防災・危機管理情報

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項目

(主な報告事項)

 1 令和7年度当初予算主要事業について

 2 令和7年度主な組織改正案について

会議録

<足羽教育長説明>

 こんにちは。

 ここ数日は本当に大雪になりまして、今日も会議(令和7年2月5日からの大雪に係る被害総括会議)が持たれました。被害の状況はこれからということであり、特に高校は何校かJRの関係で休校となっておりますが、幸い大きな影響はなかったというふうに聞いております。

 

1 冒頭

 知事部局でも、本日、令和7年度の当初予算概要説明がなされて非常に膨大な資料が皆様に配布されたと伺っており、その中に教育委員会関係の資料も含まれておりました。今回は私の方からは9事業を抜粋してご説明したいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、日頃から報道関係の皆様に子どもたちの様々な取組や活躍をたくさん取り上げていただいておりますことにも、本当に改めて感謝を申し上げます。

 

(1)鳥取県教育振興基本計画について

 まず1ページをお開きいただけますでしょうか。

 昨年度末に教育振興基本計画の改訂版を策定いたしました。大きな特徴は、基本理念の下に記載されている「自立して生きる力」や「4つの力と姿勢」を育成していくため、その基軸となる「ふるさとキャリア教育の目指す人間像」を追加いたしました。この教育振興基本計画がそのものではありますが、今、教育委員会では子どもたちをどんなふうに育てていきたいのかという思いをよりわかりやすく、誰もが口にしやすく、取組を進めていきたいというその根幹に成すものとして、このふるさとキャリア教育を位置付けました。このふるさと鳥取に根差し、それぞれの人生を束縛或いは制限するのではなく、どこで誰とどんな生き方をしようとも、心の根幹にふるさと鳥取が必ず根差しているという、そんな取組につなげていきたいと考えており、以下の6つの目標、そしてまた具体的な施策に繋がっていくような仕掛けにしたところでございます。

 

(2)ふるさとキャリア教育について

 2ページをご覧ください。

 実は、特殊なこと、特別なことをふるさとキャリア教育でやろうとしているものではなく、幼稚園、保育所段階から、小学校、中学校、高等学校と子どもたちはこの地元ふるさとで育っていくわけですが、小学校段階ではふるさとに愛着を持つための様々な取組、そして高学年になれば地域の課題のこと或いは大人について考え、そして中学校になればその課題解決に向けて自分は何ができるだろうかということを、特別の教科道徳や或いは総合的な学習の時間、社会科等の学びも通して行動していくことにつなげていきます。そしてそれが高等学校になれば、いよいよ自分の人生を考えていく中で、このふるさとに誇りを持って、鳥取の未来を考え、さらには自分自身の生き方を確立していくという段階になっていきます。この縦軸をしっかりつなげていくため、体系図でもって全学校に示しながら、この意識づけを持たせた様々な取組をしていくという中で、先ほど申し上げたふるさとキャリア教育、目指す4つの人間像の育成につなげていこうという仕掛けで取組を進めてきたところでございます。

 今日これから説明する9つの事業は、すべて下の表(教育振興基本計画の全体図)の具体的な取組の中に含まれておりますので、ここと結びつけながら説明を進めていきたいと思います。

 

(3)県立夜間中学「まなびの森学園」について

 予算の前に今年度のトピックについてお話いたします。3ページをご覧ください。4月に中国地方では初となる県立夜間中学を開校しました。

 これは教育振興基本計画の中では「多様な教育ニーズに応じた誰1人取り残さない学び」という観点で取り上げております。4月に12人の生徒が入学され、上は60代の方から、下は中学校卒業したての方まで幅広い年代の方々となっております。資料は2月3日時点の人数でちょっと減っており、残念ながら生徒さんの家庭事情等によって辞められた方もありましたけど、12名でスタートをさせていただきました。現時点で10名ということになっておりますが、年代も国籍も、また、地域も様々な方々が、資料でも主な行事や生徒さんの様子を紹介しておりますし、私も学校を訪問して生徒が自分のペースで学んでおられるという姿に触れてれまいりました。その中で改めて、やはり教育の原点がある意味ここにあるのではないか、幾つになっても、或いは国籍が違っても、学びたいという強い思いが生徒から感じ取れました。非常にそういう意味で、このまなびの森学園を開校できたことは、今年度の大きなトピックであり、また、鳥取県教育の目指す大きな方向性を示唆するものになったと考えているところでございます。

