知事定例記者会見(2008年9月9日)

平成20年9月9日(火)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約43分) ※MPEG4形式

  

1 タマノカンザシについて 

●知事

 皆様、おはようございます。昨日は、智頭[町]の農業者の熊谷さんがタマノカンザシという白い花を持ってきてくださいました。大変に香りが強い花で、江戸中期に日本に伝わったということでありますけども、秋の訪れを感じさせるものであります。

 これからこうした花卉(かき)栽培、あるいは近郊型の農業など、鳥取県が大阪に近くなることで発展することを願っております。その一つですね、鉢はサンプルで公邸の方にも置かさせていただきました。




2 9月補正予算案の提出について 

●知事

 また、昨日は教育委員会と今後のことなんかを話し合ったりしましたけれども、これからいよいよ9月議会も始まってくるという段取りになってまいります。来週開会をいたします9月議会におきましては、約40億[円]の補正予算を計上いたしております。これを提案しようと思っております。

 その中には、先般来お話がございましたが、ひょうが降ったことに伴います局地的な災害被害、これを救済するような予算も出させていただこうと考えております。そのほか、かねて準備をいたしておりましたけれども、[鳥取県みんなで取り組む]中山間地域振興条例、また美しい鳥取砂丘を守り育てる条例、鳥取砂丘条例などもあわせて提案をさせていただくことにいたしております。




3 日程等について 

●知事

 それから、当面の予定といたしまして、あしたの朝、[平成20年度第2回5県知事会議で]若手の知事で集まって、これからの政治課題について話し合おうじゃないかと、こういうことにいたしております。それから、9月13日でありますが、[とっとり]県民の日を記念をいたしまして「食のみやこ鳥取」を論ずるフォーラムや、そのフェスティバルを開催することにいたしておりますし、9月の12日から鳥の劇場におきまして鳥の演劇祭を開催することにいたしております。

 鳥の演劇祭は、地元のボランティアのかたが30人ほどお手伝いいただく中で実現をしてきているものでありますし、全国各地から、東京だとか、地方からも参加をいただきまして演劇のフェスティバルを初めて鳥取で行おうというものであります。規模はそんなに大きくないものだと思いますけども、芸術性の高いものを鳥取から世間に問うと、こんな祭典にしようという意気込みで関係者は頑張っておられます。




4 台湾台中県における「鳥取週間」の結果について 

●知事

 先週は鳥取週間でございまして、きょうまで、台湾の台中県において鳥取週間を開催をいたしております。私も向こうに行きまして、黄(ホワン)[台中]県長さんとお会いをいたしたり、一緒になって行事に参加をさせていただきました。

 鳥取からはしゃんしゃん傘踊りや三朝小唄なんかも披露するようなステージがあったり、地元での物産展示即売会ということをさせていただきました。これが意外に、非常に売れ行きが好評だったのが印象的です。

 初日で持っていったナガイモは完売しましたし、あるいはこんにゃくラーメンというんですかね、そういう新進の商品なんかも売れていましたし、地元の境港[市]のコーヒーメーカーが、これが台北でも実はお店を出しているんですけども、そのお店とは比較にならないぐらい、1時間で1日分売り上げるぐらいの、そういうことでありました。

 品薄になるなど、予想外に売れ行きがよかったわけでありまして、「食のみやこ鳥取」のよさが海外でも評価される、そういう地合いを感じました。おかげさまで鳥取のアンテナショップ東京[食のみやこ「鳥取プラザ」]も順調に推移をいたしております。




5 (財)鳥取県情報センターの民営化について 

●知事

 それから、かねてずっと検討をいたしておりましたけれども、県の外郭団体、いろいろと見直しをする中で民営化することができるものはないだろうかという検討を関係団体と一緒になってやっております。その中で、財団法人鳥取[県]情報センターを民営化しようということで、もう最終的な調整段階へ入りつつあります。

 これにつきましては、昨日も理事長とお話をしましたが、ぜひ民営化のモデルとしてやってもらえんだろうかという話をさせていただいております。関係者の間の意見調整を急いでいるところでありますが、できるだけ早く理事会なんかにかけまして方針を確認したいという流れになってきております。




