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2024年2月8日

睡眠と認知機能の関係 ~長時間の睡眠や昼寝のし過ぎはNG~

【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授

 

睡眠は健康の増進や維持に欠かせません。良い睡眠とは、適切な睡眠時間をとり、起床時にからだの疲れがとれているなと感じる(睡眠休養感がある)ことです。良い睡眠が取れていないと、脳の認知機能に悪影響を及ぼすことが知られています。

 

最近、厚生労働省が約10年ぶりに睡眠の指針を更新し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」を発表しました。今回は当ガイドの内容を踏まえて、認知症予防と睡眠の関係についてご紹介いたします。

 

適切な睡眠時間とは?

 

睡眠不足が脳やからだに良くないことはよく知られていますが、睡眠時間が長すぎても良くないことをご存知でしょうか。

 

必要な睡眠時間は個人差があり、さらに年齢や季節によっても変動します。平均的には若い世代は78時間、中年者は6.5時間、高齢者は6時間というように、加齢により必要な睡眠時間は減ってくることが知られています。

 

しかし、長い睡眠時間が必要な若い世代は睡眠に充てる時間が少なくて睡眠不足になりがちです。逆に、高齢者は必要な睡眠時間が短くなってきているにもかかわらず、横になっている時間が長すぎることが問題です。

 

必要以上に長い時間眠ろうとすると、睡眠の質が下がります。例えば、寝付くまで時間がかかったり、途中で目が覚めたり、熟睡した感じが得られなくなってしまいます。

 

長時間の睡眠が認知症の発症リスクに

 

必要以上に長い睡眠(9時間以上)は認知症(アルツハイマー病)の発症リスクを高めることが報告されています。

 

アルツハイマー病は脳内にアミロイドβが異常に蓄積することで起こると考えられています。健康な人でも脳内にアミロイドβができますが、睡眠をとっている間に、脳内に蓄積したアミロイドβなどの老廃物を排出するシステムがあります。この排出システムは深い睡眠時に効率的に働きます。

 

睡眠時間が長いのは一見良いことのように思えますが、かえって睡眠の質が低下し、アミロイドβを効率良く脳から除去することができなくなってしまいます。

 

また、30分以上の長い昼寝や頻回の昼寝は、睡眠の質を悪化させ、認知機能を低下させる原因になります。

 

定年などを迎えて日中の用事が減った高齢者では、昼夜のメリハリがなくなってくる方が少なくありません。昼からダラダラ横になっているような暮らし方では、認知機能の低下が心配です。

 

夜ぐっすり寝るためには、昼間の活動が大切

 

昼間につい横になってしまうのは、夜間に質の良い睡眠が取れていないために、頭がシャキッとせず、気力が湧かないせいかもしれません。

 

このような状況だと、睡眠の質が悪い⇒昼間に横になる⇒夜になっても眠くない⇒睡眠が短く・浅くなる⇒睡眠の質が悪い⇒昼間に横になる……というような悪循環が起こってしまいます。

 

この悪循環を断ち切るには、昼間に運動や外出などをして積極的に活動し、からだをしっかり動かしておきましょう。そうすれば夜にきちんと眠くなり、深い睡眠を取ることができます。

 

ちなみに、睡眠薬を使ったとしても、それだけで昼夜のメリハリを改善することはできません。ご自身で生活リズムを修正する必要があります。

 

脳とからだの健康を守っていつまでも元気に暮らすために、日中は活動的に過ごし、横になる時間(床上時間)が8時間以上にならないように心がけましょう。

厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会:健康づくりのための睡眠ガイド2023 (案)より)

 

「脳とからだの健康LINE」は登録しましたか?

 

鳥取県では高齢者のみならず幅広い年代に認知症に関する正しい知識と理解の普及をするために、2022年9月より、公式LINE「脳とからだの健康LINE」を立ち上げています。

 

友だち登録すると、認知症予防に関する情報が定期的に配信され、認知症リスクを簡易的にチェックする機能なども提供しています。認知症予防を意識した健康づくりの参考になりますので、ぜひご登録ください!

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<参考文献>

・厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会:健康づくりのための睡眠ガイド2023 (案)

 

長寿社会課 2024/02/08 | コメント(0)


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