 わずか12名でスタートしましたが、先ほど申し上げたとおり様々な状況にある生徒ですから、正直申し上げて先生方が大変です。通常学校のように1つのカリキュラムを作って、それを30人の生徒に一斉に教えるなんてことは全くできませんので、極端に言えば12通りのカリキュラムを作り、一人一人にきちんと向き合いながら学習状況や理解度に応じた学びを進めていただいております。初年度の職員体制はわずか11名でのスタートになっております。今後、こうした学びの場でより自分らしく学びたいという方が増えていっていただけることを期待しているところでございます。現時点では、来年度に向けて若干名の入学確約者があるというふうに伺っておりますので、確定段階になりましたら、また違う場で公表していきたいと思っております。

 報道機関にたびたび取り上げていただいたこと、感謝申し上げます。その活動を4ページに挙げておりますが、調理実習や運動会などを地域の方や或いは鳥大生にも参加いただき、本当にこのまなびの森学園を盛り上げていただいていることに感謝したいと思っているところでございます。

 

2 令和7年度当初予算主要事業について

(1)小中高校生への地元定着促進事業

 それでは予算関係の説明に入りたいと思います。最初は小中高校生の地元定着促進事業でございます。

 今年度、県庁を挙げての「とっとり若者Uターン・定住戦略本部」が設置されましたことは、皆様もご存じだろうというふうに思います。2月4日には第3回の本部会議も開催されたところでございまして、教育委員会関連ではふるさとキャリア教育をいわば部局連携しながら進めていこうとする取組でございます。その中で教育委員会としてできる学校現場或いは子どもたちへの仕掛けということでこの地元定着促進事業を要求させていただいております。

 令和6年度の中学生の数は4693人です。これが今の0歳児、つまり令和21年度の中学生は3191人という数字が見えております。つまり、これから先15年間で1500人あまりの子どもの数が減っていくという、県全体が53万人を割るというような人口減少の中ですが、その中で子どももこれだけの数が減るという状況でございます。

 そんな中でも、子どもたちがこのふるさと鳥取をしっかりと担っていく、或いは日本を背負っていく、そういう人材を育成していくために、私たちは先ほどのふるさとキャリア教育に重点を置いて施策を進めていくことが必要だというふうに思っており、その意味でも、子どもたちにいかに発達段階に応じたふるさとキャリア教育をしっかり根づかせていくのかということが大きな使命であろうと思っております。新規の取組、或いは知事部局と連携しながら進めてまいりますが、本日は主な事業を4つ取り上げて説明をさせていただきます。

 上から2つ目でございます。「とっとりデジタル教材の制作事業」です。これはすでに令和6年度6月補正で知事部局の人口減少社会対策課が予算要求をされ、教育委員会も一緒に進めていこうということで教育に予算を移したものでございます。具体的には産業界或いは観光といった各分野で活躍される方々を、人・産業・魅力といったキーワードを挙げながら、そこで働いている人々の仕事のやりがいや生きがいなどを発信するデジタル教材を今作成中でございます。3月中には完成予定であり、これを学校現場のふるさとキャリア教育の教材として活用していくような形でつなげていきたいというものでございます。

 その下に未来予想図活用によるふるさとキャリア教育とありますが、これも先ほどのデジタル教材とリンクする部分がございまして、これは知事部局のとっとり未来創造タスクフォースから提案があったものであり、30年後の未来を想像し、これを描きながら、子どもたちが地域の大人や民間企業の人々と対話したり意見交換をしたりしながら、この未来の鳥取をどう作っていくか守っていくか、そしてそこで自分はどんなことができるか、そういう教育を展開するため未来予想図の作成やそれをデジタル教材に落とし込んでいくという予算をお願いしているところでございます。

 その下、これも新規でデジタル関係が続きますが、「郷土愛醸成デジタル地域情報活用事業」です。地域を知る機会として地元紙が非常に大きな役割を果たしています。もちろん全国誌の方々にも取り上げていただいていることには感謝したいと思いますが、地元の情報をより有効活用しながら発信を行っていくということで、地元紙が制作した学習教材を今年度試行的に使っておりましたが、継続して使いたいという市町村が来年度5市町ございますので、その市町村を支援していこうとするものでございます。これはどんなソフトかといいますと、その地域ニュースをまず読み、調べ、そしてそれをもとに自分たちで地域課題解決に向けた新聞を作る、そういったことがこのソフトの中でできるような仕掛けのものとなっております。そうしたソフトを活用する市町への支援を行っていこうとするものでございます。

