2月26日(水)に米子市文化ホールで開催した「令和6年度 林業試験場研究成果報告会」へのご参加ありがとうございました。
研究成果報告会アンケートにていただいた成果報告の質問への回答します。また、限定公開している研究員による研究成果報告の動画は下記リンク先からご覧ください。
動画の公開につきましては3月12日(水)から公開予定としておりましたが、3月14日
(金)からとなりましたことをお詫び申し上げます。
【いただいた質問と回答】
≪鳥取県におけるナラ枯れ跡地の植生状況≫
No
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質問
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回答
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1
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コナラ林から常緑・広葉樹林への遷移過程にあるのでしょうか
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植生調査の結果より、県東部の調査地では常緑広葉樹林への遷移過程にあると考えられます。
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2
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被害跡地調査については、シカの食害を受けない箇所を設置して調査をしたらどうでしょうか
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既に、シカの食害の少ない県西部に調査地を設置しており、新たな設置は考えていません。いただいたご意見は、今後の研究の参考とさせていただきます。
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3
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(1)プロットを10m四方の赤枠とその四隅の1m四方の青枠に分けて調査したのはなぜでしょうか。また、(2)同じ標高でもプロットの取り方は無数にあると思うのですが、プロットの範囲決定は無作為なのか、何か基準があるのかどちらでしょうか。
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(1)稚樹は調査本数が多いと考え、調査範囲を限定することとし、さらに稚樹を踏み荒らさないよう、毎木調査を行う赤枠の外側に設置しました。
(2)プロット設定について、調査はナラ枯れの集団枯損箇所を対象としており、現地でナラ枯れと思われる枯損木の多い箇所を確認し、設置しました。
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4
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ナラ枯れの跡地の植生回復状況について、シカ害の影響はないのか?
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既往の研究より、シカ食害は植生回復を阻害するとされています。本調査では、生息密度が高いとされる県東中部において、シカの食痕を確認しており、下層植生の被度が低くなっているプロットが多く見られました。引き続き、ナラ枯れ跡地でのシカ食害が植生回復に及ぼす影響について、調査・分析を進めていきたいと考えています。
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5
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シカによる食害との関連性も調査してはどうか。
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既往の研究より、シカ食害は植生回復を阻害するとされています。本調査では、生息密度が高いとされる県東中部において、シカの食痕を確認しており、下層植生の被度が低くなっているプロットが多く見られました。引き続き、ナラ枯れ跡地でのシカ食害が植生回復に及ぼす影響について、調査・分析を進めていきたいと考えています。
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6
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ササ地の処理方法か高木性に移向させるには
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ご質問を以下のようにお受けし回答させていただきます。
(1)ササ地の処理方法はどうするのか。
(2)ナラ枯れ跡地を高木性樹種が優占する森林に移行させるにはどうすればよいか。
(1)ササ地の処理方法について、ササが広く分布する北海道では、皆伐後に、天然更新を促すため重機でササの根ごと掻き起しを行うことや、低コスト造林手法としてササを筋状に刈り払い植栽することが実施、検証されており、このような先行事例を参考にできると思います。
(2)他県において、30年に渡り天然更新の様子を観察した数少ない事例があり、その結果からは、競合植物の草丈ごとに、おおむね成林すると見込まれる稚樹の高さと成立本数の基準が示されています。その事例より、高木性樹種の更新には、一定数の稚樹が必要です。ただし、種子を供給する母樹の有無等はそれぞれ現地により異なることから、現地の状況に合わせ対策の検討が必要です。
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7
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ナラ枯れが抑えられている要因はなんですか?
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以下の複数の要因などが影響しているのではないかと思われます。
(1) 伐倒搬出や立木くん蒸、シート被覆、誘引捕殺等の防除効果。
(2)被害を受けやすいとされる高齢大径木がナラ枯れにより大量に枯損している。
(3)枯れにくいとされる穿入生存木が増えている。
※穿入生存木・・・枯死する原因となる病原菌を運ぶカシノナガキクイムシに穿入されても生存している木
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≪スギ材の利用用途を広める新技術の開発≫
No
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質問
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回答
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1
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液体では毛細管現象により深層への浸透が起こるのではと考えた。表面張力との関係があれば知りたい。
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液体浸漬では、晩材と早材の年輪境界で深部への浸透速度が速く、また個体によるばらつきも大きかったので、浸透深さの制御が出来ませんでした。エタノールや洗剤はさらに浸透速度が速かったので、表面張力が小さいと浸透能が大きいと考えます。
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2
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圧縮したあと、しばらく時間がたつと元に戻ったりしないのか。
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一定時間以上、ある程度以上の温度をかけ続けることで圧密変形を固定できます。今回の加工例(185℃180分)では、日常使いや多少の浸水では復圧(元に戻る)しませんが、浸透性の撥水塗料(ワックス)等の施用をお勧めします。
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3
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加工に要する費用は、材価(製品)の利益はどのくらいか。
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使用機械等で変動があるものの、試算では、加工費は人件費や原材料費を含めて2万円弱/m2でしたので、従来製品と同価格で販売する場合は利益は大きくなり得ます。
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4
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タオルの種類によって変わる点はあるのか
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タオルに期待する機能は保水性・透湿性ですので、厚みがあれば種類は問いません。200℃程度で溶ける素材でなければ良いと思います。
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5
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多量ロットでの作成は可能ですか?
従来の製品と比べて費用面、製品にするまでの時間はどうですか? 従来より安価で、できますか?
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当技術は上下熱盤等温で加工するので連続加工が可能です。このため従来技術に比べると、製造費等は安価に出来ると考えますが、使用機械の種類に影響されます。
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【研究成果報告の動画】
下記のURLをクリックすると動画が再生されます。
なお、本動画の内容には未発表の内容が含まれるため、本動画内容の再配布・転載等はご遠慮ください。
≪配信期間≫
令和7年3月13日(木)午後3時より配信開始
令和7年3月31日(月)午後5時に配信終了
≪内容≫
研究報告(1) 鳥取県におけるナラ枯れ跡地の植生状況
https://youtu.be/NklQE5u_I4Y
研究報告(2) スギ材の用途を拡げる新技術の開発
https://youtu.be/A4_a7sdFNRE