知事定例記者会見(2007年10月18日)

平成19年10月18日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

1 日程等について 

●知事

 皆さん、おはようございます。先般閉幕をいたしました「和牛博覧会inとっとり」にあたりましては、県民の皆さまから本当に絶大なご協力をいただき、また、ご来場いただきましたことを感謝を申し上げたいと思います。1,000人近いボランティアのご活躍ですとか、また、出品者の方々、関係者の方々のご努力、本当に敬意を表したいと思います。そういう中で、成績としてはですね、まだ上を目指さなければならない状況ではあったかとは思いますけれども、5部門で入賞を果たし、4頭、そして2群の入賞ということになりました。

 あまり報道のほうはなかったですが、今回、総合的なですね、県の努力に対する表彰が追加をされておりまして、そうした県の技術に対する評価をですね、6位ということで、これも入賞したわけであります。一応の成果はあったと思いますし、和牛登録協会のほうからは、「少ない頭数という中で、まずまずのご努力があった」というようなコメントもいただきました。今回のこの成果を糧といたしまして、総括をして、これからの和牛振興に向けたプログラムを作っていきたいというように思います。

 また、このたび27万2,000人のご来場をいただいたことは、これからの観光だとか、また、こうしたイベントを考える際にですね、大きな参考になると思います。やはり「食のみやこ鳥取」として、おいしいものがある、それは相当な魅力があるという印象を持ちました。今回もそういう観点でですね、ご来場いただいた方が多かったと思います。

 また、広域的に隠岐の牛突きにもご協力をいただきまして、実際にイベントの中でやっていただいたわけであります。鳥取県のイベントとしては異例のことだったかもしれませんけれども、こうしたかたちで地域が連携することが、集客力もあるイベントにつながったというようにも考えられるわけでありまして、これも大きな意味を持っているなというように思っております。

 それから、今日から子育て応援パスポートの募集をさせていただいております。18歳未満のお子さまをお持ちのご家庭、それから妊婦のおられる、妊娠中の方のご家庭におきまして、ご登録いただきますと、これから、11月18日からということになりますが、家庭の日からになりますけれども、新しい子育て応援のサービスを受けられるという制度が発足をいたします。

 地域を挙げて協賛店の方々のご協力をいただきながら応援していこう、子育てを支援していこう、そういう取り組みでありまして、いわば民間の皆さまの主体で私ども行政も一緒になって行う、連携型の子育て応援の仕組みでありまして、ぜひ多くの方にご利用いただきたいと思います。県、そして市町村の窓口で申請を受け付け始めたところであります。

 また、昨日は東京のほうにまいりまして、甘利明経済産業大臣から企業立地促進法の基本計画の同意をいただきました。これが昨日付けで発効いたしましたので、これからは産業集積に向けましていろいろとご支援ができる態勢がさらにできてきたと思います。こうした材料、従来のですね、地域資源活用だとか、経営革新だとか、県の制度融資、あるいは補助金などと合わせまして、さらに産業振興に加速をしていきたいというように考えております。

 最後に、JA鳥取西部でこのたび着服の事案が数件発生をいたしまして、それが昨日発表されました。かねて県のほうもこれには指導をさせてはいただいておりましたけれども、この機会にきちんと報告を、聴取をするように、今、担当のほうに指示をさせていただきました。再発がないようにJA鳥取西部のほうに徹底をして、実際その[JA鳥取]西部側の取り組みを聞いて、必要に応じた行政処分も視野に入れながら、これから対応するようにという指導をさせていただいております。私のほうからは以上です。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 それでは各社、どうぞ。



2 来年度の当初予算について 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 予算編成作業が始まりましたけれども、知事にとって来年度の当初予算というのは初めての本格的な予算になるかなと思うんですけれども、その辺の意気込みといいますか、どういった分野に力を入れていきたいかということをお聞きしたいんですけれども。


●知事

 私は次世代改革を掲げて新しい時代を鳥取に切り開きたいと思い、この県政を担わせていただいたわけであります。その県民の負託に応えられるように、これはホームランがすぐにですね、出るようなものではないかもしれませんが、コツコツと施策をですね、積み上げていけるようにしたいと思います。

 正直申し上げて、あまり財政状況はですね、見通しが明るいとは思いませんし、今、税収の状況が経済を反映して芳しくないというのは事実であります。ただ、そういう中で、節約をしたり、無理や無駄を減らしながら何とか財源を捻出をいたしまして、目に見えるかたちの施策を適用していきたいと思います。

 重点的な分野というのは、産業関係は一つでありますし、それから福祉の関係、あるいはメタボリックをはじめとした健康づくりの関係、子どもたちの教育、子育てといった問題、それから、できればですね、国のほうにきちんと訴えかけをして、これからの骨格となるようなハイウェイ整備をはじめとした地域の基盤づくりにも、きちんとした予算を付けていけるように目指していきたいと思います。

 これからですね、今ちょうど具体的な編成作業が始まったばかりでありまして、私も各部の意見、提言をですね、予算編成の過程の中でも聞いていきたいと思っております。最終的に積み上げていって、2月にご公表申し上げるということになろうかと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 財源が相当苦しいといいますか、法人事業税も例のごとしで、国のほうでは法人事業税を地方に回そうかという話もあるようなんですけれども、新しい財源として何か考えるようなことってございますか。


●知事

 新しい財源として、まず手元のことで言えば、私は、実は部局のほうに指示をいたしておりますのは、県の持てる財産を、整理できるものは整理していこうという指示をいたしております。いろんな手法があると思いますけれども、単純に売却するような手法もあると思いますし、あるいは東京の「えびす会館」のようにですね、売却という選択肢もあれば、あるいはPFIのようにして、一定の収益を上げながら、そして県としても使用し続けるというような手法があるかどうか、そういうことも考えるように今、検討を指示をいたしております。

