田後港の海岸形状はリアス式で大正5年頃にバス道路が開設されるまでは、周囲から孤立してその名も「田後浦」と呼ばれていた。田後港の前方には全国有数の漁場が控え、1590年頃には、石見国の漁民が毎年3月から10月頃まで当地に出稼ぎに来て漁をしていた記録が残っている。また年貢米を賀露港に廻送するなど、その歴史も古い。
最初の築港は1848年に御蔵米廻送船の係留のための、向島から東南東の方向に50ｍの捨石防波堤である。しかし、冬期の高波によって年々少しずつ崩壊し、明治23年(1890)の大波によってほとんど壊れた。大正になり漁港改修計画がたてられたが、大正7年(1918)に来襲した風水害により着工は延期されたものの、大正15年に小漁港の指定を受け改修工事に着手された。昭和に入っても築造工事は続けられ第3防波堤、物揚場などが完成し、昭和24年(1949)に運輸省指定港湾となり昭和26年には避難港の指定を受けた。
その後、昭和44年までに、第4、第5、第6防波堤が直轄事業として整備された。昭和52年からは補助事業として第４防波堤の延伸、また漁船の大型化に伴う係留施設不足対策として松島背後に岸壁(－4.5ｍ)の整備等を行ってきた。
田後港は山陰海岸国立公園の中に位置しているため、海岸保全施設は景観に配慮した離岸堤(潜堤)の整備を行った。
現在は、越波により港内静穏度が確保されないことから、波除堤の改良工事を進めている。
| 項目 |
指定年月日 |
| 避難港指定 |
昭和26年9月22日 |
| 地方港湾指定 |
昭和27年12月1日 |
| 港湾区域 |
昭和45年7月3日 |
| 港則法 |
昭和34年5月1日 |
| 港湾隣接地域 |
昭和40年4月20日 |
| 海岸保全区域 |
平成3年3月29日 |