北条に道の駅ができます。ここを1つの県外の自衛隊だとか、いろんな部隊の集結地点にできないかな、こんなことを今構想しています。これに止まりません。4月からは、防災情報のデジタル化が始まります。これに基づいて広島と一緒にやっていこうということを、全国でも初めて、県境を跨いでということが行われることになります。このようなことなど、いろいろと工夫をして、県民の大切な命、私たちのかけがえのないふるさとを守っていく、そのスタートの年に、今年は是非しなければなりません。
また先ほど来、出ていますように、万博が4月13日から10月13日に開催されます。鳥取県は関西の一角を占める広域連合の一員でありまして、これを1つの材料として、東のゲート、皆さんが入ってくる一番メインの入場ゲートのすぐ近くにパビリオンができることになります。そこで、無限砂丘、この砂をモチーフにしながら、名探偵コナンのように、おいしいものや楽しいものを探してもらう。鳥取発見の旅に出ていただこうということです。この人たちの探し当てたものが実はとっとリアル・パビリオンへと繋がっていまして、こちらに来る1つのモチベーションになればなと、こんなことであります。ただ万博は正直半年で終わる一過性のものですが、これが後にレジェンドとしてレガシーとして残っていくようにしなければなりません。そんな意味で、この機会に鳥取を多くの方々に知っていただくチャンスだと考えていただければと思います。
あわせて美術館ができるなど、芸術文化も大きく動く年になると思います。実は、鳥の劇場という県もサポートしているところもリニューアルされることになります。このような材料とあわせて文化だとか芸術だとか、そして、青谷かみじちや妻木晩田のような歴史、こういうものを繋いで、今までにない魅力を私たちの暮らしの中に作り込んでいくことができないか、そんな年が試されていると思います。ぜひそんな意味でもにぎやかで楽しい、そんなまちづくり、地域づくりに繋がるように、皆さんも考えていただければなと思います。
1つ予言めいたことを申し上げますと、おそらく今年は激動の年になると思います。大変な不透明感のある状況が今後生まれるでしょう。海外を見渡してみてください。アメリカではトランプ政権が生まれます。今韓国はどうなっているでしょうか。大統領が今日、もしかしたら拘束されるかどうかというような、正念場にあるわけですね。そしてウクライナの戦争、いろんなものが、今、世界では動いていますし、実はデジタル社会も手伝って、非常に、今まででは考えられないような展開があります。これは我々の暮らしにも影響してきます。例えば、関税を引き上げるっていうことがあればどうなるか。中国が特に狙われています。それから日本も、やはり部品を輸出することなど本県ではやっていますが、こんな産業振興をどうやっていったらいいんだろうか。そういう中で大切なのは、食糧安全保障など、農林水産業の問題も、片方であるんだろうと思います。こういうところで、いかにうまく立ち回ることができるのか。これは県庁も1つのシンクタンクとして取り組んでいかなきゃいけないことだろうと思います。
ぜひそんな意味で、多くの情報を皆さんも吸収していただいて、それで判断を我々の方でも提供させていただく。その中で、地域社会のいいところは、いろんな当事者の方々が身近なところにいて、専門家なんですね、それぞれに。その人たちと私たちが一緒に考え、一緒に行動を起こすことができる、小さいからこそ勝てる鳥取県っていうのがあると思います。皆さんは、その担い手でありまして、今年、県職員の皆さんへの期待というのは、非常に高くなってくるし、役割も大きくなってくる年だろうと思います。
正直、日本の中でも、政治がどう動くかっていうことはまだ不透明です。参議院選挙もあれば、その他の選挙もあります。そういう中で、石破政権が今、地方を起点とした新しい国づくり、経済づくりを打ち出しているのは我々にとってフォローウインドですけれども、これが永続するかどうかというのはわからないのが政治の常であります。そんな意味で、このチャンスに一気に私達の方で前へと仕掛けること、これが試されているというふうに考えていただければ大変ありがたいなというふうに思います。
人口が少ない鳥取県なので、学びの森をはじめとした人材育成であるとか、それから住みやすい社会をつくるため、犯罪を乗り越えていくような、そういう力も必要であります。障がい者対策を始めとした福祉の政策、特にシニア世代が生き生きと輝いたねんりんピック。これを今年に引き継いでいかなければなりません。いろんな意味で、そういう地域への応援歌を私たちの方で出していかなければいけない年だと思います。
「常山(じょうざん)の蛇勢(だせい)」っていう言葉があります。常山というのは、中国の恒山(こうざん)という山だと言われています。実は孫子の兵法で有名な孫子の九地(きゅうち)の中にある言葉であります。常山に住む蛇は、頭をたたかれれば尻尾でなぎ倒しに行く。尻尾をやられそうになったら今度頭を出してくる。こうやって、それぞれのいろんなものが仕掛けてくる、攻めてきてもそれを守り切って乗り越えていくような、そういう隙間のない、そういう体制を作っている、蛇勢というのは蛇の勢いということであります。そうした「常山の蛇勢」。 蛇年の今年、私たち鳥取県庁は、そういう力をぜひ発揮していければと思います。
この1年は、いろいろと動きのある年になろうかと思いますが、お仕事以外の時間も大切にしていただければと思います。そして皆様にとりまして、ご家族や地域の方々と一緒に幸多き年になるようお祈りを申し上げます。皆様の今年1年のご活躍、そして鳥取県政の発展をお祈り申し上げまして、私からのメッセージといたします。どうもありがとうございました。