 ネーミングライツだとか広告料収入などもですね、積極的に取っていくべきだと思いますし、販売の手法としても、Yahoo!オークションのような従来やっていない手法も比較検討するように、これも指示をいたしております。今、そこらを検討してくださっていると思いますが、いずれまたお知らせする機会ができようかと思います。

 あと、大きな財源の話で申し上げますと、今、太田[記者]さんのほうからお話がありました、法人二税を地方のほうに大都市部から移転をすると、再配分をやり直すという、そういう構想が今、報道されているわけであります。私は、この構想には懐疑的であります。

 ちょっと意外に思うかもしれませんが、大体ワイドショー的にはですね、田舎の県が喜んで、大都市が、石原[都知事]さんが怒るという、こういう構図なのかもしれませんけれども、私はややトリッキーな気がいたしておりまして、簡単にこの話に乗るべきではないのではないかと。これはもちろん知事さんによってですね、各県でいろいろとご意見はあろうかと思います。ただ私は懐疑的であります。

 その理由はですね、一つは税の体系として何がふさわしいかという議論ではないという感覚を持っております。本来、地方税、特に県の税金としてどういう体系がいいかと言えば、住民サービスは年々きちんきちんと提供しなければならないわけでありまして、あまり年ごとに変動がないほうがいいわけであります。また、東京都と鳥取県や長崎県、沖縄県といったようなところとが格差がないように、偏在性が少ないような、そういう税にしなければならないと思います。法人税はどうしても限界があると思います。

 ただ、現実の県税の体系は、法人税が大宗を占めていると言っていい体系になっておりまして、この構造に本来はメスを入れるべきだと思います。ですから、法人課税と消費税、我々で言えば地方消費税等を国と入れ替える。さらには交付税、三位一体のときに私はごまかされたと思っていますので、その分を取り戻すぐらい消費税の税率のほうをですね、上げて、法人課税のほうは国に渡す分を減らすとかですね、また、交付税の調整分をきちんと確保するとか、その辺をトータルにやるのが本来ではないかと思います。

 現在の法人二税だけで調整をしようという考え方は、一見すると私どもにとっていい具合に見えますけれども、長い目で見たときに、いずれ法人課税による調整は限界がありますし、やはり消費課税などの、もっと地方税にふさわしい税収体系に切り替えていくべきだろうと思います。今これだけ地域間格差が広がっているので、こうした議論をするには絶好のチャンスじゃないかと思いますので、私はむしろ、そちらのほうを主張するべきではないかと、地方側の立場としては主張すべきではないかと思います。

 昨日も大阪府の太田知事がですね、経[済]産[業]省の甘利大臣に、法人二税の調整については私たちは絶対に反対だと言っていました。それはおそらく大都市部の知事さん方のご意見だろうと思います。結果的には、その部分は私も同じ考えであるかなと思いながら伺っておりました。



3 議員報酬の見直しについて 

○日本海新聞 村上俊夫 記者

 その予算編成に関連してですけれども、今、議会のほうでですね、議員の報酬の見直しが始まっています。特例条例が3月末で切れると、そういうことですから、検討に着手する時期としてはいいのだろうというふうに思うんですが、これまで算定の基準が明確でないということで、積み上げ方式を採るという考え方が基本的には打ち出されていてですね、部長相当職の給与を生活給として確保した上で、議員活動に伴う対価の部分をそれに上乗せしようという考え方ですけれども、古い話ですけれども、国の、まだ自治省時代の次官通達だとかですね、局長内簡だとかいうことで、部長級の給与を目途に決めるのが適当ですという見解が出ているんですが、それは全体としてそこまでであってですね、今回の県議会の検討の方向というのは、いわばそれに新たな上乗せをしようというふうに受け取れるんですけれども、もう古い話ですし、今拘束されるものではないわけですけれども、旧自治省が示されてきた見解について、どうお考えになるか。それから今の県議会の検討の方向について、どうお考えになるか。ちょっとお聞かせください。


●知事

 基本的な考え方を申し上げれば、今、議会のほうで検討がされるんでしょうから、それをまずは見守らせていただきたいと思います。それで、今のお話の、かつての次官通知ですか、内簡か何かだと思いますけれども、それは部長級の給与を、確かに基準として議会の報酬を定めるようにということだったと思いますが、その通達の効力はそんなには私は重いものだとは思いません。当時の事情で出されたものだろうと思います。

 ただ、その部長級の給与といった場合に生活給だけでもないと思います。おそらく部長としての職務に応じた階級クラスとしての給料なんかも入っているわけでありますから、それが生活給で全部かということでもないと思いますんで、ちょっとそこのロジックが今一つよく分からないところがあります。

 それで、今議会のほうで議論をされておりますけれども、私は去年の2月議会にいなかったので詳しいことはよく分からないのですが、結局知事部局側とそれから議会側とでそれぞれが説明責任を果たしながら、報酬の体系を提案する仕組みに変えたというように、私は伺ったところであります。ですから、議会側できちんと説明責任を果たしていただきたいというのが本意でありますけれども、ぜひご考慮いただきたいと思いますのは、県民の重要な付託を受けて私ども特別職の公務員というのはあるわけでありまして、住民の皆さまのご理解なくして仕事をすることはできないと思います。

 ですから、私のほうの知事部局のほうで言えば、知事の給料は私は片山[前知事]さんより7%安い給料になっているわけでございまして、それは第三者の委員会で答申があってそれに基づいて決めたというように伺っております。後任者は7%ほど能力が少ないという意味だったのかはよく分かりませんが、ともかく7%下げているという現実がありますが、それは第三者の意見でそれに従ったということだと思います。

 今回の議論の推移を見ていますと、最初にとにかく議論を振り出す意味で、たたき台として示されたのだろうと私は聞いておりますが、世情の受け止めとして議会が自分で給料を決めるのかという意識が、非常に強いように思います。私はむしろお手盛り的な批判の無いような報酬体系の定め方をぜひ検討されるべきだと思います。