6 DBSクルーズフェリーについて 

●知事

 また、DBSクルーズフェリーでありますが、これにつきましては、先般、鳥取県からもミッションを派遣をいたしておりまして、現地、韓国でDBSクルーズフェリー社と接触をさせていただき、いろいろとやりとりをいたして帰ってきております。

 その結果を分析させていただきますと、まず出資の問題でありますけども、先般、米子[市]で向こうのパク副社長とお会いをいたしました。今回、うちのミッションがチェ社長様初め関係者と向こうで会っているわけでありますが、その際に書類の提出を受けたという報告であります。

 書類としては、9月いっぱいでこれだけ出資しますという署名、捺印の入った出資証明書というものが出されておりまして、これをトータルしますと、今後30億[ウォン]の出資が近々に見込まれると、こういうものでありました。

 従来から出資がなされていると言われています22億[ウォン]と合わせますと、50億[ウォン]を超えてくるということになります。先方としては、さらに充実を目指したいという作業を続けておられるそうであります。

 また、DBSクルーズフェリー社は、このたびソウルに社屋を設置をいたしております。このソウルの組織は、市役所からほど近いところにある都心部に設置をされたそうでありまして、そこも私どもミッションが訪問をさせていただきました。

 そのソウルの組織では、旅客がありますので旅客の発券機能など、そういう機能も始めるところであると伺ったそうです。それから船が出る東海(トンヘ)[市]には本社を、さらに立派な本社を設けていますよという話も伺ったということであります。

 かなりそういう意味で具体性を帯びてきたと思いますし、出資について先方が主張していることの事務的な確認作業がある程度進んだと思われます。もちろんまだ細かいことを言えば、ああいう書類、こういう書類ということはあるんでしょうけれども、一応の確認がとれつつあるという現状ではないかと思います。

 かたや東海の港の整備も着手をするということが先般、米子[市]で述べられましたし、今回もその計画を伺って帰ってきております。こういうことから、向こうが予定をしております、2月にでも試験運航して3月にでも本格就航したいというスケジュールの蓋然性が高まっていると考えます。

 現在、もう既に予算が計上されていますが、境港の仮設国際ターミナルも、これはいずれにせよ貨物用に、貨物の倉庫として使える機能を持っていますし、恒久的にはそういう用途なもんですから、これも時期を失しないように、その建設作業に、最終的な手続を進めるように、昨日夕方、指示をいたしたところであります。

 今後、もちろん展開がいろいろあるかもしれません。そういうのを見ながら、我々も、例えば支援のあり方だとか、いろんなことを検討していくんだと思いますが、とりあえずあまり遅くならないように、仮設のターミナルの着工について最終的な手続を進めるようにさせていただきたいと思っております。

 もちろん着工、すぐできるわけじゃありませんので、今、ゴーサインが出たところで10月の初旬に着工すると、そんな運びになると思いますけども、ただ、事態は随分と動きつつあるという認識を深めているところであります。

 こうしたことを背景にいたしまして、来週の9月18日、来週ですか、もっと後になりますかね、9月18日にロシアのウラジオストクで北東アジア地方政府サミットを開催することになっておりますが、その場でもこのDBSクルーズフェリーの構想について、しっかりとした話し合いを持ちたいと思います。

 特に、この船会社が韓国でありまして、イニシアチブはかなり韓国側が握っている事業になっていると思います。そういう意味で、江原道のキム・ジンソン知事、また東海[市]のキム・ハッキ市長も一緒に出かけるというふうに伺っております。

 そうした方々と現地で今後、この航路が順調に就航していけるように、どういうことをそれぞれの地元で考えていくべきか、意見交換の機会も持ちたいと思っております。私の方からは以上です。


○中国新聞 時永彰治 記者(幹事社)

 各社、それじゃあ、質問をお願いします。何か。




7 DBSクルーズフェリーについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 DBSは10月着工へ指示を出したということでよろしいんでしょうか。


●知事

 その最終準備をするようにと、それに向けた最終準備をするようにと。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 本格運航は、認可日から1年以内ではなくて、3月になるんでしょうか。


