防災・危機管理情報


  

2024年11月25日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(11月)例会を開催しました。

 11月16日(土)午後2時から4時まで、鳥取市歴史博物館において、令和6年度の11月例会を開催しました。
 今回は最初に、鳥取市在住者が作成したと軍政部活動報告書に記録された、漫画映画「モリノナキムシコゾウ」と関係すると思われる漫画映画「森の泣蟲(なきむし)坊や」が10月20日に神戸映画資料館にて開催された「神戸発掘映画祭2024」で上映されたことが、会員の澤田さんから紹介されました。
 軍政部活動報告書の解読は、前々回から引き続き昭和24年2月分を行い、今回は「供出」「食糧配給」「肥料配給」「漁業」「鉱業」「報奨制度」「林業」「電力」「建設」の項目を解読しました。
 そのうち、「林業」の項目では、「本県史上初のマツクイムシ被害が県に報告された」と記載されていました。しかし、従来、鳥取県で松食い虫被害が発生したのは昭和48年とされています。24年の記事をどのように解釈するか、今後考えていきたいと思います。

11月例会写真

公文書館 2024/11/25 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年10月28日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(10月)例会を開催しました。

 今回の昭和24年2月の軍政部活動報告書の解読では、最初に、労働基準局の検査により発覚した労働基準法違反の案件や労働組合の活動、賃金引上等の争議などの労働監督関係の報告を読み進めました。次に、小麦の不作や農業会の解散と農協の結成、農業改良普及員による普及活動といった農業関係の報告について解読しました。

 今回の解読部分には「労働ボス(labor boss)」という用語が出てきて、会員から、「労働ボスとは戦前の口入れ屋や手配師、人夫出しなどのことだろうか」とか、「(中間の手数料を搾取しない)無料職業あっせん事業は戦前にもあり、第一次世界大戦前後から無料の職業紹介所を行政が設置していた」というお話をいただきました。

 農業関係では、報告書に出てきた4Hクラブについて、会員から、「4つのH、Head(頭脳)科学的にものを考える、Hand(技術)腕を磨く、Heart(心)友情、Health(健康)健康にやっていくが4Hクラブの信条で、アメリカで始まり日本に導入された」という解説や「家のかまどを近代的にした事業を4Hクラブの食生活改善活動として発表したことがある。」という思い出などをお話しいただきました。

 引き続き、会員の方の疑問や記憶も参考にし、報告書の解読を進めたいと思います。

占領期10月例会写真1
(写真1)10月例会の様子

占領期10月例会写真2
(写真2)活発な議論が交わされました

占領期10月例会写真3
(写真3)当時の新聞記事の説明

公文書館 2024/10/28 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年10月2日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(9月)例会を開催しました。

 今回の昭和24年2月の軍政部活動報告書の解読では、鼠族昆虫駆除講座や2回目のネズミ退治運動といった衛生活動、生活保護の生活扶助費算定の査察と過払い・不足の是正状況、地方児童福祉委員会での検討や施策の実施状況、福祉施設・少年院の査察状況などについての翻訳を進めました。

 前回の「本当に(入院患者の身内の人が)病室で煮炊きをしていたのか。建物の外ではないのか。」という疑問点については、澤田晶子調査委員(翻訳担当)から、いろいろな資料に病院内で煮炊きしていたという記載があり、入院となると、鍋釜、七輪、布団と共に、患者がリヤカーに乗せられて入院するという姿が一般的だったとの講演録もあるという説明がありました。参加者の方からも、当時入院した時に、母が家から食べ物を持って来てくれた等の体験談をいただきました。

 また、これまでの会で話題に出ていた鳥取地震復興住宅(バラック)について、澤田調査委員から罹災者住宅入居公募の当時の鳥取市報(公報鳥取)の記事の紹介があったあと、やまびこ館の横山展宏学芸員から、市内に1戸残っているバラックの写真を撮影してきたとの紹介がありました。

横山学芸員からは、当時の広島県仮設住宅建設部隊と墨書のあるバラックの写真紹介や支援に来てくれた4県と軍隊の説明などがありました。また、以前の解読で出てきたアニメーション作品「森の泣蟲坊や」について、神戸映画資料館から澤田調査委員に映画祭でゲストスピーチをしてほしいと依頼があったことの報告もありました。