 積み上げ方式がすべてだと思いません。先ほどの次官通知の話でいえば、それは今記者がおっしゃったように、それはそこまでという通知でありましたし、今のと似ているようで似ていない気もいたします。ただ、報酬体系は結局他県との比較だとか、それから他の役職と比較という要素は非常に強いものだろうと本来は思います。

 なぜかといいますと、公職として選挙で選出をする前提で報酬というのを決めるものでありますから、そこに他県と比べてあまり差がありますと優秀な人材が集まらないということになっても、結果として損失もありますので、一定の報酬は当然必要だと思いますが、他県との均衡だとかそのときのさまざまな事情だとか、これを考慮して決めるべきだと思います。手法としてはおそらくそういうふうにやっているのだと思いますが、有識者の皆さんとか第三者の目できちんと検証をしてもらって決めていくという手続きを私は取っていただきたいと思います。

 最終的には議会のほうで議員提案をするというのが、今回2月に定められた条例の仕組みなんです。そういうふうに伺いましたが、そういう仕組みになっているそうでありまして、条例自体は議会側から出てくるということになると思います。私のほうで、知事部局で例えば知事の報酬を決めるのであれば知事のほうで提案をして議会のご審査を経て、そこで否決されるか可決されるかというプロセスでありますが、議会のほうは議会でご自身で提案をされて議決をされるということになります。

 私は、ただ、ここは最後の徳俵はあるわけでありまして、拒否権の発動という県民の付託に基づく権限も有しているわけでありますから、議会側からのご説明を最終的にはお伺いして拒否権を発動するということが最後の担保だと思いますので、それで実際にどういう条例が出てくるのか注目をしながら最終的に私のほうは判断をしていくということだろうと思います。その前段階としても、予算の段階でもいろいろな話は聞けるのだろうと思いますし、私どもも予算編成をしなければなりませんので、これからの議会のご検討に注目をいたしたいと思います。ぜひ、県民のご期待に添えるような検討をしていただきたいと思っております。


○日本海新聞 村上俊夫 記者

 今言われた拒否権というのは、議会発議で提案された条例可決された場合の拒否権という意味ですよね。


●知事

 はい、チェックアンドバランスですから、僕もなぜ2月に知事部局側と議会側と分けたのか詳しい経緯は存知ません。多分、片山知事の時代にいろいろと議会側とのやりとりがあったんだろうと思います。それまでは、知事部局のほうで全部特別職の報酬はまとめて審議会など第三者の答申に基づいてそのまま出していたというのがこれまでのやり方だったと思いますが、それぞれで説明責任を果たそうという、ある意味そういうデモクラシーの考え方でやられたのではないかと思います。それは尊重して、まずは今回報酬改定に向かったらいいと思います。

 そのときに、知事部局のほうが何もしないのかということになるわけですが、最終的にはそういう伝家の宝刀もあるわけでありまして、私どもとしても注目をさせていただきたいというところだろうと思います。


○日本海新聞 村上俊夫 記者

 言われたようにその前段で仮に条例提案をするというかたちになったときには、議会側から予算要求も上がってくるでしょうし、それならば。しかし、議会側には予算の調整権はないわけですから、そこのところでどういう議会と知事との間でやりとりがあるのかという2つの関門があるのだろうと思います。


●知事

 最終的には議決の段階だろうと思います。私は選良として議員の皆さまも良識ある検討をしていただけると期待しています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 拒否権の発動というのは、言葉だけ見るとすごいなと思いまして、ただこれが一人歩きしちゃうとまた怖いなと思うところがあります。


●知事

 これは最終的に、先ほど申し上げたのは知事部局の報酬のほうであれば知事のほうで提案して議会がチェックしますと、議会のほうは自分たちで提案して自分たちが決めるのかというとそうではないと。最終的には県民の代表である知事のほうで伝家の宝刀を抜くということも制度としてはあるわけですから、そういう意味で私どものほうでも注目をして、どういう検討があるか見ていく必要があるだろうということです。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 結局、議会に対する、県民の納得いかないようなことをするなよというけん制球かなと思ったのですけれども。


●知事

 ご想像にお任せします。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 どの辺りが知事としては線引きを考えておられるかということを聞いてもきっとまだ言えないでしょうね。


●知事

 いろいろな事情を考えていただきたいと思います。先ほど申しましたように、通常は他県とのバランスだとか、あるいは実際民間の状況なんかもありましょうし、県の職員の給与、それは県特別職の我々の三役の給与もありますけども、いろいろな指標はあるだろうと思います。

 ちなみに私は7%前任者よりカットされておりますし、今回職員のほうは人事委員会勧告によりまして全国でも異例ではありますが、凍結、若干引き下げという含みのそういう勧告になっているわけであります。財政事情はあまりいい状況ではないというのは先刻申し上げていたとおりでありまして、いろいろな材料をご判断の中に入れていただいてやっていただきたいと思います。



4 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について及び鳥取三洋電機への支援について 

○NHK 三浦太一 記者

 2点お伺いしたいのですが。人権条例についてなんですが、今日の午後検討委員会が設けられていると思うのですが、現時点での知事の考え、スタンスをお伺いしたいのと、別の話なのですが、昨日産業立地の同意を得ましたけれども、そうした中、先週鳥取三洋の動きもありました。それについて、今後の地域振興、産業振興についての知事のスタンス2点を。


●知事

 [鳥取県]人権[侵害救済推進及び手続に関する]条例については、私はまだ最終的な報告を受けていません。これは前任のころから引き継いでいる話だろうと思っておりまして、第三者的な検討を、学術的にもいろいろな方々の意見を聞いて進めていく必要があるだろうということでありますが。あえて口はさし挟まずに、その踏襲を見守っています。まだこれが出てきているわけではないんで、今どうするってことはありません。受け止めた後で、じゃあ私どもとして、どういう条例化の検討をするかということを考えていきたいと思います。今はまだ、そういう意味で特段の考えはありません。