●知事

 ここはちょっと私どもも、今、向こうから聞いている情報なんですけども、2月に試験的な運航、あるいは1月にもやるのかもしれませんが、2月に試験的な運航をやりたいと。その後、本格就航するんだということを言っていまして、3月というイメージで我々は伺っています。ただ、それは免許の条件には当然ながら合致しているということで進めているんだと思います。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 9月18日、ウラジオストクへ行かれたときの、DBS就航のポイントとなる話、論点としては、どういったところを一番深く議論しようというふうに。


●知事

 今、確かに燃油が高くなっているとか、それから世界的に、もちろんきのう、サブプライムローン問題でアメリカ政府が住宅金融会社の支援を発表して、だいぶ風向きが変わってくるかもしれませんけれども、ただ、そういう状況があって景気的な見通しが厳しいということもあるわけであります。

 ですから、これについて運航会社として必ずやると、これは強い決意で向こうは言っていますが、就航はするんではないかと我々はかなり確信に近いものを持つに至りました。ただ、問題は本当の意味でこの航路が発展していかなきゃいけません。特に初動なんかでどうしても事業が軌道に乗るまでもたもた、ばたばたすることはありがちなことでありまして、そういうことについて運航会社側も懸念を伝えておられます。

 先般、東海[市]の市長さんが来られたときも、そうした支援なんかをお互いやっていかなきゃいけないんじゃないかと、境港[市]の市長とも突っ込んだ話をされたと伺っていますし、私どもも地元境港[市]と連携して何らかの考えをまとめなきゃいかんかなという気持ちがあります。ただ、韓国側がまずは主役でありましょうから、韓国側の状況もキム・ジンソン知事に確認をしたり相談をしたりということをしながら進めていきたいと考えております。

 当面、我々急がれるのは岸壁の整備に今度はなってくると思いますので、これは物理的に就航に支障が出てはいけないので、ある程度の蓋然性が立った段階となれば、取りかからなければならないと思っておりますし、CIQなんかの準備だとか、観光業者などへの周知なども始めなければならない段階に来ると思います。

 今、出資がそういうわけで集まってきていると、その約束手形といいますか、証文がとれているということになってきておりますので、あとはそれ、いつ、どういう社員構成といいますか、出資構成ですね、会社を正式に立ち上げた格好にするのかということは残っておるわけでありますけども、事態が進みつつある中で、支障がないように我々は考えていかなければならないと思っています。

 そのことを韓国側と話し合っていく必要はあるだろうと思っていまして、江原道との二地域間の協議もセットするように申しております。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 出資について確認なんですが、6月にDBS側が来たときは25億集まったというふうに言っていて、先ほど知事が当面22億集まっていて、30億は9月末までに集まる証明書がとれたというふうにおっしゃっているんですが、8月に来られたときは、8月12日の時点で30億強集まったというふうに言っていて、数値がちょっと若干行ったり来たりしている部分があるんですが、そこの出資はいつの時点でどのぐらい集まって、その残りの30億というのが9月末で集まるのか、この間、米子に来たときにDBS側が言っていた11月に集まるのか、どっちなんでしょうか。


●知事

 詳細、そしたら後で実際に向こうへ行って話し合いをした者から皆様にレポートをさせていただきたいと思います。ただ、私が知っている範囲で申し上げれば、11月というのは、さらに大きな会社にしたいという意図があるようです。今は当面の許可条件である50億[ウォン]を超える出資を集める、それが9月いっぱいで払い込みますよという証文なんだと伺っております。

 さらに、ただ今後のことを考えたり、結局向こうも荷物を乗せたり、それから人を乗せたりしなければいけませんので、ある程度広がりを持った事業体にしていきたいという意図があるんだと思います。その意味で、出資者をもっと増やしたい、それで全体の構成をきちんとして会社の正式なスタートを切りたいと、こういうのが11月という目標なんだと思います。


○読売新聞 北島夏記 記者

 このDBSの件で、具体的な支援をしていきたいとおっしゃいましたけども、県としてできる支援というのはどういったものがあるか、今、知事はどうお考えでしょうか。


●知事

 今、ちょっと具体的イメージはまだありません。今度、江原道側と話し合う中で、徐々にそういうイメージを作っていきたいと思います。ただ、当面、今までもやっているような入港料[係留施設使用料]なんかの支援なんかは当然だと思いますけども、それ以上に境港[市]、地元、あるいは中海圏の皆さんと協調してやっていくような支援のあり方は考えられるのではないかなと思っていますが、まだ具体のものはありません。


