県政トピックス/遺伝資源の流通、厳密に

鳥取和牛のブランド守る ~遺伝資源の流通、厳密に~

  近年、「鳥取和牛」は高い値段で取引され、高級ブランドとしての定着が期待されています。県は、この優秀な遺伝資源を守る「鳥取県和牛遺伝資源保護条例」(仮称)の制定に向けて検討を進めています。

「日本一」機に知名度高まる

  条例案は、特に優秀な遺伝資源を持つ牛と県が指定する特定種雄牛の精液やその受精卵の県外流出を禁止し、生産者らに精液や受精卵の使用報告を義務付けるもの。肉質の良さを子に伝える能力(産肉能力)に秀でた「白鵬(はくほう)85の3」の精液などは、保護対象の有力候補です。
  2017(平成29)年に宮城県で開催された「第11回全国和牛能力共進会」でその産子が肉質日本一に。和牛飼育頭数が全国の1%にも満たない鳥取県の快挙は、「鳥取和牛」の知名度を高めました。
  県の和牛飼育の歴史をひもとくと、江戸時代から大山の博労座(ばくろうざ)周辺で開かれた牛馬市が、明治時代に日本最大規模に発展。大正時代には全国に先駆けて県独自の和牛の登録制度を始めるなど和牛改良の礎を作りました。
  また、1966(昭和41)年に岡山県で開催された「第1回全国和牛能力共進会」の「肉牛の部・産肉能力区」では、大柄で産肉能力に優れた県産種雄牛の「気高(けたか)」号が1等を獲得。生涯9千頭以上の子孫を残したこの「気高」号は、現在の日本各地のブランド牛のルーツとなり、鳥取県は和牛の一大王国へ。2年前の快挙に貢献した「白鵬85の3」も「気高」号の血統で、その子孫は今や全国の農家の注目の的になっています。

質の高い「鳥取和牛」
調理された鳥取和牛の写真
鳥取和牛はさっぱりした食感で、脂の風味が良い

鳥取和牛の枝肉の写真
2017年の全共で肉質日本一になった枝肉

「白鵬85の3」が産地振興を促す

  5年に1度、全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果や質を競う「全国和牛能力共進会」(全共)。ここで良い成績を収めた和牛ブランドの市場価値は、全国的に高まります。
  2017(平成29)年9月、宮城県で開催された全共で、「白鵬85の3」(写真)の子が肉質日本一を獲得したのは記憶に新しいところ。これを機に、県産和子牛価格の上昇に弾みがつきました。
白鵬85の3の写真
種雄牛「白鵬85の3」。生産農家や県などが一丸となって取り組んだ品種改良が、この牛の誕生により結実

和子牛セリ平均価格の推移
2012(平成24)年
  全国平均約41万9,000円 鳥取県牛約41万5,900円
2013(平成25)年
  全国平均約50万3,000円 鳥取県牛約45万6,700円
2014(平成26)年
  全国平均約57万1,000円 鳥取県牛約51万8,500円
2015(平成27)年
  全国平均約68万8,000円 鳥取県牛約67万7,200円
2016(平成28)年
  全国平均約81万5,500円 鳥取県牛約84万6,100円
2017(平成29)年4月時点 (※この年の全共で肉質日本一を獲得)
  全国平均約84万9,000円 鳥取県牛約92万7,900円
2018(平成30)年4月時点
  全国平均約79万9,000円 鳥取県牛約93万2,000円
2019(平成31)年4月時点
  全国平均約81万4,000円 鳥取県牛約100万7,000円

保護の仕組み、皆で作る

  県内でもかつて、種雄牛の精液が不正に流出し、防止策として、2015(平成27)年3月以降、精液販売団体と家畜人工授精師間での譲渡に再譲渡の制限条項などが規定されている契約の締結が義務付けられました。しかし、その後も精液の県外流出や県外農家の雌牛を県内に持ち込み、受胎後県外に戻す方法により、県外で「白鵬85の3」の子牛が誕生。さらに受精卵の県外転売も。これらは、契約違反のほか、受精卵や妊娠牛の流通規制がなかったために起こったものです。そこで、県は2019年10月、特定種雄牛の精液だけでなく、受精卵の使用、さらにその受精卵を移植または特定精液を人工授精した妊娠牛の取り扱いを定めた契約を家畜人工授精所や生産農家と締結。特定種雄牛の遺伝資源の保護対象を同契約によって明確に規制し、流出を防ぎます。
  また、県は、人工授精用の凍結精液や受精卵を管理する「鳥取県版授精情報管理システム」(仮称)の導入準備も開始。さまざまな手段で、大切な遺伝資源を守ります。
  管理を厳密化する条例案に対する県民の皆さんの意見を公募します。ぜひご意見をお寄せください。

鳥取県和牛遺伝資源保護条例(仮称)案の骨子

  特定の県有種雄牛精液および受精卵を、県の同意なく第三者に譲渡することを禁止する。

●特定種雄牛の精液、特定種雄牛を活用して作り出した受精卵が保護対象
●流通範囲は県内のみ。特定種雄牛の精液は県が許可した者のみに譲渡
●保護対象の精液譲渡を許可された者には毎月の使用報告を義務付け など

契約が特定精液や受精卵の不正流出を防ぐ

  「白鵬85の3」をはじめとする優秀な遺伝子を持つ種雄牛は、県畜産試験場で飼育されています。この種雄牛から採取した特定精液やその受精卵(特定受精卵)は、契約によって県が使用を認めた関係者間でのみ使用できます。

特定精液を人工授精する場合の流れ
(1) 生産者が県と使用許諾契約を締結
(2) 許諾契約を締結した家畜人工授精所に人工授精を依頼
県と農家と人工授精所の相関図1

特定受精卵を移植する場合の流れ
(1) 生産者が県と使用許諾契約を締結
(2) 許諾契約を締結した家畜人工授精所に移植を依頼
県と農家と人工授精所の相関図2

鳥取県版授精情報管理システム(仮称)

  県は、一般社団法人宮崎県家畜改良事業団が利用しているシステムを参考に導入を検討しています。

(1) 家畜人工授精師が、人工授精した母牛の個体識別番号と精液の情報をスマートフォンで送信
(2) 送信された情報をシステムで照合し、県内の母牛、精液の譲渡経由を確認。問題がなければ、現場のプリンターで県ブランドの証し「授精証明書」を発行

【問い合わせ先】 県庁畜産課
電話 0857‐26‐7829 ファクシミリ 0857‐26‐7292
メールアドレス chikusan@pref.tottori.lg.jp
https://www.pref.tottori.lg.jp/chikusan/
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