 それから、2つ目の鳥取三洋[電機]の件でありますけれども。これは11月の末に、会社のほうで、新たな企業としての収益の柱を立てていく、そのプランを示したいと言っておりまして、これは全く企業経営上の問題でありますので、それを待つほかはないだろうと思います。

 ただ、昨日の同意を得ました基本計画のツールが、今度できておりますので、あの基本計画に書いてあることから、例えば新しい鳥取三洋電機が、新しい業務展開をすると。それで雇用をしっかりと守るんだというようなことであれば、私どものほうの基本計画などで書いてあることも、修正すべきことは修正をして、速やかにそうした応援ができるようにする必要があるだろうと思います。

 鳥取三洋電機は、生産面で非常にシェアの高い、県内でもシェアの高いものでありますし、雇用に及ぼす影響も大きいと思っております。ですから私どもとしては、昨日の企業立地促進法のツールも最大限活用して、支援をしていくという方針で臨みたいと思っております。


○山陰放送 山本収 記者

 鳥取三洋の件なんですけれども、携帯電話の製造だけでなく、開発の部分に関しても、かなり高い技術を持っているわけなんですが。その専門家の中からは、三洋本体との話し合いもそうだけれども、今回売却の対象としなかった京セラに対しても、自治体側からアピールしていく必要があるんじゃないかという意見もあるわけなんですが、そのあたりについては、知事はどのようにお考えですか。


●知事

 そのご意見の趣旨は、ちょっと私もよく分からないです。直接聞いたわけじゃないんで。何とも言えないとこもありますけれども。京セラのほうに売却をされるということであって、鳥取三洋のほうから携帯電話が、直ちにかどうか分かりませんが、いずれ撤退していくという方向になるんだろうと思いますね、今回の基本合意に基づけば。京セラがこちらの設備を使って生産するということが、本当にあるかどうか。そこは私も今ちょっと想像できません。どちらかというと、今こちらにある経営資源をほかに投入しようというのが、三洋電機の考え方かなと思いますが。そこは企業内の問題なので分かりません。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 鳥取三洋の関係で、地域経済に及ぼす影響が非常に大きいということで、県も支援、応援ということは、知事も議会答弁も含めておっしゃっておられますけども。今考えられるものとして、11月のプランが出てこないと、なかなかはっきりしたことは分からないですけど、どういう分野での支援というものですね、行政でできるというふうに今、お考えなんでしょうか。


●知事

 ここはちょっと想像の域にしかなりません。どういう戦略で鳥取三洋[電機]さんが臨まれるかということだと思います。例えば新しい事業展開をしようということで、設備投資を考えられる。それによって雇用を支えられると、あるいは雇用を増やすということであれば、それは私どもの従来持っている支援のやり方、いろいろございますので、一部要綱など手直しをしながら活用する余地は、私はあるだろうと思っております。

 あるいは技術開発などで、私どもの産業技術センターなど活用していただける余地があるんであれば、そういうところを活用していただくことも可能かもしれませんし。そこは、これからの11月末の発表後の鳥取三洋からの説明があると思いますので、それを待ちたいと思います。



5 神奈川県の多選禁止条例について 

○読売新聞 北島夏記 記者

 神奈川県が多選禁止条例をこの間可決しましたけれども、この件について、知事のどういったお考えをお持ちか。それから、条例で多選を制限するということ自体の是非。それからそれに対するお考えを伺いたいです。


●知事

 私は、本来は何選するかっていうことは、有権者の選択に任せられるべきことだというように考えてきました。なぜなら、民主主義でございますので、どの人を選びたいかというのは、どちらかというと有権者の権利の話なんだろうと思いますので。それを制度的に封じることが必要なのかどうか。併せて考えれば、最近の不祥事なんかでも、宮崎[県]の前の知事さんの事案など、1期とか2期とかいう、多選でない段階でも腐敗は起こる時は起こるということはありますので、そうすれば必ずしも、多選イコール腐敗という構図は成り立たないように思ってました。

 ただ、最近になっていろんな議論も、その理由は分からなくもないです。アメリカで生活をしておりましたので、大体ある一定の時期がくると、これは別に知事職に限らないんですけども、多選を制限するというのは、結構一般的にとられてますし、どちらかというと広がってくる傾向にあります。腐敗のことだけでなくて、むしろ空気を入れ替えることで、政治の活力をもたらそうという積極的な意味も、本当はあるんではないかというようにも考えます。

 ですから、国のほうで今、法律改正をしようという動きになっていますので、その法律改正の結果を見て、私はこのことは改めて考えてみたいなと。少し意見を修正させていただいております。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 それを法律的による仕組みづくりをするという動きも出始めてますが、条例じゃなくて、法律による定めというのを知事はどういうふうに受け止められますか。


●知事

 これはもともと、ちょっと法的には私は、多選制限は議論はあると思います。職業選択の自由のことだけでなくて、憲法上、公選職に対して任期制限はありますが、何期務めたら終わりという制限までは、設けられていないわけでありますから、ここはその趣旨をどう考えるかということだと思うんです。おそらく憲法の立案に当たって、ここは自由に自治体で定めていいよという意思であったかどうか。

 私は必ずしもそうではなくて、むしろ戦前の官僚主義から民主主義へと転換する過程で、こういう任期の問題、それから期数の問題、これはすべて基本は法律で定めるけれども、あとは有権者の選択に任せるというのが、民主主義的な考え方だという思想に立ったものだと思っております。ですから、単純に任期制限をかけることが合法かどうかというのは、議論の余地はあるだろうと思います。そういう意味で、立法化によってそこの整理を明確にされるということの意義は私は大きいだろうと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 大きいというのは、良いという意味ですか、悪いという意味ですか。