 そして「高校生を対象とした県内企業の魅力発信」でございますが、これは中小企業団体中央会に委託しながら、高校生と企業等を結びつける事業でございます。(※補足 令和6年度は中小企業団体中央会に委託。令和7年度は委託先調整中。)本県の高校24校は、すべての学校で探究的な学習を行っております。地域的な課題もあれば、環境問題、或いは人口減少の問題、医療の問題、様々な分野に目を向けながら高校生たちは探究学習をしております。そんな中で、企業訪問をしたり、専門高校であればインターンシップでお世話になったりすることもあるわけですが、企業経営者の方やそこで働いておられる若手職員の方と一緒に仕事のよさだったり、生きがいであったりを考えていこうとする、そういう企業との接点を深めようとする取組を中小企業団体中央会に委託しながら高校生への意識づけをより深めようとするものです。そういう取組を進める中で、このふるさとキャリアの根幹を小学校段階からしっかりと積み上げて参りたいというふうに思っております。

 

(2)次世代の学び創造プロジェクト、学びの改革推進総合プロジェクト

 続きまして、「次世代の学び創造プロジェクト」ともう1つ学力関係で「学びの改革総合改革推進総合プロジェクト」事業を挙げております。先に学びの改革総合推進プロジェクトの方から説明します。

 全国学力・学習状況調査で毎年明らかになってくる子どもたちの学力の状況を踏まえ、これまでも学校での授業力向上に向けた取組を継続してやって参りました。4つ事業を書いておりますが、まずは専門家を交えて子どもたちの学習状況や学力の課題が何なのかを検討会議でしっかりと見極めております。さらに2つ目の教育データ活用ということで、全国学力・学習状況調査は小学校6年と中学校3年の瞬間風速的にしか子どもたちの状況が掴めないところを県独自にとっとり学力・学習状況調査をこの数年実施し、小学校4年生から中学校3年生までを連続して子どもたち一人一人がどんなふうに学力を伸ばしているか、或いはどのような取組状況が見られるのかを追っていける調査を並行してやっております。この2つを繋ぎ合わせる形で、この子どもたちが今求められる思考力、判断力、表現力、そしてそれを協働的に学んでいこうとする仕組みをこれまでも構築しようと取り組んできたところでございます。今説明しておりますのは、9ページのポンチ絵の左側の事業で、質の向上という部分でございます。先ほど申し上げた伸びを見るとっとり学力・学習状況調査の継続と、さらには英語の力を見る外部試験英検IBAを次年度も継続し、そのデータをしっかりと蓄積して活用していこうとする取組でございます。

 また、鳥取の子どもたちの課題は、基礎的な部分はある程度理解できておりますが、その基礎力を応用・活用する力にやはり課題があるということで、国語・算数に係る重点校を指定しながらの支援や県教委が学校訪問をして授業改善に努めていくという取組も継続いたします。また、英語力向上のためのオンライン英会話レッスンを授業内で活用している7市町村に対して費用を補助したり、個々の学力状況に応じた学習や家での宿題などでe-ラーニング教材を活用する14市町村に対して費用を補助したりするなど、授業力向上という観点からこれらの取組も継続をして参ります。

 そういう取組の中で見えてきた課題は、個別最適な学びと同時に協働的な学びを一体的に推進するために必要となる子どもたちが学びに主体的に向かう、或いは、自分自身で足りない部分に気付いてそこを重点的に進めていこうとする自己調整力的な部分が必要ということで、今回新たにこの次世代の学び創造プロジェクトを走らせようとしております。これが9ページの右側の黄色ベースの部分で、児童生徒が自身で学び取る或いは学び方を学ぶための取組を進め、これを大きな今年度の学力向上の目玉として走らせたいと思っております。