○読売新聞 北島夏記 記者

 例えば観光のPRとか、そういうものなのか、例えば燃油高騰を受けて一部を補助するとか、そういう。


●知事

 燃油高騰対策とかいうことではないと思います。ただ、今おっしゃったような観光客の誘致だとか、荷主を探すとか、それは当然やっていくことに含まれると思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 きょう11時半から廣江県議や安田県議と会われる、この件とは関係するんでしょうか。


●知事

 それは、この間、ロシアの方へ出かけられたときの状況を報告されると伺っています。




8 (財)鳥取県情報センターの民営化について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 鳥取県情報センターの民営化についてなんですが、これはいつぐらいに民営化するというふうな。


●知事

 遅くとも新年度前だと思いますね。これはちょっと財団側の問題なんで、私の方で言うべきことではないだろうと思います。今、話をしているところでは、早いうちに理事会を開いて方向性をきちんとしたいと。


○読売新聞 北島夏記 記者

 鳥取県情報センターを民営化するという一番の理由と、合意に至った背景というのは、どういった点があるんでしょうか。


●知事

 いろんな事業をされていますけれども、ソフトウエアの開発だとか保守管理など、民間の事業とあまり変わらないではないかと、従来、だいぶ議会で議論がされてきたわけです。そういう意味で財団法人鳥取[県]情報センターのあり方を問うような論戦は、これまでも議会でありました。

 去年だったか、私もそうした民営化の方向を考えるべき財団も探してみたいというようなことを言ったと思うんですが、その後、いろいろ調整をいたしましたけれども、確かに民間会社でやっているのと似たような業務が多く入っておりますので、それだったら民営化で、思い切って民間会社と同じような立場でやってみようじゃないかということです。業務内容が民間会社とほぼ同じようなものになってきているということです。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 黒字になっているんですか。


●知事

 現在は黒字です。ですから、移行に当たって赤字を清算するとか、そうした障害はないと思います。ただ、もちろん財団法人時代と民営会社とは経営のやり方が違いますので、一時的にいろんな清算活動を行わなきゃいけません、清算というのは会計をチャラにするということですね。

 だから、その作業はどうしても必要になりますので、最終的に赤字だ黒字だというのはその段階で見えてくると思いますが、今の見通しでは黒字の終わり方で新組織に引き継いでいくと、こういうことになるんじゃないかと思っております。


○毎日新聞 小島健志 記者

 県の防災面でかなり活躍されているように思えるんですけども、そのデメリットみたいなものはないんでしょうか。


●知事

 デメリットというか、悩ましいことはやっぱりどうしてもありまして、今、半分公的な業務をやってもらっていますから、例えば情報ハイウェイの管理をするとか、実は県庁のホストコンピューターなんかもあそこが今、管理をしていまして、ですからどうしても民営化はするということにしておりますけども、そのやり方の工夫は必要だろうと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 民営化するときには、今の場所を出るんですか。


●知事

 出てもらうことになるでしょうね。ただ、あそこにホストコンピューターがあるんです。ですからホストコンピューターを動かすわけにはいかないんで、だからメンテナンスのスタッフがあそこに入るとか、そういうスペースは必要かもしれませんね。

 ただ、あそこに何か[(財)鳥取県]情報センターの会社機能が残っている、本体機能が残っているという状態は、私はよくないと思いますので、場所の移転ということは検討願いたいと思っています。今後、詰めていきます。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 ほかに検討段階で民営化について考えて、構想の中に入ってらっしゃる外郭団体って幾つぐらいあるんですか。


●知事

 現状では、今、整理していますけども、[(財)鳥取県]情報センター以外では、このように民間業務になじむものはあまり見当たっておりません。ですから今回移行に向かわせるのは、この1団体のみだと思います。




9 降ひょう被害について 

○日本海テレビ 前田俊博 記者

 知事、ひょうの被害なんですけど、先週、2億円を超えてしまっていますけども、2地区が、これ全滅状態で。現地の方には行かれたのですか。


●知事

 この間、米子[市]へ行ったときに行こうかなと思って時間をちょっとひねろうとしたんですが、ちょっと行けませんでした。私自身はまだ行けておりませんけども、農林水産部長には初期段階で行ってもらっています。

