3月22日(日)午後2時から鳥取市歴史博物館地下1階まなびのひろばで、「占領期の鳥取を学ぶ会活動報告会」を開催しました。昨年8月の米子市立図書館での報告会に続き、今年度2回目の報告会となります。県内外から49名もの方に参加いただきました。

(写真1)今回の会場は鳥取市歴史博物館(やまびこ館)でした

(写真2)樗谿公園の梅も見頃です

(写真3)報告会の様子
最初の発表は、澤田晶子さんの「軍政部活動報告書の翻訳史: 全国各地の取り組みから 「占領期の鳥取を学ぶ会」まで」です。解読の重要性や難しさとともに、全国各地の報告書の解読状況や先行研究が紹介されました。
当時鳥取市で生産されていた木造組立住宅が福井地震(1948年)の復興に利用された可能性があることを例に、各地の報告書を読み比べることで点的に理解していたものが立体的な広がりを期待できる、とのお話は新鮮でした。

(写真4)澤田晶子さんの報告
2番目は藤山夏波さんが「鳥取軍政部活動報告書をきっかけに、当時の人々の生活にふれる」の題で発表しました。鳥取市の聖神社神幸祭(ひじりさん)の移り変わりを軍政部活動報告書からだけでなくその後の新聞記事も使って調べ、戦後の民主化の中で、神社が置かれていた経済的な苦境や祭礼への寄付に対する態度の変化などを考察したものです。なじみの深いお祭りも、占領期には様々な視点で捉えられていたことに気付かされました。

(写真5)藤山夏波さんによる発表
3番目の田中健一さんの「鳥取に炭鉱があった⁇占領期の鳥取の鉱山の動向」は、現在の日南町にあったクロム鉱山や鳥取市の酸性白土など、軍政部活動報告書に登場する鉱山に関するものでした。
中でも、戦後のエネルギー需要の高まりの中、占領期に大いに期待されながら資金難などの理由で数年間の稼働で閉山された浦富(岩美町)の炭鉱についての詳しい説明が興味深く、まだまだ埋もれた事実がたくさんあることを感じました。

(写真6)田中健一さんによる発表
発表の最後は、西村芳将さんによる「英領インド・パンジャブ部隊の活動」です。鳥取県の占領軍の主力であった彼らが1947年に、イギリスからの分離独立により、出身地に帰国したことが語られました。
発表の中で紹介された、岩倉(鳥取市)の兵営での、近所の子どもたちと笑顔で写る写真や、エネルギッシュなイスラム舞踊の動画は、その後の死者100万人以上ともいわれる分離独立時の悲劇的な混乱のことを考えると、鳥取での束の間の安らぎを切り取ったようで、切ない思いがしました。

(写真7)西村芳将さんによる発表
活動報告会の後半には特別企画として、『森の泣蟲坊や(もりのなきむしぼうや)』という漫画映画の上映を行いました。フィルムを所蔵する神戸映画資料館の安井喜雄館長と鳥取の映画文化を研究されている鳥取大学地域学部の佐々木友輔准教授にも御登壇いただきました。
この映画を上映することになったのは、鳥取市内にあった漫画製作所で作られた『モリノナキムシコゾウ』という漫画映画の記事が鳥取軍政部活動報告書の中にあり、澤田さんの熱心な調査と安井館長の御協力によって、神戸映画資料館によく似たタイトル(監督も同じ人の可能性がある)の映画が保管されていることが判明したからです。鳥取県内では初上映となります。
映画自体はどこか稚拙な印象をうける約6分の短い作品です。少年がタヌキたちによって化かされてお城で夢のような時間を過ごすという内容なのですが、現代のアニメとは表現が異なるところもあり、初めて見る人が内容を理解するのは少し難しいと思われます。ということで、まず予備知識なく見ていただいた後で、御登壇のみなさんの解説とともに、繰り返し、時にはコマ送りして鑑賞していただきました。見れば見るほど新たな発見があり、とても楽しい上映会でした。この映画について何かご存じの方は、是非情報をお寄せください。
令和8年度の開催概要は「占領期の鳥取を学ぶ会」ページにてご確認ください。

(写真8)神戸映画資料館所蔵『森の泣蟲坊や』の上映