 具体的に3つ挙げておりますが、主体的に学ぶ学習の例として自由進度学習が挙がっていると思います。今の授業は先生が教壇に立って45分の授業の間に25人なら25人に同じペースでずっと問題を解かせたり説明したりして進んでいきますが、子どもたちの理解度がそれぞれまちまちであるとするならば、その授業の目標を達成するための進度を子どもたちに委ね、一人一人が自分の理解度に応じて課題を設定、或いは学習計画を立て、自分のペースで学習していくというものになります。ですので、理解度の高い子はレベルの高い問題にいきなり向かってもいいわけですし、理解がまだ不十分な子には先生がつきっきりになる、或いはグループで話し合うといったような形態を選択できるような形で学習を進めていきます。そういう取組が今求められており、そこにチャレンジしていきたいというふうに思っております。ただ、いきなりやれと言っても無理ですので、そういった学習にチャレンジする学校に講師を派遣したり、また県外で先進的に実践しておられる学校を視察したりといった予算をお願いしており、裾野を広げていきたいと思っております。

 2つ目は生成AI等を活用した英語力向上事業で、これは文部科学省も今予算要求をしており、全国で300箇所を募集するということで、そこに手を挙げたいと考えております。教員がリーディング教材やテスト問題を作成する際にAIが効果的に活用できる事例が出てきております。また、生徒たちも英会話の練習や発音練習、英作文の添削等にAIを使ってできるソフトが開発されており、このあたりをうまく取り込んで、先ほど申した自由進度学習とあわせて英語の部分においてもAIを効果的に使う学習を進めてみたいというふうに思っておるところでございます。

 7、8ページの2つの学力に係る事業を抱き合わせ、これが9ページの右左の表で示してございますが、今までは左側の内容が中心でありましたが、子どもたちの主体的な学びをより進めようとするもう一本の右側の柱を持ち、子どもたちがこれからの社会を担っていくための力の育成に向けた学びの創造を図っていきたいと考えております。

 

(3)世界へ羽ばたく人材育成奨学金事業

 続きまして、債務負担行為として、世界へ羽ばたく人材育成奨学金事業を挙げております。10ページをご覧ください。これは議会の方でも何度か質問が出されましたが、倉吉東高校でバカロレア教育がスタートし、国外大学進学者ということもある程度想定されるようになりました。また、これまで他校でも何年かに1人くらいですが国外大学等に進学をしている生徒がおりましたが、そういった高校生を支援するために国外大学進学者向けの奨学金制度を新たに創設するものでございます。来年度は募集人員5名としてまずスタートしてみようと思っております。来年度は予約を受け付け、令和8年度の進学の際に貸付けをスタートし、卒業後に返還をしていただこうとするものです。貸与月額、或いは支度金の給付額等を記載しておりますとおりです。現行の奨学金は、国内の国公立大学で4万5000円、私立大学で5万4000円といった制度しかございませんでしたが、国外大学についても奨学金で支援を行うもので、他県でも非常に例が少ない取組でございます。熊本や福岡がやっていらっしゃるようですが、確認しますと大企業からの寄付金がベースになって費用を賄っておられます。本県は一般財源であります。こういった形はほとんどない取組だというふうに聞いているところでございます。

 

(4)学校の諸課題未然防止・早期支援プロジェクト

 続きまして11ページ、学校の諸課題未然防止プロジェクトでございます。タイトルからはちょっと分かりにくいと思いますが、これはストレートに言いますといじめや不登校対策に係るものでございます。今年度までの一般事業から組み替えて戦略事業としているもので、そういう意味で新規という形で挙げさせていただいております。ご承知のとおり、小学校、中学校ともに不登校児童生徒の数は本当に急増しており、全国平均よりも鳥取は非常に数が多い(出現率が高い)わけでございますが、何とか子どもたちが学校の力によって学びを継続したり、よい人間関係がつくれるようにということで、未然防止をキーワードに掲げ、小学校に重点を置いた早期の段階からの未然防止につなげるための取組を強化したいと思っております。

 主な事業内容の2つ目に記載されている校内サポート教室は、学校までは行けるけれど教室に入って学べないという子どもが多数おり、そういう子どもに対して学校内での別の居場所を作るものであり、非常に効果があるということで全国でも非常に広がっておりまして、国の方でも予算立てをした状況でございます。現在、本県でも中学校15校にこのサポート教室を設置して、ここ数年取組を進めてきました。非常に効果があり、教室復帰ができた、高校進学ができた、或いは学習に自信が持てた、そういう生徒の声が多数見られており、これを新たに小学校版として設置をしたいと考えております。まずは東・中・西部で1校ずつ小学校に新規に設置をすることで、子どもたちの学びの場所の確保につなげ、子どもたちの不登校等の未然防止策がより充実するような取組を進めたいというふうに思っております。

