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2023年12月15日

そんなに太っていなくても実は…?隠れ肥満(サルコペニア肥満)にご注意

【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授

 

認知症を予防するためには、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)やメタボリックシンドロームの予防・治療が大切です。これらは血管を老化させ、脳に血液がうまく届かなくなり、脳の神経細胞を傷つけ、認知機能が低下する大きな要因となります。

 

⇒詳しくは記事『生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病)は認知症も引き起こす』をご覧ください

 

生活習慣病やメタボというと、いかにもお腹が出ていて恰幅の良い人をイメージしがちです。しかし、見た目は普通で太っていない人が、実は体内の筋肉が脂肪に置き換わった「隠れ肥満(サルコペニア肥満)」であり、気づかないうちに健康リスクの高い状態になってしまっていることがあります。

 

隠れ肥満(サルコペニア肥満)とは?

 

筋肉は使わないと減ってしまいます。加齢や運動不足によって筋肉が減ったところに脂肪が蓄積すると、体重や見た目は普通なのに、体脂肪率が高く、筋肉が少ないという状態になります。

 

この状態は筋肉減少(=サルコペニア)に肥満が合併しているので「サルコペニア肥満」と呼ばれます。分かりやすいように俗に「隠れ肥満」とも言われています。

 

脂肪が多くても太っているように見えなければいい、と思われるかもしれません。しかし、サルコペニア肥満は通常の肥満よりも生活習慣病にかかりやすく、運動能力が低下し、転倒や骨折を起こしやすくなって要介護のリスクが上がりやすいという問題があります。もちろん認知症予防の観点からも良くない状態です。

 

隠れ肥満(サルコペニア肥満)を見分けるには?

 

サルコペニア肥満は、普通の体重の人、昔からずっと体形が変わっていない人でも起こり得ます。高齢者に多いですが、40代でも予備軍になっている人がいます。運動不足や食事制限によるダイエットで筋肉が減ってしまい、若くしてサルコペニア肥満になっている人もいます。

 

日本ではまだサルコペニア肥満の診断基準が定まっていませんが、普通体形の人も太っている人も、まずはサルコペニアのチェックをしてみましょう。(1)筋肉量の低下、(2)筋力の低下、(3)歩行速度の低下3点を確認します。

 

(1)筋肉量の低下は「指輪っかテスト」で確認できます。両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみましょう。隙間ができた場合は筋肉量が低下していると判断できます。

 

(2)筋力の低下は、握力で確認できます。握力計を見かけたらぜひ測ってみてください。男性28kg未満、女性18kg未満だと筋力が低下しています。また、日常生活でペットボトルや瓶の蓋(ジャムやはちみつ、飲料など)が自力で開けられない、靴下を片足立ちで履けない、といったことがあれば筋力の低下のサインです。

 

(3)歩行速度が1m/秒以下の場合は、身体機能が低下している可能性があります。横断歩道が青信号のうちに渡り切れないことがよくあるなら、歩行速度が低下している可能性があります。

 

隠れ肥満(サルコペニア肥満)を改善するには?

 

サルコペニア肥満を改善するには、体脂肪を減らしつつ、筋肉量を増やしていくことが重要です。なるべくタンパク質(肉、魚、卵、豆など)を多く摂る(体重1kgあたり1.21.5g)ようにして、相対的に脂質や糖質を減らして、1日に必要なカロリーを確保しましょう。摂取カロリーを制限しすぎるとかえって筋肉が付きにくくなります。

 

また、筋肉を増やすには、筋肉に負荷をかけて強くする筋力運動が必要です。下半身(太腿、臀部)には大きな筋肉が付いているので、スクワットなどでトレーニングすると効率的です。それに加えて上半身や体幹の運動(プランク、腹筋運動)なども取り入れてみてください。

プランク他

とっとり方式認知症予防プログラム「自宅でできる筋力運動+頭の体操」動画はこちら

 

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<参考資料>

若林秀隆.サルコペニア肥満.Jpn J Rehabil Med 2021;58:627-632.

肥満より怖い「サルコペニア肥満」食事と運動で筋肉低下を予防. 保健指導リソースガイド, 2019

https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/007957.php

千葉市医師会. 生活習慣病のリスクが上がる「サルコペニア肥満」. 今月の健康コラム, 2019

https://www.chiba-city-med.or.jp/column/102.html

荒木 厚(監). 低栄養だけど肥満「サルコペニア肥満」の新たな診断基準とは

https://oishi-kenko.com/articles/sarcopenia_obesity

アクティブシニア「食と栄養」研究会. アジア人のサルコペニアの診断基準

https://activesenior-f-and-n.com/sarcopenia/case.html


 

 

長寿社会課 2023/12/15 | コメント(0)


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