 その結果を受けて被害対策をやろうじゃないかと思っておりますし、このたび日南[町]の町長ともお会いしました。町も一緒になって支援策を組みたいと言っていまして、協調して今回の局地的な激甚被害対策をまとめたところです。


○日本海テレビ 前田俊博 記者

 対策は急がれると思うんですけども、改めて、規模的には次の議会ですね、当面の支援、どういう形で今現在思っておられますか。


●知事

 その支援の方法ですか。


○日本海テレビ 前田俊博 記者

 はい。県として。


●知事

 リンゴについて共済に準じるような支援策を組むとか、それから稲なんかを、降ひょう被害があって、その後、実がおっこちた格好になっていますけども、あれ、刈り取らないと、また翌年の稲作に影響しますので、そういうところを応援するとか、あと牛舎に被害が出ておりまして、その牛舎対策ですとか、こうしたもの、一連のものです。

 それぞれの被害の状況を現地で取りまとめたものに基づいて、日南町と一緒に対策を組まさせていただきました。JAも一部参加すると思います。


○日本海テレビ 前田俊博 記者

 県から何らかの直接的な額を投じてというわけではないですか。共済を使ったりとか、いろいろと、いろんな手だてということですか。


●知事

 協調してということですね、割り勘で支援していこうということです。日南町と県と、そこに一部、農業団体が入ったりしまして。ただ、被害は被害として、何とかこれで営農活動をやめてしまうということにつながらないような、そういう意味の支援でありまして、被害額を全部すっぽり補てんするというものにはどうしてもこれ、ほかの災害対策もそうでありますが、そういうものではありませんけれども、ただ、農家のかたがだいぶ今回ショックを受けておられますので、そのことについて手当てが必要だと我々は考えたところです。

 日南町長がおっしゃっていましたけど、県と協調してやることになったことを非常にあちらは喜んでおられましたが、町として、さらに上乗せなりなんなりも考えてみたいと言っていましたので、まだ事態は、支援策についてはまだ動いている段階かもしれません。

 ただ、県としては一定のところで割り切って、今、9月議会の議案を出さなきゃいけませんので、今回、取りまとめをさせていただきました。




10 全国学力・学習状況調査結果の公開について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 学力調査について、大阪の橋下知事が自主的に公表しない市町村については予算段階で差をつけるということを示しているんですけども、これについて平井知事は同じような考えをお持ちなのか、その橋下知事のお考えについてどうお考えになられますか。


●知事

 私は、橋下知事だとか秋田[県]の寺田知事も、これ、多分私が言い出したので向こうも言っているのかもしれませんけども、基本はよく似た考え方だと思います。

 昨日、初めて今回の一連の非開示決定に至る騒動の後、教育委員の皆さんと意見交換をさせていただきましたけれども、私の方からそのときも申し上げましたのは、やはり地域と一定の学力調査の情報などは共有すべきものではないだろうかと。

 少なくとも納税者の人が自分の市町村はどういう状況にあるかと聞いてきたときに、それを断る理由まで本当にあるだろうかというお話を申し上げました。教育委員会の委員の皆様の考え方もそれぞれ述べられたわけでありまして、それぞれ悩みながら結論を出されたという状況だったというふうに感じました。

 ただ、山田委員長を初め皆様とお話ししたのは、ここで立ちどまってはいけないと。教育委員の皆さんも、公開を全否定するものではないという方々ばかりでありました。

 どちらかというと、公開をした後、その情報がどう使われるか、これに心配があると。そのことまで今、自分たちで教育委員として責任がとり切れないというのが今の判断だということだったので、それだったら条例上の問題があるのであれば、教育委員の方で考え方を出してもらったらいいじゃないですかと。

 例えばどういう人が情報開示を受けられるかとか、また情報開示を受けた後、その情報をこういうことに使ってはいけないというようなことを定めるとか、そうした方法についての制限規定なんかを設けることは可能ではないでしょうかということを申し上げました。教育委員会の方は、早速検討してみたいということだったと思います、きのうの話し合いの流れとしては。

 私の方から強調いたしましたのは、今回、非開示決定を打ったからといって解決はしない。すなわち[鳥取県情報公開]条例はあるわけでありますし、その条例に基づいて開示請求が出て、教育委員会が非開示決定を打ったところで、また私どもの情報公開審議会が審査をして、これは開示すべきものと、同じ条文でありますので当然なると思います。

