第6回青谷上寺地遺跡フォーラムを開催しました!

『人・もの・心を運ぶ船~青谷上寺地遺跡の交流をさぐる~』

 第6回青谷上寺地遺跡フォーラム「人・もの・心を運ぶ船~青谷上寺地遺跡の交流をさぐる~」を3月14日に開催しました。
 このフォーラムは、青谷上寺地遺跡の発掘調査や出土品の調査研究の成果を地域の方々に知っていただくとともに、今後の発掘調査や整備・活用への理解を深めていただくために、当センターが継続的に開催しているものです。

 当日は、118名の方々にご来場いただき、皆さまからご好評をいただきました。

当日の様子
  

講演

弥生・古墳時代の船、川を下り、海を渡り、空を翔るー深澤芳樹さん(天理大学客員教授)

深澤氏の講演深澤芳樹さんには、土器・埴輪や板に描かれた船の絵を読み解きながら、当時の船の構造についてわかりやすく解説いただきました。また、埴輪に描かれた「旗をなびかせた船」は、死者を運ぶ「葬送船」なのではないか-というとても興味深い説をご披露いただきました。






舟を造る・舟を漕ぐー洲澤育範さん(カヌー大工)

洲澤氏の講演
洲澤育範さんには、北米・極北地方の先住民の方々とともに生活しながらカヤックなどの伝統的な舟を復元製作されたご経験や、世界中の海や川を自ら漕ぐ舟で旅したご経験から、人間にとって舟とはどのような存在なのか、というお話をいただきました。
また、復元石器を使っての木の割り方・削り方や、パドル(櫂)の使い方の実演をしていただきました。参加者の皆さんも身体を動かしながら、身体全体で舟を漕ぐ方法を学んでおられました。




報告

青谷上寺地遺跡の船ー君嶋俊行(鳥取県埋蔵文化財センター)

当センターの君嶋は、青谷上寺地遺跡から出土した約50点に及ぶ船の調査研究成果として、この遺跡では「竪板型準構造船」と「丸木船」という二種類の船が使われていたことを報告しました。
また、丸木船の全体形や大きさを、破片から復元していく過程をご説明しました。

鳥取県内の精霊船~霊魂の乗り物の形状と儀礼~ -樫村賢二さん(鳥取県立公文書館)

民俗学がご専門の樫村さんには、鳥取県内の各地に残る「精霊船」の行事について、映像を交えてご紹介いただきました。魂を「西方浄土」へ運ぶための「精霊船」を鳥取県から流すと海流の関係で西へは流れないが、流れていく方向ではなく、西向きの浜に人々が集まることが大切-とのお話に、参加者の皆さんはうなずきながら聞き入っておられました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションのようすパネルディスカッションでは、深澤さんにコーディネーターをお願いし、洲澤さん、樫村さん、君嶋がパネリストとして参加して、議論を深めました。
君嶋の「青谷上寺地遺跡の丸木船(長さ7.9メートル、幅80センチ)で韓国・釜山まで行けるでしょうか?」との質問に、洲澤さんから「訓練された男性4人が乗り込み、梅雨明けの時期を選べば、20~30日で航行可能」とのお答えをいただき、青谷上寺地遺跡の交流の姿が、一気に具体的なイメージとなって浮かび上がってきた思いでした。



丸木船の大きさを体感!

青谷上寺地遺跡独特の形状を持つ丸木船について、最も残りのよい破片からその大きさを復元すると、長さ約7.9メートル、幅約80センチ、深さ約25センチとなります。
今回のフォーラムでは、この大きさを体感していただくため、復元した丸木船のイラストを実物大でロール紙に印刷し、会場の壁と床に貼ってみました。
洲澤さんによると、この大きさの丸木船であれば、足を伸ばせば4人(写真中央)、足を曲げれば5人(写真右)が乗れるとのこと。船首側を浮かせるため、船首寄りには乗らない方がいいそうです。

実物大の丸木船(側面) 4人乗りの場合 5人乗りの場合 
  

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