 その2つ下に学校運営支援専門員の配置と記載しておりますが、これも新規の取組でございます。また組織のところでお話しますが、いじめ・不登校総合対策センターの中の組織を充実させたいということで、いじめ・不登校総合対策センターに退職校長等で学校運営や不登校への関わりについて熟知した方を会計年度職員として配置いたします。学校がいかに組織的にいじめ問題や不登校の課題に取り組んでいくのか、また学校の組織をどう作るかどう動かしていくかということに対して、退職校長等が学校現場にアウトリーチ型の指導助言をしていくという体制を構築したいというふうに思っております。これは人件費に該当しますので事業予算には計上しておりませんが、そういう学校現場の組織づくりのために指導助言する専門員を置き、要請のあった学校を訪問しながら校内の組織づくりを進めることにより、子どもたちのいじめ問題、或いは不登校といった課題の未然防止に努めたいというふうに思っているところでございます。

 

(5)地域に根差した魅力ある学校づくり推進事業

 続きまして12ページです。地域に根差した魅力ある学校づくり推進事業でございます。

 これは高校の魅力化に繋がるものでございますが、これまでも地元自治体等々と協力・連携しながら高校の魅力化や情報発信に努めてきたところでございます。冒頭申しましたとおり、これから15年で1500人の子どもが減る中で、今高校のあり方についての基本計画(前期)を3月に策定して発表する予定にしておりますが、高校のあり方を検討していく上でも、地元自治体との連携をより強化する必要があるということで、一番上の事業内容に地元市町村との協定締結とありますが、これまでは暗黙の了解のように智頭町、日野町といった地元自治体に高校の応援をしていただいておりましたが、そういった町と連携協定を知事・教育委員会・町長とで結び、地元の役割、県の役割を明確化しながら、取組を進めていこうとするものです。そういう協定をぜひ新年度にスタートして、高校の魅力の創出につなげたいというふうに考えております。そうした協定をもとに2つ目、高校魅力化コーディネーターの配置に一部補助をしていきたいと考えております。これまでは、先ほど挙げたような町を中心にこれまでも地元自治体の活性化事業としてコーディネーターを雇っておられ、基本的に町の負担で配置されていましたが、コーディネーターが学校にも入っていただいたり、また地域の活性化にも寄与していただくという働きをしていらっしゃることから、協定を結んでいただいた町に対してコーディネーター配置経費の一部補助をしていこうとするものでございます。国の交付金も一部活用する仕掛けにもしているところでございますが、今のところ岩美町、智頭町、北栄町、日野町の4町がコーディネーターを配置しておられますので、この4町を中心に協定をもとにそれぞれの高校の魅力発信をしていきたいというふうに思っております。

 他にも地域みらい留学といって全国で地域教育魅力化プラットフォームという隠岐島前高校が有名になった取組ですが、全国の都市部の中学生と地方の高校とを結びつけるそういうマッチングイベントが全国で開催されており、都市部の中学生の参加者が年々増えおります。そこに本県も7校参加をさせていただいて、県外生徒募集に寄与しているところでございます。そういった取組も継続し、また県外生徒の受入環境整備や魅力ある学校づくり事業も継続しながら取組を進めていきたいと思っております。

 

(6)鳥取県公立学校教員奨学金返済支援事業

 13ページをご覧ください。鳥取県公立学校教員奨学金返還支援事業を新規にスタートさせようとするものであり、これも教員不足ということが大きく叫ばれる中で久しぶりに復活になるわけですが、公立学校教員に採用となった方の奨学金返済を支援する事業でございます。これは議会の方でも話題になったりしましたが、今の教員不足の解消に向けて、一部でも支援策になればということで立ち上げようとするものでございます。内容については書いてあるとおりであり、全国でも数県がやっておられますが、ちょうど東京都が今度3000人規模でやるということが話題となりました。財力のあるところはそんな規模でできますが、他県では、山梨県、岐阜県、近くでは岡山県、愛媛県が同様の教員になられた方の奨学金を一部免除するという仕組みをスタートしておられ、今紹介した県は大体20人から30人ぐらいの規模でございますので、教員数の割合からいってとりあえず本県は10名で制度をスタートしてみようということです。今回、知事部局の鳥取県未来人材育成奨学金支援助成金の事業対象が広がり、そこに私学の教員も含まれることになりましたので、公立もぜひともということで予算化につなげたところでございます。できれば全教員を対象とできれば一番理想でしょうが、そうすると億単位のお金が毎年必要になりますので、とりあえずはこの人数でまずスタートしていきたいと思っております。