 今回の解読部分では、鳥取と倉吉に孤児院があったが米子はどうだったのかとの質問や少年院の歴史、学校にあった大きな火鉢の思い出、施策への
軍政部の関与の度合いは強かったが全てが軍政部の言うとおりになったわけではないのでは等の話がありました。
 引き続き、参加者の方の疑問や記憶も参考にしながら、軍政部活動報告書を解読していきたいと思います。

占領期の鳥取を学ぶ会9月例会写真1
(写真1)例会の様子

占領期の鳥取を学ぶ会9月例会写真2
(写真2)澤田晶子調査委員からの説明画面

占領期の鳥取を学ぶ会9月例会写真3
(写真3)やまびこ館の横山展宏学芸員による写真の紹介

占領期の鳥取を学ぶ会9月例会写真4
(写真4)解読の様子

公文書館 2024/10/02 in 県史活用担当,講座などのイベント,調査

2024年9月9日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(8月)例会を開催しました。

 今回から、昭和24年2月の軍政部活動報告書の解読に入りました。今回の活動報告書の解読では、村長のリコール事例や県・鳥取市議会の議案議決などの行政の状況、政党の活動状況、病室内での調理禁止・病院内調理場の衛生条件の制定や中国地方軍政部保健師の県内保健所視察などの衛生行政活動についての翻訳を進めました。

 前回の活動報告書の解読部分にあったNHK鳥取放送局のラジオ塔の写真や図面も今回紹介され、鳥取大火の時にはこの鉄塔に登って放送をしていたとのことでした。会員の方からは、当時の鳥取放送局の残響処理の構造やお堀端等にあった鳥取地震の被災者住宅についての思い出話や関連した解説がありました。

 また、澤田晶子調査委員(翻訳担当)から、英文翻訳への生成AIの活用について、報告がありました。生成AIは、人間の脳のニューロンの働きを模倣しており、大規模言語モデルは、データを細かいトークンに分解し、次のトークンを予測するが、正しいとは限らないということです。

 軍政部報告書の英文をOCRで読むと、汚れの点々も文字として読んでしまうが、生成AIで読んでみると、勝手にハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)してしまうサービスもある一方で、かなり優秀に読んでくれる生成AIのサービスもあるということでした。生成AIは、英語の手書き原稿についても結構読んでくれて、人間が読みにくい原稿でも読んでくれる生成AIのサービスもあるとのことでした。

 今回の解読の中で、会員の方から、GHQは保健所を重視していたとの説明や病院での自炊の実態がどのようなものだったのかとの質問等がありました。解読の中で様々な疑問や不明な点が出てきますが、調査したり当時の記憶のある方に体験をお聞きする等して、より正確に当時の状況を明らかにできればと思います。

占領期写真1
(写真1)澤田晶子調査委員の報告

占領期写真2
(写真2)会員の解説

占領期写真3
(写真3)講座の様子

公文書館 2024/09/09 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年8月29日

新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の銅鐸・武器形青銅器の研究』を開催しました。

 令和6年8月25日(日)、難波洋三島根大学客員教授、吉田広愛媛大学ミュージアム教授を講師にお招きし、とりぎん文化会館第1会議室において、新鳥取県史を学ぶ講座『鳥取県の銅鐸・武器形青銅器の研究』を開催しました。参加者は41名でした。

 講演では、難波先生に「鳥取県の銅鐸についての新たな調査成果」というテーマで、出土情報の整理、資料の観察によって新たに判明した「伝大阪府出土銅鐸」(鳥取県立博物館蔵)とそれと同じ鋳型から作られた銅鐸との関係の他、「木山氏所蔵銅鐸」の位置づけ等について解説していただきました。

 また、吉田先生には「久蔵峰銅矛と某神社旧神宝銅剣」というテーマで、久蔵峰銅矛(琴浦町出土)と某神社旧神宝銅剣(出土情報不明)が、ともに類を見ない特徴的な武器形青銅器であることや、両者の形状の由来とその後への影響、銅剣にあらわされたサメとみられる線刻絵画などから、両者が鳥取に所在する意義について解説していただきました。
 興味深いお話が多く、参加者の方々は、青銅器や鳥取県の弥生時代に関する関心を一層深めていただいたものと思います。

講演会写真1
(写真1)講座の様子

講演会写真2
(写真2)難波洋三先生「鳥取県の銅鐸についての新たな調査成果」

講演会写真3
(写真3)吉田広先生「久蔵峰銅矛と某神社旧神宝銅剣」

公文書館 2024/08/29 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年8月1日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(7月)例会を開催しました。

