鳥取療育園創立40周年おめでとうございます
鳥取県立総合療育センター 療育支援シニアディレクター 北原 佶
鳥取療育園40周年おめでとうございます。
鳥取療育園は昭和50年に鳥取県内唯一の肢体不自由児通園施設として創立されました。
創立当時の昭和50年代は、わが国にボバース法、ボイタ法が紹介され、脳性麻痺の早期発見、早期療育により脳性麻痺の運動障がいが正常化すると過大に宣伝された時代でした。そのために通園活動でも訓練的要素が重視され、子どもが日々の活動を楽しむ、楽しい活動を広げるという視点は薄かったように思います。付き添う親も脳性麻痺を治すための訓練を受けに通園してくるという状況で、鳥取療育園は、特殊な治療機関として存在していたと言えます。
しかし、脳性麻痺の早期発見・早期療育が積極的に行われたにも拘らず、脳性麻痺の子どもは脳性麻痺の大人に成長しました。この経過を踏まえ肢体不自由児通園での活動の位置づけは推移してきたと言えます。脳性麻痺の運動障がいを軽減する取り組みのみならず、子どもの日々の活動をどう広げるか、そして親が育児を楽しめるようどう支援できるかに重点が置かれるようになってきました。いわゆる療育の「医療モデル」から「生活モデル」への転換であります。この転換は、鳥取療育園を含め鳥取県内では全国に比して早くから取り組まれましたが、実績的な効果はどうでしょうか。親の受け止めはどうだったでしょうか。まだまだ改善すべき点、検証すべき点が多々あるように思います。
平成17年4月から前岡幸憲園長が着任し、それまでの中央病院勤務との併任園長ではなく専任園長になりました。前岡園長の強力な働きかけで鳥取療育園での障がい児の外来診療はより充実し、通園児も肢体不自由児や運動発達遅滞児主体から自閉症児などの発達障がい児へと拡充しました。また超重症心身障がい児の通園もスタッフの総力を結集して開始しています。鳥取県東部地区の障がい児の療育、家族支援の拠点としての役割を力強く深化させてきています。
最後に、鳥取療育園が、これからも障がい児が鳥取県に生まれ育って良かった、親・家族の方が鳥取県に住んで良かった、と思われる活躍をされることを願ってお祝いの辞といたします。