 

(7)令和7年度全国高等学校総合体育大会開催事業

 続きまして14ページをご覧ください。来年度の大きなイベントとして、全国インターハイが9年ぶりに本県で開催されます。記載のとおり5競技6種目が本県で開催をされる予定です。すでにホッケー場や自転車競技の整備には向かっているところであり、来年度はいよいよ開催年として県実行委員会の負担金や種目別の開催経費補助金等を予算計上させていただいたところでございます。

 

(8)近畿高等学校総合文化祭鳥取大会開催事業

 もう1つ大きなイベントとして、11月には近畿高等学校総合文化祭が本県で開催されます。こちらは文化芸術の祭典でございまして、作品展示や活動発表、そして生徒たちの文化交流が行われます。これは1981年からスタートしておりますが鳥取県も関西広域連合に参画した辺りを契機に、平成20年から参加をしております。約1万5000人の高校生や先生方や関係者が来場され、県外からも3、4千人来られるというふうに伺っております。11月15日からの日程で全県下で17部門が開催され、高校生たちの今度は文化面での活躍が見られることを楽しみにしております。それをしっかり応援したいと思っております。

 以上、予算関係についての説明は以上となります。

 

3 令和7年度主な組織改正案について

 最後に組織関係について説明いたします。16ページ、17ページをご覧ください。

 先ほど申し上げた近畿高等学校総合文化祭の担当等もありますが、一番大きなものはいじめ・不登校総合対策センターを生徒支援・教育相談センターというふうに名称を大きく変更するものでございます。これはいじめ或いは不登校への課題対応ということでいじめ・不登校総合対策センターという名称で設置をして取組を進めて参りましたが、昨今はいじめ問題や不登校の課題のみならず、例えば、ヤングケアラーや性暴力、児童虐待、さらには、自死の問題と言ったような様々な課題対応が必要となっており、現在のいじめ・不登校総合対策センターがいろいろ相談を受けたり、或いは対応したりということで、取組を進めてきたところでございます。そういう意味では、単にいじめだけ、或いは不登校の課題だけではなく、様々な包括的な対応が必要ということから名称を変更するものです。さらには担当も現在は指導担当と教育相談担当とに分かれておりましたものを、指導担当のところを生徒・学校支援担当に変えて、生徒への直接的な支援も行いますが、先ほど申した専門員を配置しながら、学校組織をより強固にするための支援をしていくための部署へと変えるという意図で名称変更をするものでございます。その意味でも、組織名が変わり、そして専門員という経験豊かな職員が配置され、そして学校現場に出ていくというアウトリーチ型の取組をするということで、現場への強力な発信、或いは家庭にもしっかりとその支援が届くような形での体制にすることを明確化したいということで、この組織変更を行っていこうとするものでございます。

 ですから、現在と仕事が大きく変わるものではございませんが、今の課題は何だろうかといったときに、先ほど申した子どもの数が減る中で、いじめで苦しむ子どもがいる、或いは不登校でなかなか人間関係づくりがうまくできない子どもがいる、これは鳥取県にとっての大きな痛手ではないかと思い、このいじめ・不登校総合対策センターが生徒支援・教育相談センターという形で、また新たな視点で困り感のある子どもたちにしっかり寄り添って、子どもたちを守り支えていける、そういうふうな取組になればというふうに思い組織を変更するものです。

 ご理解のほどよろしくお願いしたいと思います。

 

