防災・危機管理情報


2022年8月10日

大御堂廃寺溜枡復元プロジェクト第1回 (木造建築科)

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 「今は堂閣なし 駄経寺村の前なる田の中に少き台あり 是れ即ち大御堂なり」と、寛保2年(1742年)の書物「伯耆民談記」に記されています。

現在の倉吉市駄経寺町には、かつて飛鳥時代7世紀中頃に建立された山陰最古級の古代寺院がそびえていました。 その名を「久米寺」と言い、金堂、塔、講堂、僧房を配した大規模な寺院でありました

 その寺院跡「大御堂廃寺跡」はこれまで多くの発掘調査が行われた結果、その重要性が認められ平成13年(2001年)国の史跡に指定されました。

       寺院のイメージ

         現在の様子と当時のイメージ図 史跡大御堂廃寺跡整備基本計画より引用

 

        整備イメージ図

               整備イメージ図 史跡大御堂廃寺跡整備基本計画より引用

 

  大御堂廃寺跡からは、これまでの調査で多くの遺構などが確認されました。その中でも目を引くのが当時の上水道施設、「木樋 (もくひ) 」と「溜枡 (ためます) 」で、土中の遺構が良好な保存状態で発見されています。今回、令和2年度に策定された「史跡大御堂廃寺跡整備基本計画」に基づき、当校木造建築科に地元倉吉市から溜枡の復元を依頼されたのです。依頼されたものは生徒とともに製作し、史跡公園内に展示される予定です。

 

                                  発掘時の様子

              発掘時の木樋と溜枡  史跡大御堂廃寺跡発掘調査報告書より引用

 

  当ブログではこの復元の様子を、シリーズとしてお伝えする予定です。

 第1回目の今回は、できるだけ当時の道具や加工法で復元できないものかと、調査・研究に挌闘する様子をご覧いただきます。 まずは掘り出した現物を見せてもらいに倉吉博物館へ。

 

        出土した溜枡の一部   出土品観察の様子

                                溜枡の構造図

                                   木樋と溜枡構造図    史跡大御堂廃寺跡発掘調査報告書より引用

  今回復元する溜枡の構造ですが、現代のものと比較しても違和感がありません。

                        出土品の表面

                                                    出土品の表面には道具の跡がくっきりと。

  材料はすべて「杉」で、それも現代では考えられないほどの巨木から製材されているようです。 そして、もちろん伐採から製材、加工まですべてが人力。 いかにして製作したのでしょうか? まずは取り掛かりとして当時の道具を調べ、同様の加工が可能であるかの検討からスタートです。

        資料調査の様子   加工法検討の様子

                           集めた文献を頼りに当時の道具や手法について調査と検討をくりかえします。

                                搬入された材料

                   加工法などを検討するための材料です。

  道具も現代とは大違い。まずはこの材料を人力で加工するための、道具づくりから始めなくてはなりません。

        道具の製作   古代の道具チョウナ

                                        古代の「チョウナ」と呼ばれる道具を準備しました。

  当時は鉄も貴重品で、鉋(今で云う台かんなと呼ばれるもの)が登場するのはさらに後の時代です。

    チョウナを試す様子   当時の加工を試す様子

  当然ですが、表面を加工するだけでも多くの時間と労力が必要です。

  当時の加工職人「木工(もく)」の苦労がしのばれます。出土品にも木工(もく)たちの「チョウナ」痕などがしっかり残っていました。最初に作る試作品はできるだけ、当時の手法を忠実に再現してまいります。

  いかがでしたか? 今回は単なるレプリカの製作ではなく、日本の伝統文化とも言える木造建築と古の人々がいかに関わったかを調査研究し、生徒はもちろん後世に伝承することを大きな目的として、今後も取り組んでまいります。 

これからも折々、製作の様子をお伝えしますので、次回をお楽しみに~。

 

2022/08/10 in 木造建築科

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