●知事

 それを可能かどうかを、今やってるんだと思いますんで。それを、任期はこういうことで、ルールを定めようということであれば、それはあり得ることだろうと思います。ただ、その際に、今の検討の方向は、条例で最終的には自治体のほうで決めなさいということになるんじゃないかと思うんですけどね。そういうことであれば、あんまり自治権の制限にはならないだろうと思いますし。一つの立法論としては、肯定できるだろうと思います。

 今回の神奈川県の条例の議論を見ててもね、条例自体は通ってますけども、法律の発効がなければ動かない仕組みになっていまして、一体これは何なのかなと思わないものでもないと思います。松沢知事の強いご主張で、ご意見で、その情熱でああいう条例が実現したということで、それは一つの政治の在り方として評価できると思いますけれども。ただ、立法的な効果としては、あまり分からないところがありますんで。

 まずは法律について国全体で議論をする。その動向をきちんと見て、自分なりに謙虚に考えて、法律が通った後、条例でどう向かうか、それを考えたいと思います。



6 アシアナ航空関連について 

○毎日新聞 山下貴史 記者

 アシアナの関連で、議会開会中の企画土木常任委員会で、複数の県議の方が、10月31日に知事がキム・ジンソン知事と境港でお会いされると思うんですが。それまで待たずに、すぐにでもスケジュールを取って、韓国に飛ぶべきだというような意見が出ていたんですが、その批判については、知事はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。


●知事

 そのご意見があったこと、担当から伺いました。実は江原道のほうにスケジュールのことだとか、その可能性のことなど、探りを入れるといいますか、状況を聞かせましたけれども先方も大変お忙しくていらっしゃって、ちょっと実現性は難しいだろうと思いました。むしろ、10月31日になるか、とにかく会期中に一度キム・ジンソン知事としっかりと話をする時間を取りたいと思います。

 先般、民団の皆さまともお話をしました。議会終わって直ちに面談させていただきまして、民団のほうにも江原道との交流復活について協力してほしいということを申し上げました。民団の皆さまもキム・ジンソン知事と会っていただける、そういうチャンスを考えていただけるんではないかと思っております。それは私どもも積極的に協力をしたいと思っております。そういうことで、その会議まで、こちらから韓国にお伺いをするというのは、スケジュール上の問題として、難しいというふうに認識しています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 日程は決まっていますか。北東アジア地方政府サミットの。


●知事

 今まだ調整中だと思います。今の情報では江原道からキム・ジンソン知事、それからモンゴル中央県の知事だけでなく、吉林省は副省長になるのではないかと言っておりましたが、ロシアは当初の予定から変わりまして、ダリキン知事が直接来るということになってまいりました。私も実は、外務省のロシア関係者を通じてウラジオストックからも働きかけていただきまして、知事ご本人が今回来られるという、今、話になっております。これからまだ、きちんと確定するかどうかはよく見てみないとならないと思いますが、いろいろな意味で流動的でして、まだ最終確定に至っていません。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 その中で、各県知事と知事同士の会談というようなものはあるんですか。


●知事

 それはやりたいと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 アシアナの関連で、議会中の答弁でも、10月からの経緯を見守った上で、県民の声とかを聞きながら判断していきたいというふうにおっしゃっていたのですけれども、県民の声を集約する方法は具体的にはどのように考えていらっしゃるのかというのが。


●知事

 それは、いろいろといろいろな方のご意見を聞きながらということだと思います。特にパブリックコメントをするとか、そういうたぐいの話ではないだろうと思っております。これは二方面作戦でありまして、アシアナ[航空]との交渉ということも片方でなければならないと思っております。

 議会が終わってすぐに、アシアナ[航空]のヒョン本部長のほうに面談をさせていただきまして、先般終了しました9月議会での議論だとか、県民の方のご意見だとか、あるいは報道されているいろいろなご意見だとかをすべてアシアナ[航空]のほうにもお伝えをしております。そして、私どもとしては、運行を継続するということで搭乗率を上げていきたいと、アシアナ[航空]からも当然協力してほしいというお話を申し上げましたし、今後来年度以降どうするかという協議も始まるでしょうから、それについても、こうした県内の意見にも配慮してもらいたいということも申し上げました。

 あと合わせて、最近ちょっとトラブルになっていまして、修学旅行の機材繰りでアシアナ[航空]が適切に機材を振り向けることができなかったということについては、厳重に抗議いたしまして、アシアナ[航空]はその点は謝罪をしていました。そういうわけで、アシアナ[航空]側とのいろいろな折衝もこれからやっていかなければなりません。

 あともう一つは、実際搭乗率の状況を見たり、県民の皆さんのご意見を聞いたりと、県内のほうでの状況把握だとか判断が必要でありまして、そういう二方面での検討が必要だろうと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 それに関して、一言言っておきたいのですけれども、情報公開をきっちりしてほしいということなんですけれども。この前知事がアシアナ航空に行かれたあとに、どうして知事はアシアナ航空に行かれたんですかと担当課に聞いたら、ただ、議会が終わったのであいさつに行きましたということだったんです。よく聞くとその修学旅行のことがあったらしいですね。


●知事

 ありました。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 なんで、そういう情報公開をしてくれないのか。


●知事

 それは正したいと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 やはり、こういう問題ですから、ちゃんとそういうこと、いいこともまずいことも情報公開してくれないと。