 今回の例会では、昭和24年1月の社会教育や選挙、税金の徴収等についての軍政部活動報告書の解読を進め、この月の報告書の解読は終了しました。

 参加者の方からは、報告書の内容に関連して、最近のボーイスカウト、ガールスカウトの活動状況についての話がありました。また、「NHKが東京でラジオ放送を開始してから11年余りたった昭和11年12月にNHK鳥取放送局からJOLGのコールサインで最初のラジオ放送を行った」というお話のあと、「子どもの頃は、鳥取と松江の放送局があったが、鳥取までは90キロ、松江までは30キロで、鳥取放送局に合わせると、声が小さくなった。また、鳥取のニュースは米子のことはあまり言わないので、不満に思っていた」といった体験談もありました。

 当時GHQの指令で、公務員が神社の活動に関わっていれば違反とされていたため、公務員の宗教活動について調査をしていた等の発言もありました。
 来月からは、新たな月の報告書の解読に入り、引き続き、会員の皆様からの情報等も参考にしながら当時の状況を明らかにしていきたいと思います。

占領期例会の様子の写真1
(写真1)例会の様子

占領期例会の様子の写真2
(写真2)体験の発表や活発な意見交換が行われました

占領期例会の様子の写真3
(写真3)当時の新聞記事の解説

占領期例会の様子の写真4
(写真4)解読の様子

公文書館 2024/08/01 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年6月28日

わくわく北中-公文書館の職場体験-

 令和6年6月26日(水)から28日(金)まで鳥取市立北中学校の2年生が職場体験学習に取り組みました。

 以下、北中の坪井・田中が報告します。
 1日目は、写真を分類しました。昭和の終わりの町の風景や様子が見られました。窓口、レファレンス体験をしました。実際にすると、意外に手間がかかりました。

写真整理の様子
(写真1)写真整理の様子


 2日目は、古文書の修復をしました。難しかったけど、慣れると楽しかったです。

裏打ちの様子
(写真2)裏打ちの様子


 その後、引き継いだ簿冊を並べ替えました。

簿冊を並び替えている様子
(写真3)簿冊を並べ替える様子


 3日目は、古文書の解読をしました。くずし字がありました。はじめてくずし字の辞書を利用しました。

古文書の解読の様子
(写真4)古文書の解読の様子

まとめ

まとめ
 3日間の中で2日目が一番楽しかったです。その中でも特に古文書を修復するのはやりがいがありました。公文書館では、明治時代から現在のものが取り扱われていましたことを知りました。

公文書館 2024/06/28 in 館見学,県史活用担当,公文書担当

2024年6月20日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度(6月)例会を開催しました。

 今回の例会では、昭和24年1月の公共事業を含む産業や教育についての軍政部活動報告書の解読を進めました。

 会では、翻訳内容に関連し、参加者から様々な情報や体験が発表されました。 絹製糸場に関しては、県西部の参加者の方から「弓ヶ浜半島では、江戸時代には綿(伯州綿)の栽培が盛んだったが、明治中期には衰退する綿から養蚕のための桑畑への転換が進んだ。地図で見ると昭和5年の桑畑の記号の範囲が広範囲にわたっていたが、平成13年の地図では桑畑の記号の部分はなくなっている」と地図を手にして話がありました。

 また、皆生送信所に関しては、正式には美保海軍航空隊の皆生送(受)信所というがその施設の跡は現在も残っているとのことで、送信所跡地の写真が投影されました。送信所に関連し、昭和20年7月の米子市への空襲について参加者の
父親の体験談もありました。
 学校教育に関しては、「この報告書を書いた軍政部教育担当のエバンス氏がよく学校に来ていた」との話や「当時は学校へは下駄で通い校内では裸足だった。トイレがとても汚かった」との体験談がありました。

 社会教育では、「昭和24年4月に全国で始まった『婦人週間』以外に、鳥取県では国とは別にその年の1月に『女性週間』が設けられたようだが、戦前から使われてきた婦人でなく女性という言葉を用いたことは先進的だったのでは」という意見がありまし
た。
 今後も引き続き、会員皆様からの情報や体験等も参考にしながら報告書の英文解読を進めていきたいと思います。