質疑応答

◇記者

 公立学校教員を対象とした奨学金返還支援を復活したというふうにおっしゃいましたが、以前はいつまで実施されていたのでしょうか。

◆足羽教育長

 旧日本育英会の奨学金返還支援制度は1953年に制度がスタートし、1998年に廃止となっております。以前は鳥取県の教員となって10年間働けば奨学金返済免除となり、多くの人がその制度を活用しておりました。当時は教員人材が不足するということで教員を確保するための1つの政策としてスタートしましたが、その後に教員が溢れ出し、1998年ぐらいで打ち切りになっています。医師や看護師、薬剤師などは必要人材だということで国費が投入されますが、公務員である教員は国からの補助は全くないため、あえて県単独で作っていこうとするものです。これから教員不足も徐々に解消されていくだろうという予測は立ちますが、子どもの数がゼロになることはないため、しっかり教員を目指していただきたいという思いで制度を創設したものです。

 

 

◇記者

 学校運営支援専門員は何名配置するのでしょうか。また県内の学校をまんべんなく訪問するのでしょうか。

◆足羽教育長

 配置は1名で、校長を退職されたような方を会計年度任用職員としてお願いする予定にしております。基本的には小中学校を中心に、いじめ問題や不登校児童生徒の数が多い学校はある程度限られておりますので、そうした市町村や学校の要請に応じて課題を抱える学校を重点的に訪問していく予定にしております。

 

 

◇記者

 組織改正となる生徒支援・教育相談センターについて、人数など体制に変更はあるのでしょうか。

◆足羽教育長

 正職員の人数は変わりませんが、会計年度任用職員の学校運営支援専門員が1名加わり全体で9名となります。指導主事もこれまでどおりに配置し、そこに退職校長等の会計年度任用職員を加えることで、学校の組織体制づくりを支援してまいります。

 

 

◇記者

 公立学校教員を対象とした奨学金返還支援について、奨学金には様々な種類があると思いますが、県の奨学金制度が対象となるのでしょうか。

 ◆足羽教育長

 奨学金はいろいろな種類があり、無利子だったり有利子だったり経済状況によって違いがありますし、県の奨学金や日本学生支援機構といった準公的なものなど様々です。知事部局が実施している「鳥取県未来人材育成奨学金支援助成金」と同じ基準にする予定で、県の奨学金制度だけではなく日本学生支援機構の奨学金も入ってくると思います。国も大学院生を対象とした制度を創設しましたが、学部生への支援制度はございませんので、他県を参考にしながらこの制度を立ち上げました。

 

 

◇記者

 次世代の学び創造プロジェクトについて、対象校はどのように選定するのでしょうか。

◆足羽教育長

 課題意識を持ち、是非とも取り組んでみたい或いは取り組んでいただきたい学校を市町村教育委員会や教育局ともしっかり話をして指定をいたします。

 

 

◇記者

 自ら学ぶ力の育成を強化されていくものと思いますが、中学校段階で学校間格差が生じないのでしょうか。

◆足羽教育長

 これまでも多くの学校において「とっとり学力・学習状況調査」を活用しながら子どもたちの自己肯定感を高め、そして主体的、意欲的に学びを高めていくための取組を進めてきております。そこにプラスして、自由進度学習という新しい形に組織的に取り組んでいくことを付加していきますので、多少の温度差が出るかもしれないですが学校間格差に繋がらないような形で普遍化し、成果を広げていく形を想定しているものでございます。

 

 

◇記者

 校内サポート教室を小学校3校に新設ということですが、指定する学校は決まっているのでしょうか。

◆足羽教育長

 これから指定いたします。不登校の出現も地域性があり、市部と郡部とでは状況も違いますので、本当に必要度の高い学校にモデル的に配置をしていきたいと考えており、できれば将来的には市町村とも協力体制を組んでいけたらと考えております。現に米子市では、小学校での対応が大切ということで、独自に取り組んでいかれると伺っており、そこに県も支援をしながら、中学校に加え小学校にも広げていきたいと思っております。

 よく県教育委員会は県立学校、小中学校は市町村だとよく線引きをされますが、市町村の子どもたちはみな県の子どもですので、私たちも可能な範囲で学力やいじめ問題、不登校の課題など一緒に取り組んでまいります。私は意図していじめには問題、不登校は課題という使い分けをしています。不登校は問題ではなく不登校状態にあるという1つの課題で、解消に向けて市町村と一緒になって取り組んでいく必要がございます。子どもたちが学校の中でぶつかることによって相手を傷つけてしまうといったケースはこれまでもあり、今後もあると思いますが、そこで相手を認めるような人と人との繋がり、もっと言えば人の尊厳といったような部分を子どもたちに伝えることを意識し、取り組みを続けていかなければいけないと思っております。

 

 

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