●知事

 もちろん、あいさつはあります。こんにちはと。あいさつはありますけれども、あいさつだけでなくて、当然議会が終わって直後のことでありますから。私としては、県民の代表として、県内のいろいろな人の考え方を率直にアシアナ[航空]に伝える必要があると思いました。そういう意味でお伺いをしたわけでありまして、アシアナ[航空]もその事情はよく分かってくれたと思います。今の情報公開の面で、皆さんに、問い合わせがあったときですか。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 個々に聞きに、僕が聞きに行ったらそういうことだったので、僕らは一緒に行っているわけではないので、どういう話をしておられるのか分かりませんが。今の話のように修学旅行で機材繰りしていなかった話なんて、今回の話としては意味があると思うんです。


●知事

 その対応については、厳しく担当課のほうに話をしたいと思いますし、今後もしそういうことがあれば、またご指摘いただきたいと思います。



7 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について(再質問) 

○共同通信 宮沢大志 記者

 人権条例なんですが、先ほど議会の検討を受け止めた後考えていきたいとおっしゃられたのですが、今日は意見書ほぼまとまって、近々知事に提出されると思うんですけれども、スタンスとしては、受けた後いろいろと考えられると思うんですが、今後の県としてのさらなる検討が必要だと思うんで、作業の予定とか見通しとか何かお考えがありますか。


●知事

 これはまだ、きちんと中でも議論していません。正直申し上げて今は検討結果を待っている段階でして、本当に、うちのほうで受け止めたあとの議論はあまりしていないのですが、私のイメージとしては、拙速にわたる必要はないだろうと思っています。特に人権の問題でありますので、慎重な検討を要する分野もあると思いますので、今もらったからすぐに12月議会へ提出するとか、そういうマターではないと認識をいたしております。

 国のほうが人権に関する法律をどうするかということもこれは大きく関係しますので、国のほうがどういう状況にあるかを把握したり、また私どもで検討委員会のご意見の趣旨をよく確認をしてみないといけないこともあると思いますし、また、立法論的に必要なこともあると思いますし。

 今ちょっとお伺いしている、報道されている感じでは、選択肢がいくつかあるんですか、そういうことになるとちょっとどうしても時間がかかると思います。そういう意味ではすぐに条例を挙げて12月でということではないと思っております。



8 ふるさと納税について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 ふるさと納税についてお尋ねします。今の国会がどうなるか分かりませんけれども、前向きに取り組んでいくような報告書も出たりして、今後検討は進んでいくと思いますが、具体的に導入された場合、平井知事はどんな仕組みで、どういった方面にアプローチをして、難しいと思いますが、いくらぐらいの収入を目指してというようなことを今お考えか、具体的に庁内でどういう取り組みを指示されているのかがあったら、その辺の展望とか現状を教えてください。


●知事

 私は、まだ取らぬ狸の皮算用になると思いますので、実際に法律として税法が通らないと実現しないことでありますので、最終的にはそのときにきちんと考えたいと思いますけれども。多くの県のゆかりの方にふるさと納税の趣旨はPRをする必要があると思います。

 併せて、私どものほうでもふるさと納税として送られてくる寄付金に、今の案だとなると思いますが、寄付金として送られてきたものがこういう目的で使いますよと、皆さんにも安心していただけるような基金のような仕組みを考えて受け入れていくと、その中からそれに応じた款項目もございますので、予算のほうへ充当替えさせていただくと、そういう意味では使途を明確化して、分かりやすいかたちで寄付者の方に見えるようにすることは必要だろうと思いますので、その意味の検討はいずれ部局のほうに指示をしようかと思っておりました。

 あと、呼びかけのほうも東京事務所とか名古屋事務所、大阪事務所など、そういうところで呼びかけをいろいろなかたちでしていくということも指示をしようかと考えておりました。

 いくらぐらいになるかはスキームによると思います。今の総務省の案ですと、私どもが5県で提案したものと微妙に少し違うところがあるのは、5,000円先ず基礎控除があります。ですから、5,000円の分はすぐに減税にならない部分でありますので、ハードルがちょっと高くなったかなと思います。どれほどこの制度が普及するか見なければいけないと思いますが、1億いくかどうかぐらいが本音のところではないかと思います。できるだけご協力を呼びかけるにしても、制度的には限界のある部分だろうと思います。



9 知事就任から半年を振り返って 

○日本海新聞 小谷和之 記者

 知事就任から半年経過したんですけれども、この半年間を振り返ってみられて、ご自身なりの評価、その改革が多少なりとも、評価の面で反省点があるとするならばどういったとこなのか、ちょっと挙げていただけないでしょうか。


●知事

 評価は自分で言うのは、はばかられますんでぜひ皆さまのほうでご評価いただいて、それを私も反省材料にしてまいりたいと思います。私はここ半年間やってみて、ある程度従来とはスタイルの変わったことは進みつつあるかなと思います。

 例えば、私は連携ということをひとつ重視させていただこうということでスタイルとして導入しようとやってきました。これまでも、隣の島根県とか、今日も子育て応援パスポート導入されますが、島根と相互乗り入れ方式でやるということになっておりますが、そうした島根県とか兵庫[県]、京都[府]の山陰ブロックのほうと、こういうところと知事同士の話し合いをもったり、いろいろと従来とはちょっと違った連携の仕方が生まれつつあるかなと思っています。

 併せて、近々また開催しようとお互い話し合っていますが、5県で、同じ地方部で志を共にして地域間格差を跳ね返そうという、また別の地域、同じような境遇にあるところの地域同士で連携をしていく、そういう提案のスタイルも始めることができたと思っております。こうした地域間の連携なども新しいスタイルとしては、半年間やってみて少し違いはでてきたかなと思っております。

 できれば、さらに近畿との結び付きがこれから強くなると思いますので、特に鳥取自動車道が開通が見えてきます。和牛博も終われば次は鳥取・因幡の祭典が大きなイベントになってまいりますが、この鳥取自動車道からさらに山陰自動車道へとつながってくることで、だいぶ大きな経済、社会、生活上のインパクトがあると思います。そういう交流のことも考えれば、この間京都、兵庫と初めて3県の知事会議をやりましたが、もっと近畿と付き合ってもいいかなというふうに思います。