 それでまた教育委員会に戻って、中には不服がおさまらなくて訴訟に行く人たちが出てくる。これはこの繰り返しになりますから、私は打開策を皆さんも考えなきゃいけないんじゃないですかということを強く申し上げました。

 それからあと、例えば市町村ごとの結果とかでも、何で公表できないのかということを申し上げました。市町村から開示してもらうように働きかけることは可能ではないですかということを申し上げましたら、教育委員会の皆さんは、それはできるでしょうというお話でした。

 お互いそこで確認し合った一番のポイントは、何のためにこの情報公開の議論をするかということです。私が申し上げましたのは、今、これから鳥取県は人材育成に大きく踏み出さなきゃいけないんではないか。人口60万[人]を切った状況の中で、一人ひとりの子どもたちを大切に育てていく、その環境づくりが何より大切ではないだろうか。

 私、知事として教育現場の先生、教師に全責任を押しつけるつもりはないと。むしろ家庭教育だとか地域での見守り活動や地域としての応援、こういうものも組み合わせながら学力向上だとか子どもたちの非行防止だとか不登校防止だとか、そうした諸問題に当たっていくことが必要だと思う。

 鳥取[県]のような地域であれば、比較的コミュニティーがしっかりしていますので、大都市部と違ってそうした取り組みも可能ではないだろうかと。そのきっかけづくりとして、あるいはそのための基礎情報として、地域で学校ごとだとか市町村ごとにどういう状況になっているか、これを情報として共有する必要があるんじゃないかという考え方を申し上げたわけです。

 教育委員の皆さんは、そのこと自体は賛成なんだということだったと思います。ですから、共通の理解、土俵に立って打開策を見出していくべきではないだろうかというのがきのうの話し合いの状況です。

 片方で、教育委員の皆さんから、何人かのかたから御指摘がありましたのは、依然として子どもたちの序列化という問題が残るんじゃないかとか、それから現場の教師のメンタルな問題を生じやしないかとか、そういうお話もございました。市町村ごとの開示といっても、学校が一つしかない市町村もあって、そういうところは学校開示と一緒になってしまうからできないんではないかというようなお話もありました。

 だいぶそういう意味で、聞いていただければおわかりいただけるように、まだ私と教育委員会の皆さんと必ずしも意見が一致をしているわけではありませんけれども、ただ、一定の情報共有を地域でやるのとあわせて、地域の教育力、これを高める活動を鳥取[県]から起こしていくようにしたらどうかという点では、お互い認識は一致していると思っております。

 そういう中で、今、御質問のありました情報開示をしているところとしてないところに差をつけるということも、私は率直に申し上げました。そういう考え方もあるんじゃないですかと。情報公開をしっかりとやって、それとあわせて地域で家庭学習の取り組みだとか一定のものをやっている、そういうモデル的な市町村について手厚く教育支援を行っていくことは、私は考えられると思いますよと申し上げました。

 教育委員会もそこに異論を唱えたわけではなかったとは思います。ただ、きのうは非公開といいますか、教育委員の皆さんが最近の状況報告ということでお見えになった席でのお話でありましたので、向こうがこれに基づいて議決をしたとかいうことではありません。まだ進行過程の話としてお聞きいただければと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 橋下知事の発言には賛同し得る部分があるということでよろしいでしょうか。


●知事

 私は、その地域の教育力向上に本気で取り組むところ、その一つとして、つまり情報公開というのも入れてやるようなところについては、モデル的な応援をしてもいいと思います。橋下知事は、だいぶ今、ワイドショー的には興奮した絵づらしか出てこないもんですから、何が真意かちょっと私もよくわからないんですけども。

 むしろきのう話してよくお互いの一定の理解は進んだと思いますが、向こうも私の発言に疑心暗鬼だと思いますし、私も教育委員の皆さんの本当の本音のところはどこかつかみかねるところがありましたので、きのう話し合いをしてみて、鳥取県は別のスタートを切れる可能性は出てきたかなと思いました。


