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2024年7月28日

明るい家庭は認知症の進行を予防する[認知症予防の日(6月14日)記念式典]

【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授

 

日本認知症予防学会は2019年からフリーアナウンサーの徳光和夫さんに「認知症予防大使」を委嘱しています。今年の「認知症予防の日 記念式典」に徳光さんが登壇し、トークセッションと浦上克哉先生(日本認知症予防学会 代表理事)との対談を行いました。ここでは、その一部をかいつまんでご紹介します。

徳光氏と浦上氏

 

良いコミュニケーションを取っていると認知症の進行が緩やかになる

 

徳光:妻はアルツハイマー型認知症で、カタツムリのようにゆっくりと症状が進行してきています。夕方に一人で玉ねぎを買い物に行ったときには、1時間経っても帰ってこないため警察に相談しましたが、4時間後にけろっと帰ってきたことがありました。帰り道が分からなくなって地域の人に自宅まで送ってもらったようです。僕は非常に重く受け止めた出来事でしたが、本人は何とも思っていないようです。

 

僕はできる限り妻と多く話をすることを心がけています。話した内容は5分も経たないうちに忘れてしまいますが、夫婦である以上いろんな思い出があります。思い出話をすると、それに対しては明るい反応を示してくれます。どうも妻は、少女時代から20代、30代の思い出は鮮明に残っているようなので、その頃の話をすると喜ぶだろうと思って、語りかけています。やはり同じ反応を繰り返してしまうのですが、「それはさっき話したばかりじゃないか」と言ってしまうと、認知症の進行を速めてしまうのではないかと思っているので、なるべく同じ話を妻から引き出すことを毎日心がけています。

 

浦上:認知症の人にとっては環境がすごく大事ですから、良い接し方、良いコミュニケーションを取っていただいていると、進行が緩やかになります。私も外来で「会話をできるだけしてください」とお話しますが、そうすると最近の会話をされてしまうんですね。認知症の人は最近のことを忘れてしまうので、最近の内容が盛り込まれると楽しくない会話になってしまいます。認知症でも若い頃の話はしっかり覚えておられるので、昔話はご本人にとって楽しくできることだと思います。

 

 

楽しい家庭環境をつくることが認知症の進行を予防する

 

徳光:妻と話している中で、話がだんだん作り話になってきていることが気になっています。明らかに間違った思い出話をしていますが、それを否定せず、そのまま受け入れるようにしています。こちらから積極的に話しかけて否定せずに聞いてあげたり、ジョークを言ったりすると本当に喜んでくれます。喜んでいる顔を見ていると、なんとなく家庭全体が明るくなる感じがあります。

 

記憶していた内容が変わっていって作り話になってくるのは、認知症が進行しているということなのでしょうか?

 

浦上:一概にはそう言えませんが、やはり神経細胞が少しずつ壊れていきますので、神経のネットワークにおいて電気がショートをするような状態になってしまって、神経細胞の連絡が別の方に行ってしまって話が膨らんでしまったり、話が違った方向へそれてしまったりすることはあります。

 

そういうことを知らないと家族の方も「何を馬鹿なことを言ってるんだ」「いい加減な作り話をするな」という風に反応してしまいます。そうすると、本人にとっては作り話をしているつもりはないのに怒られてしまうので、とても辛い気分になります。

 

徳光:妻の場合はもう認知症になってしまっているので予防の段階は過ぎて、この後はどんどん進行するのではないかと思っています。できれば明るいまま日々を送りたいと思っていますが、この考えは間違っていないでしょうか?

 

浦上:認知症予防には「一次予防」「二次予防」「三次予防」の3段階があります。認知症になっても症状の進行が緩やかになるように予防する「三次予防」ができます。楽しむことで脳の神経細胞を活性化するホルモンが出てきますので、楽しい家庭環境を作っていただくのは認知症予防にとても良いことですよ。

 

「一次予防」は健康な人が軽度認知障害(MCI)や認知症にならないようにする予防で、「二次予防」はMCIの人が認知症にならずに正常に戻るようにする予防です。

 

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長寿社会課 2024/07/28 | コメント(0)


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