 近畿の知事会という組織もあるわけでありますので、そうした近畿知事会と連携していくというか、あるいは中に入り込んでいけるかどうか、そういうことも私は考えてもいいかなと、今感想としては持っています。

 それは今、実は中国ブロックと近畿ブロックで国土づくりみたいなものでありますが、国[土]交[通]省の地方整備局が窓口となってやっておりまして、全体の計画を取りまとめようと、かつての全総[全国総合開発計画]のようなことをやっております。鳥取県は近畿のほうにも入っております。そういう意味では近畿の目線というものですね、中国の目線だけでなくて、もっと強めていっていいかなというように思います。そうした連携を強めてきたというのが一つあると思います。

 県内でも行政とですね、民間の皆さんとが一緒になってする仕組みづくりを模索中でありまして、商工関係でキャビネットをこしらえさせていただきまして、そこで出てくる意見を、これは丹念にですね、政策化したり、実行していくようにしていきたいというように考えております。これから将来ビジョンをこしらえようとしていますが、これも、さまざまな方のですね、意見を求めるように部局のほうには指示をしておりまして、従来とちょっと違った仕事ができるかなと思っています。

 タウンミーティングをやってみようと思っておりまして、東部、中部、西部でやろうとしておりますし、例えば東京のほうに出ていった若い人たち、学生さんのですね、意見を聞くような場を作るように、東京事務所のほうで設けてもらうなどしておりましてですね、いろんな方の意見が、その県政の中に投影されてくるように、連携を重視してやっていきたいと思っております。

 ボランティア的な活動もですね、推進することをこれからは強化したいと思っていまして、河川の維持管理だとかいろんなテーマがあると思いますので、そういうこともさらに来年度に向けて具体化していきたいと思っておりますが、その端緒も表れてきていると思います。

 それから、産業面で言えば、私なりに企業誘致だとか、企業の活動を活発化するように、経済界、あるいはJAの関係者、あるいは林業の関係者など、いろいろと意見交換の機会を持たさせていただいて施策化につなげようとしてきております。企業誘致なども、トップとしても機敏に動くようにしたいと事務方のほうにも言っておりまして、まだ未成熟な段階からですね、アタックに行くようにいたしました。徐々にこういう成果が出てくればなあというふうに期待をしております。

 それから、福祉の観点でもですね、障害者自立支援法など、国策にちょっと無理があるようなことは、どうも去年まではあまり国に対して明確に言っていなかったように思いますが、私は、そこは毅然として国に制度改正を求めるようにしてきておりますし、特別医療費助成制度も、もちろんご意見はまだある部分があるかと思いますが、去年の案よりも随分負担を緩和して、実際に生活に支障がないような方法での導入を目指させていただいたり、自分なりの仕事はしてきたかなと思っております。

 次は、これから子育て支援とか、応援パスポートが始まりますが、そうしたこととか、あるいはメタボリック対策のための健康文化づくりだとかですね、また、高齢者の方などが生き生きとして暮らせるような仕組みづくりなど、今も次世代改革推進本部で議論をしてもらってますが、具体的な施策につなげていきたいと思っております。

 子どもたちの学力の向上についても、マニフェストに書かせていただきました学力向上の委員会を作りまして、実際、学校の現場が活性化してですね、子どもたちが伸び伸びと成長できるような仕組みを作っていきたいと思います。スーパーティーチャーのような方を活用するなども、これからやっていきたいと思っておりまして、そういう議論も始まったところであります。

 それから地域づくりの観点で言えば、国のほうに道路整備の働きかけをいろいろとやってまいりましてですね、選挙前は山陰道10年っていうのをスローガンのように言って、ちょっと無理かな、難しいかなと思っていましたけども、最近はですね、だんだんと国のほうへの訴えかけの手応えも感じるようになってまいりました。冬柴国[土]交[通]大臣が、先般から会議で山陰自動車道なんかは重視すべき課題だというように言ってくれているそうでありまして、それなりの手応えも出てきているかなというように思っております。

 この件はですね、5県の知事会議でも取り上げてもらいたいと今、働きかけをしておりまして、私どものように道路整備が遅れたところが地域間格差をはね返す基盤としてハイウェイの実現に向かえるような、そういう国の取り組みを促すように、これは他県と連携してやっていきたいと思っております。

 県庁の中の改革も進めてきておりまして、来年度からは工程表をですね、導入できるように、これも指示をいたしております。従来、ミッションというかたちで、それぞれの部局が自分たちのミッションを持ってですね、それに取り組んでいくということでありまして、あまりこれが評価をするに難しい部分があったと思います。

 また、いつまでに何をするかということが明確でないという部分がありましたので、私はその工程表を作って、期限も明示をしながら、外の人にも見えるようなかたちで公開をして、行政評価ではないですが、行政評価的な手法になるのではないかと思っているものを今、鳥取県独自で編み出そうとしております。これは行政経営の品質を高めようという、そういう取り組みでありまして、これも今、具体化をしてきていると思います。考え方はもう既に一部示せると思いますが。

 それからあと、県庁職員がですね、県民の方にきちんとコミュニケーションが取れるようにということで、「Do(ドゥ)プロジェクト」というのを職員の提案に基づいて始めました。正直、職員の皆さんにもいろいろ戸惑いはあるかと思いますが、そんなにあいさつ一つぐらいで時間の節約うんぬんということはないのでないかなと自分は思いますが、だんだんとですね、こういうことを皮切りにして、県民の方にも入り込みやすい県庁組織に変えていきたいと思っております。

 片山[前知事]さんの最後のころに問題となりましたコンプライアンスのことは、先月だったですかね、コンプライアンスについての取り組み方針というのを私どもとしては定律をいたしまして、各部局に徹底をさせていただいたところであります。何か問題があれば、こういうところに職員としてですね、駆け込む、相談をかけるということで、コンプライアンスの担保をしようというような制度を導入させていただきました。