○読売新聞 北島夏記 記者

 秋田県知事は、自分の責任において公開するというような発言をされたという報道がありますが、これについて知事の御意見をお聞きしたいんですけど。


●知事

 ここが大変難しいところで、大阪[府]でもだいぶ議論がありますけども、教育委員会としての権限事項の部分だと思います。ですから、私は教育委員会ときのうみたいな話し合いを通じてやっていく必要があるだろうと思います。

 きのうお互い話したところでは、市町村の教育委員会に市町村ごとのテスト結果とか、一定のものの開示をするとか、それからモデル的な市町村だと応援しますよというような話を振り向けるとか、そういうことは、うちは今、話し合いが始まったかなと思っています。当面はそういう方向性で目指していきたいと思います。


○読売新聞 北島夏記 記者

 ちょっと確認で恐縮なんですけど、モデル的な市町村には応援をするというのは、それは結果的に財政で、公開するかしないかということで差をつけていく考えがあるということでしょうか。


●知事

 そうですね、例えば教員配置についての応援とか、ドラスチックなことを言えば、30人学級をそこで情報の公開、非公開をメルクマールにして支援のやり方を考えるというのはあると思いますね。いろいろと今後、選択肢は考えてみたいと思いますが、きのう、とりあえずキックオフ的に1時間強話し合ったところですので、これからよくよく議論していきたいと思います。


○読売新聞 北島夏記 記者

 すると、新年度にもということでしょうか。


●知事

 新年度に向けてですね。あと、今年度の公開のことも私は再考されたらどうですかということを申し上げたんですけども、どうもここは教育委員会がかたいようですね。


○読売新聞 北島夏記 記者

 今おっしゃった教員の、教員配置の応援と30人学級にするという点での支援というのは、すみません、ちょっと具体的にいうと、どういうこと。


●知事

 それは、よく似た話なんですが、30人学級にしようと思うと、先生を1人置かなきゃいけない。その1人置いた先生に県が幾ら出すか、例えばそういうことです。これはALTみたいな、語学補助教員みたいなこともあると思います。そういうお手伝いを我々は県の立場でもできるだろうと。これは県の教育委員会の権限事項かもしれませんが、そういうことはできるだろうと。

 私はそれを情報公開の仕組みも入れて、住民の皆さんの御意見を聞いたり、住民の皆さんに参画してもらったりして、そうして地域全体で教育を支えていこうというモデル的な取り組みは、私は鳥取[県]から始めてもいいんじゃないかと思っています。




11 自民党総裁選について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 今の自民党総裁選、石破さんを含めて、あした告示で、今5人か6人、5人以上出馬の予定で進んでいくと思われますが、今の状況をどう見ておられて、どの辺を期待されるのかについて教えてください。


●知事

 現在のことは、福田総理[大臣]が突然辞めてしまったというのがきっかけだと思います。突然辞められたもんですから、全く偶発的に複数の候補者が出てきて乱戦模様という表現もなされていますが、そういう状況になってきたんだろうと思います。ただ、この中で国民の皆さんに向けてしっかりとした政策論議をしていただく機会にはなるだろうと思っていまして、それに期待を寄せているところです。

 今回の中で、私はぜひ地域間格差を解消してもらうと。都市でも地方でもきちんと潤いのある暮らしができる、そういう環境づくりに踏み出していただきたいと思いますし、所得格差が広がる、そういう社会矛盾も噴き出してきております。こうしたことへの思いやりのある政治への転換、これを望みたいと私は思っております。

 今の中で財政再建派とか上げ潮派とか、レッテルが張られてやっていますけども、これから具体的なマニフェストが出されて議論が深まっていくんだと思います。そういう中で、単なる財政再建論だけでない、国民の生活に結びつく議論をしっかりやっていただきたいと思っております。

 それから、その中で地元の鳥取県から初めて総裁候補として石破茂代議士が20人の推薦者を集めて立候補されることに至ったわけでありまして、私はやっぱり地元の一人として応援したい気持ちです。鳥取[県]の状況をよくわかった人が今回の総裁選の論戦に参画をしていくことで、鳥取[県]のような地域の厳しさが国政の中で認識されていくことを望んでいます。

○中国新聞 時永彰治 記者(幹事社)

 その他、なければそろそろ終わりたいと思いますが、いいでしょうか。じゃあ、終わります。どうもありがとうございました。



  

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