占領期第2回例会写真1
(写真1)英文の活動報告書の解読の様子

占領期第2回例会写真2
(写真2)活発な意見交換が行われました

占領期第2回例会写真3
(写真3)地図を手に説明する参加者

公文書館 2024/06/20 in 県史活用担当,講座などのイベント

2024年6月10日

占領期の鳥取を学ぶ会 令和6年度第1回(5月)例会を開催しました。

 今年度最初の会は5月18日(土)に開催し、開会に当たり、澤公文書館長の挨拶のあと、参加者の自己紹介と会の趣旨説明を行いました。

 鳥取県内においてはGHQによる占領期の公文書等関係資料がほとんど残っておらず、占領期の軍政に関する本格的な研究を行うことができていませんでしたが、アメリカ国立公文書館に原本があるGHQ軍政部の活動報告の英文資料を国立国会図書館が所蔵していることが明らかとなり、調査研究環境が整ったことから、平成29年7月、鳥取県立公文書館と鳥取市歴史博物館やまびこ館の共催事業として「占領期の鳥取を学ぶ会」を立ち上げ、県民参加による英文の軍政レポートの解読を行って、今年で8年目となりました。

 会は、やまびこ館の横山学芸員の進行で、会員の皆さんが順番に、澤田晶子調査委員(翻訳担当)の助言を受けながら報告書の翻訳を進め、関連する当時の新聞記事や資料の紹介がありました。

 今回翻訳したのは、食糧問題や労働問題、社会福祉等幅広い内容についてでした。また、報告書の内容に関連し、会員の方から、戦後の本県の酪農の歴史や同胞援護会の行った活動内容等 、興味深い報告がありました。

 今年度も、この会での調査研究により、これまであまり知られていなかった占領期の鳥取の姿を明らかにしていきたいと思います。

第1回例会の様子
第1回例会の様子

公文書館 2024/06/10 in 県史活用担当,講座などのイベント,調査

2024年3月21日

資料保存・修復研修会を開催しました。

 令和6年3月12日(火)、県立図書館大研修室にて、資料保存・修復研修会を行いました。講師は、南部町で修復工房「Hata Studio」を経営されている秦博志さんです。秦さんは、県内外の紙資料の修復を手がけており、県立博物館で開催された企画展「根本幽峨」の資料の修復も行いました。今回の参加者は県内の図書館・博物館等の職員18名でした。

講師の秦博志さん
「Hata Studio」代表 秦博志さん

 研修では、(1)裏打ち、(2)昭和期発行の刊行物の修復を行いました。

(1)裏打ち

 裏打ちは、正麩糊(小麦粉のでんぷん糊)を使って資料の裏に薄い和紙を貼りつけるものです。昨年度も実習しましたが、一度では習得が難しい技術ですので、今年度も優先的にプログラムに加えました。昨年度同様、まず秦講師に手本を見せていただき、それから各自が実習しました。

秦講師による裏打ち作業の様子
秦講師による裏打ち作業の様子


裏打ちした資料を板に貼りつけて乾燥させる
裏打ちした資料を板に貼りつけて乾燥させる

(2)昭和期発行の刊行物の修復

 昭和期発行の刊行物はホチキス等の金具で綴じてあるものが多く見られます。ホチキスは年月が経つとさびてしまい、その周辺の紙が破損します。今回は、表紙と見返しの糊付け部分を水を使って丁寧にはがし、ホチキスを取り除き、穴を開けて糸で綴じ、正麩糊を付けて表紙を元に戻す方法を実習しました。

刊行物の修復の実習風景
刊行物の修復の実習風景


 最後に参加した職員の感想を紹介します。

  • 古文書を糊で繋いだとき、上から刷毛で強く叩くことに驚きましたが、そういった体験から、紙と糊が何でできていて、どのように作用して張り付けることができるのかを考えるなど、紙、資料についての理解が少し深まったように感じました。
  • 今後、状態の悪い資料を目にしたときに、どんな処置が必要か、それを自分たちでするのか、専門家に外注するのか、などの判断ができるようになったことが大きな成果だと思います。
  • 「針金綴じの資料の手当て」については、日頃よく目にするものなので、他の職員に伝達研修をし、郷土資料の保存に活かしていきたいです。
  • 博物館、公文書館、図書館それぞれ扱う資料は異なるが、いろいろな技術や知識を習得することも大切だと思いました。

 研修の中で秦さんは、「正麩糊を使っての資料修復は昔から行われている。現在までよい状態で残されていることから、歴史に裏付けされた最善の方法である。」と説明されました。技術を伝えていくことで、資料を永久に残していくことが可能です。紙資料の利用や保存に携わる者として、少しでも技術を学び、伝えていくことができればよいのではないかと思います。

 御指導いただきました秦博志さんには、厚くお礼申し上げます。

公文書館 2024/03/21 in 公文書担当,講座などのイベント

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