 ちょっと細かいことを言えばいろいろ、そういうわけで、まだまだありますけれども、自分としてはですね、半年間、まだ短いものですから、しかも就任してすぐに方向のかじを切るという段階でありますし、自分はどちらかというと多くの人の意見を吸収しながらやっていくプロセスを大切にしていきたいと思っていますので、やや時間がかかっているように見えるところはあるかもしれませんけれども、自分なりの成果は出しつつあると思いますし、これからさらに加速をさせていただきたいと思っております。

 反省すべきところがないかというお話でございましたが、ちょっと自分もですね、忙しいということもあって、庁内で政策立案の時間を職員と共有する点ではやや問題があったかもしれないなと、それは率直に反省をいたしております。これから当初予算編成に向けて、そうした立案に支障がないように、これからはきちんと時間も割いてやれるような態勢を取りたいなというふうに思っております。いろいろと、この6カ月でありましたけれども、走り抜けてきたような、そんな気のする半年間だったと思っております。


○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 マニフェストを掲げられておられますけれども、この半年間で既に達成してしまったなと思っておられるようなものってありますか。


●知事

 いくつかね、今回、子育て応援パスポートもマニフェストに実は書いてありましたし、それから有機農業の関係の面積目標も実は達成してしまいつつありまして、これも、もっとレベルを上げてですね、上の目標を作ろうかっていうことを言っていますが。それから、キャビネットを作ること自体もマニフェストの中に入っていまして、そうした商工施策に民間の方の、現場の意見を取り入れるということ、これも入っておりました。いくつかそうやって実現してきたものもあると思います。これからぜひスピードを若干上げながら4年間で成就していきたいと思っております。


○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 今、ソウル便の問題にしても前知事時代からの負の遺産といいますか、そういうようなものの処理にかなり時間をかけておられるような気がするのですが、就任前、選挙時期から考えて県の状況というのは、対する認識というのは変わりましたでしょうか。


●知事

 就任前から考えてみれば、今荒木記者がおっしゃるように、若干これまでのマイナス面の蓄積というものも感じられた部分があります。米子-ソウル便はその1つだったと思います。これは搭乗率がどんどん下がってきていたわけですが、それに対して機動的に動けなかった。他地域では、観光客を呼び込むことが民間を挙げてやっていたわけですが、それがまだできてなかった。そういう問題があったと思います。

 そうしたことだとか、あとこれからの崎津の住宅団地をどうしようかとか、これもずっと、前代というよりその前から引き継がれてきている課題でありますが、そうした負の遺産のことも財政状況が厳しくなってきておりますので、手を付けて多少、多少といいますか、かなり当初のもくろみ、計画よりは損が出るようなことがあっても、この際現金化してこれからの備えに回したほうがいいというようなことも出てくるかもしれないなと思っています。そうしたいろいろな負の遺産の整理も必要な状況に立ち至っているなという思いはあります。


○日本海新聞 小谷和之 記者

 連携という中で市町村との関係を従来はそれは市町村の仕事、これは県の仕事と線引き行政みたいなところもあったりして、自立という言葉でぽんと突き放すようなところもあったのですが、平井知事の場合は市町村の住民の課題は結果的には県民に課題だというようなことも言っておられて依存ではない協働連携というようなことを言っておられますが、その行政懇談会意外にマンツーマンで自治体ともかなりの数入れておられるようなのですが、関係構築というか認識というか、その辺はどうでしょう。


●知事

 市町村とのコミュニケーションはだいぶ変わったと思います。特に県都とかだいぶ変わったのではないかと思いますが。市町村のほうもそれだけ苦労していることはよく分かりますし、我々のほうでも無理なこと、できることいろいろありますので、率直に話し合えば物事前進するだろうと思っております。市町村と個別の課題を協議をしようということで、例えば大山町とか若桜町だとか順番に今回っておりまして、それをやるとだいぶ市町村のほうも安心感が持てるようでありまして、ぜひこういうことは続けていきたいと思っております。

 連携して取り組めばいろいろと課題は解決していくと思います。例えば駐車場問題ですね、県立博物館なども県としてできることも整理してみたいと思いますし、市のほうはとりあえず巡回バスを回すようにしたと言っていました。こういうことで個別の課題なんかも随時協議をしていくスタイルで私はやっていきたいと思います。それが県民の方の利便、福祉、幸福に役立つと思います。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 そのほかございませんでしょうか。



10 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について(再々質問) 

○朝日新聞 下司佳代子 記者

 人権条例について伺いたいのですが、今日が最終回になってこれからどんな条例にするのかというのは考えられるということなんですが、作業自体について県だけでされるのか、またはほかの方も入れるのかとか、その作業の方法について今考えられていることはありますか。


●知事

 まだそこは私も事務局と話をしていません。出てからきちんとそこの方向性を付けていきたいと思います。いずれにしても大変大きなイシュー[issue(関心事)}として全国的にも議論のあった条例でありますので慎重に検討していく、しかも公平といいますか、公平であって実際に人権の問題で苦しんだ人たちにもお役に立てるようなそういう仕組みづくりを目指せるように、行政の独断でない検討が必要だろうと思います。

 今のちょっとご主旨はあれですが、もう一度検討委員会をもう一回作り直してどうのこうのということはあまり考えていませんけれども、県として条例化していくに当たっては当然、その過程でこれはパブリックコメントを求めるだとかいろいろとやっていかなければならない条例だと思いますので、きちんと節義を持ってですね、多くの方のご意見、有識者の方のご意見も聞きながら進めていく問題だろうと思っております。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 そのほか何かありますか。ないようなのでこれで終わりたいと思います。



●知事

 どうもありがとうございました。


  

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